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獣と共に夢の中  作者:
32/60

六日目夕方

司が渚達の訪問を受けたのは、夕飯を食べてリビングで昴、良樹、玲史と四人で話している時だった。

神も奏もキッチンへ食事に来ていたが、終わったらさっさと部屋へと帰って行ってしまい、克己も食べ物だけ持って部屋へと戻り、皆と話すつもりはないらしい。

それでも、話したい時は声を掛けて欲しいと言われているので、話し合いがしたければ呼べばいいだけなのだが、改めて話すような事は、今何も無かった。

そこへ、渚と美奈子、それに永二が近付いて来た。

司は、来たか、と思いながらそれを見ていると、三人は、司達が座るソファの前へと座った。

「話があるの。内訳とか、しっかり考えて来た上で話したいから来たのよ?聞いてくれるでしょ。」

司は、どうもこの、聞いて当然、という姿勢が上から目線な気がして嫌だった。しかも、何か穴を見つけて自信があるのか、目は不自然にキラキラというより、ギラギラとしていて、自然と不気味さを感じて一瞬ゾッとした。

それでも、聞かないという選択肢はないので、司は頷いた。

「話してくれ。」

渚は、他の二人にも頷き掛けて、そうして、口を開いた。

「まず、私は自分が真だから、私が真目線の話しかしないわ。私から見て神さん、奏さん狼。それから、帆波さんの白の奏さんを占って黒が出ているから、帆波さんは狂人よ。だから、亨さんは真占い師。だから克己さんが黒なの。そして、亨さんが占った所は全部白だし狐でもないわ。だから、永二さんは白だし里美さんも白。狐でもないわ。」

司も皆も、じっとそれを聞いている。渚は続けた。

「征由さんが呪殺で狐よ。グレーの中には、もう狐は居ないと思うわ。美奈子が真だったらほとんど狼なんだもの。それで考えた時、吊られた人たちを考えてみたの。光一さん、亜子さん。この二人は、グレーだったわ。誰にも占われていないの。征由さんは亜子さんと凄く対立していたから、この二人は同陣営じゃないから、亜子さんは狐じゃないわ。それで考えたの。光一さんが狐だったんじゃないかって。」

司と昴は顔を見合わせた。これは、さっき二人で話していた事だ。

「…光一と征由が亜子さんに入れていて、亜子さんと光一がお互いに入れ合ってるってことか?」

司が言うと、渚は、興が覚めたような顔をした。

「そうよ!これで分かったでしょ?征由さんが狐で、相方は光一さん!亜子さんと光一さんは狼同士ではあり得ない!だから玲史さんが出してる結果は偽で、美奈子が真なの!つまり、神さんでなく私が真なのよ!」

どうだとばかりに宣言した渚だったが、司と昴、それに良樹と玲史が顔を見合わせて言った。

「…それって状況証拠でしかないよな。占って知ったわけでもないし。なのにどうして、君はそんなに自信に溢れてるの?昨日もそんな感じだったよね。意味が分からないんだけど。」

司が、息を付いて言った。

「オレ達だって、とっくにそれは知っていたよ。でも、あの時の雰囲気を思ったら、投票対象に上げられた狼同士の気持ちを思ったんだ。自分達のうちどちらかが吊られる、と思った時、どうするかって。陣営勝利のために、残る方は出来るだけ白くならなければならない。吊られたら、黒が出る事は分かっている。だったらどうする?…狼に入れている、入れられている、という事実を白要素として提出出来るように、お互いに投票し合う。だから、それは確かに考えられる事だが、確定させるには甘い要素だと判断したんだ。」

渚が、目を見開いた。

「何を言っているのよ?じゃあ征由さんと光一さんが同じ所へ入れてるのは?」

昴が答えた。

「あの時、話し合えるような状況だった?無理だよね、だってみんなで話し合ってるんだから。弘も入れてたし、由佳さんも入れてた。この二人は狐じゃないし、偶然一緒の場所を疑っただけだった。だから、確証がないんだよね。確証がある情報が欲しいんだ。他に何かある?」

渚は、言った。

「占って黒を二つ見付けているからよ!玲史さんはその黒を信じて味方してるから明らかに怪しい!真じゃないと思う!」

「そうじゃないだろ?」後ろから声がして、驚いて見ると、そこには奏が立っていた。「君目線では、玲史は破綻しているから美奈子を真だと思うと主張しなければいけない盤面だ。君の黒はオレ、神さん、オレは帆波さんの白だから噛まれた帆波さんは狂人だ。だとしたら相方は亨さんしかいないから、亨さんが出した色は全て正しいとみる。つまり、克己も狼だ。君目線で残り最低でも三狼が残っていると分かったので、後二狼しか居ないと主張する玲史は偽なのだ。何故にそれに気付かない?オレ達を貶めることばかり考えているから、せっかく見えているものが見えなくなっているのでは?それとも、そこまで追いきれていないのか。」

それが、事実に基づいた考えだ。

司は、奏を見て言った。

「どうしたんだ?何か話す事があるのか。」

奏は、首を振った。

「いいや。下で暴れてる奴が居たら何とかしろと神さんに言われて、見に降りて来たんだよ。そしたら、渚さんが君ら相手に暴れてたから、割り込んだのさ。昴が欲しいのは、こんな感じの答えだったんだろ?」

昴は、頷いて言った。

「僕も、それに渚さんの話を聞いていてやっと気付いたから他人のことは言えないけど、真占い師ならどうしてそれに気付かないんだろうって思って聞いてたんだ。でも、渚さんの答えは玲史が神さんを信じてるから怪しいって、抽象的なものだった。悪いけど、渚さんの言う事は信用出来ないな。考慮はするけど…とてもじゃないが、絶対に神さんを吊ろうという理由にはならなかったよ。」

司が、まだ何か言い返そうとする渚を遮って、言った。

「今夜は、神さんと永二のどちらかを吊る事になった。神さんが、それでいいって言うから。この二人を投票対象にして、どちらかを吊るよ。村に判断を委ねよう。だから君達は、村人に響くように話してくれたら良いと思うよ。」

だが、生き残っている村人と言うと、神、奏、克己は渚目線狼なので説得しようがなく、玲史も狼か狂人か分からないが敵陣営だ。

となると、司、永二、良樹、美奈子、昴の五人しか説得出来る者が居らず、この内の美奈子と永二は渚の味方だが、司と昴は渚を信じて居らず、残った良樹も村人なのか狼なのか分からない位置だ。

何しろ、神の白なのだ。玲史が狼なら良樹は白だろうが、もし狂人だったらどうしようもない。

渚は、激昂して言った。

「そんな!確定村人のあなた達が私を信じていないのに、私が説得する相手って良樹さんしか居ないじゃないの!」

良樹は、困惑したような顔をした。

「いや、オレはまだどっちに入れるか決めてないぞ?」良樹は顔をしかめて言った。「何しろオレには、昴や司みたいに深くまで分かってないもんな。渚さんが今言った投票先のことも、言われてみたらそうだなあと思って聞いてた。でも、司と昴が白証明に使うのがとか言ってたら、それもそうかなあって思うし。意見が出たら流されるって神さんに叱られたけど、オレは元々あんまり考えが深くない方だから、言われたらそうかって思ってしまうんだよな。どうしようもないよ。」

渚は、良樹を見た。

「そんな頼りない事を言わないで。あなたが村人ならよく考えてよ。私は間違った事を言ってないはずよ?確かに黒の数がおかしいから玲史さんは偽だと分かるはずなのに、気付かなかったのはバカだったと思うわ。でも、本当にそうなの!昨日は克己さんを吊りたくないなんて言って悪かったわ。だって神さんが吊りたいとか言うから。でも今日は克己さんでもいいのよ。だって黒なんだもの。神さんを吊れないって言うなら、克己さんにしない?あなた達だって狂人だと思うなら吊れるでしょ?明日また結果が出るから、それを見て決めましょう。後4縄なのよ。お互い悪くないはずだわ。そっちは狂人、狼、狼で吊れる可能性があるんでしょ?こっちはもう後がないから、どうしても今日は黒を吊らなきゃならないの!」

司は、昴を見た。

確かにそうなのだが、それで本当に大丈夫なんだろうか。

神目線は玲史真で後二狼。克己は狼か狂人だ。ここを吊れたら、神か美奈子を占って黒なら永二、美奈子で終わり、狐だったら溶ける。

溶けたら、今10人で3人減るので7人…。

恐らく神、奏、永二、渚、良樹、司、玲史だ。

偶数進行なので縄は減らないので後3縄。

だが、美奈子が黒だった場合。

残るのは神、奏、永二、渚、良樹、司、玲史、美奈子の8人。

もしも、良樹が狂人だったりしたら、半パワープレイで同数になる。

「…待ってくれ、同数だったらどうなる?」司は、言った。「投票だよ。同数の時は?」

奏が答えた。

「再投票だよ。それでも同数の場合はランダムで一人追放される。ルールブックに書いてあった。」

ランダム。

つまり運任せになるのだ。

「神さん目線で良樹が狂人ってあり得たか?」

司が昴に言うと、昴は顔をしかめた。

「…どうだろう。神さん目線じゃ渚さんで一人確定してるけど、克己は占ってないから分からないんだよね。でも克己が黒だったら、永二と二人人狼が見付かって終わりのはずだ。狂人位置は亨さん目線美奈子さんってことになる。どっちかが狐で、どっちかが狂人かな。でも、人狼が狂人を庇うのはおかしいから、克己はどこまでも狂人だろうけどね。だから、良樹が狂人なのはあり得ないよ。」

司は、ホッとした。だったら半パワープレイにはならないか。

「神さん目線で、美奈子さんが真ではないと思ったのはどうしてだ?」

奏が司に言った。

司は、困惑しながら答えた。

「それは…神さん目線では、グレーは奏と克己しか居ないから。美奈子さんが真なら、そもそも狼ではないし、奏と克己が狼でも永二と合わせて三狼で四狼居る目線の美奈子さんとは合わないんだ。」

奏は、頷いた。

「そうだね。だから神さんの目線じゃ残りの狼は永二と美奈子さん。もしくは克己ということになるよね。だから、今夜克己を吊っても何の問題もないと思うよ。そもそも神さんは昨日から克己を吊っておく事を勧めていたのに、それを拒否したのは渚さんだ。渚さんが吊れと言うなら、それでいいんじゃないか?」

昴は、首を振った。

「ダメだよ!」驚いて昴を見ると、昴は続けた。「この状況って狼と狂人が話し合えてるよね。狼から完全に狂人が透けてるんだから。僕は今夜噛まれるんだ。明日からの議論に参加出来ないし、もう誰も守れない!明日は絶対司だよ!犠牲が増えるだけだ、真っ直ぐに狼だけを吊って行かないと!」

司は、迷った。

渚目線では、神と奏が狼だ。その二人が吊ろうと言うからには狂人なのではと思うのに、亨が真確定しているので克己は黒のはずなのだ。

この土壇場で、狼が狼を吊ろうと、二日前から言いまくるだろうか。

確定人外の克己のことを、吊っておいても良いのだが、それを拒否していた渚が今日になって克己を吊ろうと言い出すのが、永二を庇っている狂人に見えて仕方がなかった。

今日克己を吊って昴が噛まれて残りは神、奏、永二、司、渚、玲史、良樹、美奈子の8人。

明日永二を吊って司が噛まれて神、奏、渚、玲史、良樹、美奈子…。

だが、明日永二を吊れるだろうか。

昴が居ない中で、確定村人は司だけになるのだ。

良樹が間違えなければ大丈夫だろうが、今夜永二を吊れていなければ、明日は司が襲撃される。

だが、今夜永二を吊っていたら明日神が出した占い結果に基づいて、黒を吊ったらその日は夜が来ない。

司は生き残れるのだ。

昴は、それを言っているのだ。

どうせ決め打たなければならないのに、それを先延ばしにするなと言っているのだ。

奏が、言った。

「確定村人がぶれたらまずいぞ?司と昴で、しっかり話し合って決めたらいい。オレ達はそれに従うし、克己でもいいと思っているよ。」

そうして、奏はそこを出て行った。

司は、苦悩の顔でそこに残された。

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