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獣と共に夢の中  作者:
29/60

五日目夕方の会議

司は、集まった神、奏、永二、玲史、弘、里美、良樹、克己、昴の9人に説明した。皆は黙って聞いていたが、渚の言う通りにするのが不満なのか、むっつりとしている。

それに気付いていたが、司は気にしていないように最後まで話した。

「…という事で、渚さんの指定先、奏、昴、里美さんの三人から吊るという事にしようとなった。神さんのグレーでもあるし、美奈子さん真ならここで黒が出ないとおかしいだろうと。」

神は、何を考えているのか分からない、無表情で言った。

「ならばそれでいいのではないか?もしも美奈子さん真ならばだがな。渚さんの事だから、私の白の中から吊りたいとか言うのではないかと思ったが、そうではなかったのだな。」

昴が、言った。

「感情じゃないですか?僕がめっちゃ疑ってるから、それで候補に入れたんでしょうし。」

奏も頷いた。

「結局、単体精査はあまりできないもんね。それに、神さんの白って言うなら渚さんも含めて全部だから、変に疑われるのも嫌だったんじゃない?玲史だろ、良樹。早苗さんは死んでるしね。玲史を入れたら美奈子さんが吊られるかもだし、良樹を入れたいけど自分もだとか言われたら面倒だとか、そんな単純な考えなんだろうね、多分。」

里美が、言った。

「どうしてそんなに落ち着いていられるの?吊り候補に上げられてるのよ?私は違うわ。だから吊られるのは嫌よ。候補に上げられたのって全員白いじゃない。美奈子さんは真じゃないわ。もうこの中にそんなに狼は居ないはず。きっと美奈子さんが狼で、玲史さんが真、渚さんが狂人、克己さん狂人なのよ!」

神が、言った。

「では、亨はなんだったと思うのだ。」

里美は、少し顔をしかめたが、言った。

「多分…狐。克己さんが狂人なら、そうなるでしょう?狐はもう全部消えてるんだわ。だから狼は焦っていて、狂人すらも残したいと必死なんじゃないかしら。私は、克己さんを吊るべきだと思う!確実に人外だって分かっているんだもの!」

神は、息をついた。

「私も克己で良いと思うが、村目線それで良いのか。あまりにいろいろと言いたくないが、克己が狂人ならば、玲史は真なので美奈子さんが狼というのが、私の目線だ。つまり、私の目線なだけで、君達の目線ではそうでない可能性があるのだ。もし私が偽なら、玲史が狼の可能性もあるのだぞ。そうしたら、結果は全て覆る。どうも、皆ある意見が出ると流され、また別の意見が出ると流される傾向がある。自分の頭でしっかり考えるのだ。そして、こうだと思うところを吊ると良い。村目線で渚さんの真を追えるのなら、渚さんが指定した中から吊ろう。もう真を切るなら別だがね。」

外ならぬ神からその意見が出る事に、司は下を向いた。確かに、神の話に説得力があるので、どうしても神が言う事に振り回されている感じがある。神を妄信していいのかと奏にも言われて、一時は悩んだがやはり状況的にどうしても神は白いのだ。

何しろ、神は昴が狩人なのを知っているのだ。

今夜の噛みがどこに入るのかで、もう決められるのではないかと思っていた。

しかし、奏が言った。

「神さんが言うのはおかしいかもしれないが、オレもそう思うんだ。」皆が、え?と奏を見る。奏は続けた。「村はあんまりにも神さんを妄信し過ぎているんだよ。もし神さんが真なら玲史が白だから限りなく真に近いよね。だから提案だけど、今日は渚さんの言う事を聞いてやろう。後で後悔はしたくない。オレだって、吊り位置に入るのは嫌だけど、仕方がない。グレーなんだしね。その代わり、明日は克己を吊ろう。神さんが吊りたいって言っている位置。それでどう?」

弘と昴は顔を見合わせて、そして、永二も渋々頷いた。

「…そうだな。吊り位置に入っているお前が言うならそうするか。」

弘が言うと、里美がとんでもないと激しく首を振った。

「そんな!みんな目線で渚さんは偽なんでしょ?!そんな奴の言う事を聞くって言うの?!確かに狼じゃなく狂人なんだから分かってないとは思うけど、無謀よ!私は嫌よ!明日吊るなら、今夜克己さんを吊るべきよ!人外なんだから!」

弘が、言った。

「だから君が吊られるとは限らないじゃないか。誰でも投票対象になるのは嫌だが、まず落ち着け!村ならしっかり弁明して吊られないようにしないと…、」

「私は村人よ!」里美は、立ち上がって叫んだ。「ずっと村のために話をして来たわ!人外が指定した先を吊ろうなんておかしい!私は嫌よ!」

そう言うと、里美はそこを飛び出して行った。

「里美さん!」

後ろから司が叫んだが、里美は振り返る事もなく、そのままそこを出て行ってしまった。

…投票まで一時間なのに。

司は、金時計を見上げて思った。こんなに乱れたままで、無事に狼が吊れるんだろうか。それにしても、これまで結構落ち着いていた里美のあの、取り乱し方はどうした事だろう。もしかして、囲われてうまく潜伏していた狼なんじゃ…。

司の悩みは、尽きなかった。


そのまま、神は黙って皆が話すのを聞いているだけになった。

どうやら、自分が村を誘導するのが嫌なようで、村の判断に任せたい、と言う。

思えば、最初から神はそうだった。

意見を出すが、後は任せる、というスタンスだ。亨や渚が、どうしても真を取って村を動かしたいというのとは、根本的に違った。

結局は、吊り対象になっている奏が自分達三人からで良い、と言うので、そこから選ぶ事になった。

神は、絶対に昴には入れないだろう。司もそうだ。狩人だと知っているからだ。

『投票してください。』

いつもの女声の案内が、カウントダウンの後に、いつも通り言う。

そうして、投票は始まった。

1(神)→10

2(奏)→10

3(永二)→10

4(玲史)→10

6(司)→10

7(弘)→10

8(渚)→2

10(里美)→2

13(良樹)→10

14(克己)→14

16(美奈子)→2

20(昴)→10

『№10が追放されます。』

無表情な声が聞こえ、そこに居ない里美の追放が決まった。

そうして、しばらくして、また機械的な声が言った。

『№10は追放されました。夜行動の準備をお願いします。』

司は、まだ残る投票結果を見上げながら言った。

「…合わせて来たのが、もし人外だったら…。」

神は、チラと投票を見て、頷く。

「かもしれんな。明日の霊能結果次第だ。」と、立ち上がった。「私は、噛み合わせられても嫌なので占う先は言わない。もう美奈子さん真は追わないつもりだ。もし彼女が真だったら、私目線でまだ人狼が里美さんで吊れていたとしても三狼居て、狂人が二人。明日はほぼパワープレイだ。そんなはずはないと信じたいしね。ではな。」

そう言い置くと、さっさと部屋へと帰って行った。

そうだ…パワープレイ。今夜の襲撃が通ったら、明日は10人…。

どうして克己から吊らなかったのか。

司は、頭を抱えそうになった。そこで悩んでも仕方がないのだ。どうせ、里美が狼でも同じなのだ。美奈子は真ではない行動をしている。という事は、大丈夫だ、大丈夫…。

司は、自分にそう言い聞かせていた。

昴が、言った。

「…どうせ美奈子さん目線では神さん真ならもう詰んでるよね。狂人が二人も生きてて、狼が四人。完全に負けだ。でも、四人ってどこが狼なんだ?今夜吊った里美さんでさえ、狼だったかと言われたら、どうだろうなって感じだった。うまく潜伏している狼にも見えない事はなかったが、どう思う?」

司は、答えた。

「あの中じゃ、多分一番狼があり得る場所だったんじゃないかな。昴も奏も、それは村利のある行動をしていると思うし、里美さんはこっちに話を合わせてるだけの、自分の意見が無い人のようにも思える。…何にしろ、明日の結果次第だけどね。」

弘が、ぽんと肩を叩いた。

「ま、明日次第だ。司、生き残れよ。」

司は、ハッとした。そうだ、昨日は由佳が噛まれていた。狼は、確白から消して行こうとしている…?

昴が、クックと笑った。

「大丈夫だって、狩人は司を守る日だろうから。問題ないよ。」

そうだ、昨日は渚だったと言っていた。つまり、今日は司を守れるのだ。

司は、ホッとして昴を見て微笑み返すと、そのままキッチンへと飲み物を取りに行って、皆と一緒に階段を上がって行ったのだった。

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