五日目朝の会議
司は、言った。
「神さん目線のグレーは奏、永二、弘、里美さん、克己、昴。占って白の渚さんに黒を打たれた事で、神さん目線では渚さんは狂人。亨は真か白人外。玲史が真なら、このグレーの中に後二狼。もしくは美奈子さんが人狼でグレーに一狼。亨が真なら克己は狼、そうでなかった時は亨は狐。なぜなら克己が狼COしているので、狼でないなら狂人だから、渚さんが狂人と確定している神さん目線、それで二人だからだ。つまり、克己が白だった時、玲史の白を見ているので玲史は真でしかなく、美奈子が狼となる。」
昴は頷いた。
「美奈子さんが真だった場合は、グレーの中にまだ三狼。なぜなら玲史が狂人でしかないから。その場合、そのうちの一狼は克己で、亨さんが真である可能性も出て来る。だから神さんは克己を吊って色を見たいんだな。」
弘も、頷く。
「渚さん目線のグレーは奏、永二、弘、里美さん、良樹、克己、昴。玲史が真の場合、このうちに一狼。そして神さんで終わりだ。狐は位置は分からない。狂人も、克己の色がどうなのかで分かるし、神さんを残して克己を吊った方が分かりやすいはずだ。美奈子さんが真だった場合でも、克己の色を見る事でグレーが狭まるからやっぱり吊って色が見たいはずなんだが…後5縄。克己が狂人でも、ギリギリ吊って置いて大丈夫なはずだけどな。黒だったらラッキーだ。最悪明日でも、渚さん目線神さん吊りは間に合うはず。狩人を占わないで白を見つければ、残りの中に狼が居るのだからほとんど詰まるんだ。」
司は、頷いた。
「その通りだ。狼も次は狩人を探して噛むしかないだろうし、それで狩人以外を噛んでくれたら美奈子さん真の渚さん目線は完全に詰まるんだ。なのに克己じゃなく神さんを吊りたいのはどうしてなんだ?狐はもう、処理されてるのか…狂人は、それを知っている?」
昴が、眉を寄せた。
「…どうだろう。狂人目線では狐の位置は難しいはずたろう。狼なら分かるだろうが…まだ神さんのグレーが多いのに、狐が残っていないと完全に分かる材料はないはずだよね。」
渚は、首を振った。
「どうして分かってくれないの!私は真占い師なのよ!私を真軸で村を進めたら絶対勝てるのに!」
じっと黙って聞いていた、奏が言った。
「だから強引過ぎるんだよ。もっと村の意見に寄り添って冷静に話をしないと、もしも真でも信じられないんだ。昨日それを理解したんじゃなかった?それじゃあ誰も聞かないよ。」
渚は叫んだ。
「冷静に話しても聞いてくれないじゃないの!もう、いい!こんな村、滅びてしまえばいいんだわ!私は知らない!」
渚は、椅子を飛び出してリビングを足を踏み鳴らして出て行った。
司がため息をついていると、美奈子が言った。
「気持ちは分かるの。私だって真霊能なんだもの。でも、みんなまともに聞いてくれないわ。この中に村人はまだたくさん居るはずなのに…みんな敵に見えちゃうのよ。私ももう、議論はいいわ。結果は落とす。話を聞いてくれる気になったら呼んで。」
美奈子はそう言うと、椅子を立って歩いてリビングを出て行った。
神が、言った。
「…思う通りにならないからと、議論を投げ出しては勝てるものも勝てないのにな。私目線では狂人がどうなろうと知った事ではないから、投票せずに追放になってくれたらラッキーだ。とはいえ、今夜は克己でいいか?玲史が真ならばまだ余裕はあるから、別に今夜はグレーの中なら私は譲っても良い。ただ、美奈子さん真ならまずい事になる。確実にグレーの中の黒を当てて吊らなければ、首を締める事になる。私目線では美奈子さん真ならほとんど詰まっているがな。弘と昴は白いと感じているし、残りの奏、永二、里美さん、克己が四狼。仮に弘と昴が狼だったら、明日の占いで見つけられるので、今夜間違えなければ完全に詰まる。だが…ここの四狼などあり得ないだろう。皆それぞれしっかり発言しているしな。だから美奈子さん真は、私目線ではほぼほぼあり得ないのだ。もちろんまだ分からないがね。」
永二が言った。
「オレが狼は神さん目線でも村目線でもあり得るのかもしれないが、奏まで狼なんて考えられないだろう。だからオレも、美奈子さん真は追えないんだよな。どう考えても、あり得ないから。なのに渚さんがまるで確定してるかのように神さん吊りを推して来るのが、おかしいと思ってしまう。渚さん狂人目線、呪殺が出ているから神さんは絶対真だ。でも、グレーはどこが狼なのか分からない。だから今夜はどうしても神さんでお茶を濁したいんだって見えて仕方がないんだよね。明日になったら、状況が変わって来るだろうって事なんだって。」
言われてみたらそう見える。
司は、思った。
「…確かにな。永二の言う事には納得出来るよ。占い師目線だと、どっちかが真だから偽の方は相手が真占い師だと知ってるんだ。明日の占いで黒を出されないためにも、神さんを吊らせた方が狼利があるんだもんな。縄も消費出来るし、確実に狼陣営である克己を保護出来るから。」
克己は、じっと黙って聞いている。
昴が言った。
「どうなんだよ?狂人目線ではいろいろ分かってるんだろうな。」
克己は、肩をすくめた。
「とりあえず、亨さんが確定白でホッとしてるとだけ言っておこう。」
神が、眉を寄せて言った。
「狼なら白黒は分かっているだろうが。君は自分が狂人だと認めるのかね?」
克己は、笑って答えた。
「さあ?せいぜい悩んでくれたらいい。占ってもいいぞ?」
確実に人外だと分かっているのにそんな無駄な事はするはずがない。
知っていて言っているのだ。
「…今夜はグレーを吊ろう。」神は、眉を寄せたまま言った。「こちらが折れたふりをして、君が渚さんに話に行くのだ、司。克己は必ず吊るが、確かに美奈子さん目線では黒を吊った方が良いのだ。何より私目線では美奈子さん真なら詰まっている。意見を聞いて来い。もし、納得出来る場所なら私も同意して良い。」
司は、頷いて、気が進まなかったが立ち上がった。
「じゃあ、話して来ます。」
弘も立ち上がった。
「オレも行こう。その方がいいだろう?」
司は、弘に感謝しながら頷いた。
「頼むよ。」
そうして、二人は出て行った。
神は、立ち上がって言った。
「では休憩だ。朝食がまだだったな。奏、今日はパンが良い。」
奏は、うんざりした顔をしながら言った。
「えー?覚めたスクランブルエッグは食べないじゃないですか。またオレが作るんですか?」
神は、頷いた。
「私は料理はしないのだ。多分、してなかったと思う。」
「オレだってしてなかったと思いますよ!」
言い合いながら、キッチンへと二人は歩いて行く。
昴は、ため息をついて立ち上がった。
「じゃ、僕達も朝ごはんにしよう。腹が減った。」
皆でぞろぞろとキッチンへと向かいながら、どこか不安感が拭えなかった。
司は、弘と共に渚の部屋を訪ねた。
渚は、ノックは全く聞こえないのを知っていたので、女性の部屋にどうかと思ったが、少し扉を開いて、言った。
「渚さん?話に来たんだ。」
渚は、少し黙っていたが、待っていると、答えた。
「…何を話しに来たのよ。ま、いいわ。入りなさいよ。」
司と弘は顔を見合わせて、中へと入って扉を閉めた。
すると、そこには美奈子も居て、二人で窓際の椅子に座って向かい合っていた。
「吊り先の事なんだよ。克己を吊るのは嫌なんだよね。」
いきなり用件を言うと、渚は頷いた。
「当然じゃない。狼の神さんが吊りたいって言う場所なのよ?絶対黒じゃないわ。美奈子が真だったら、もう詰んでしまうのよ。」
司は、言った。
「詰んでるって言うなら、神さん目線でも美奈子さんが真ならもうほとんど詰まってるんだよね。つまり、グレーがほとんど全部黒だって事だから。狩人が居るから、それを弾いたら一人を覗いて全部黒になるんだ。だから、オレ達もまだ占い師を吊るのは狐の事もあるから良いとは言えないけど、渚さん目線でグレーの中で、吊りたいと思う位置を二人ほど上げてくれないか。もし村のみんながそこでも良いってなったら、そこを吊るよ。美奈子さん真なら君の目線でも黒ばっかりだから当たりやすいだろ?」
渚は、眉を寄せた。
「…私が見て確実に知ってるのが神さんだけなのよ。今夜は黒を吊りたいの。あなた達が私の意見を聞くって言うなら、神さんしか認めないわ。」
弘が、顔をしかめて言った。
「そうか。だったらそれでも良いが、じゃあ君と神さんの決め打ちだな。占い師の決め打ちをして欲しいんだろ?どっち目線でもお互いが敵なんだから、村に占い師の精査をして欲しいわけだな。」と、司を見た。「じゃあ司、そう伝えよう。今夜は占い師の決め打ちだ。真だと思う占い師を残して、偽だと思う方を吊ってもらおう。」
美奈子が、慌てて言った。
「それじゃあ渚だったら白が出るわ!だって狂人なんでしょ?!今夜は黒でないと!」
弘が、美奈子を睨んだ。
「どうして君は渚さんが白だと知ってるんだ?神さんの占いが正しいと?」
美奈子は、う、と口を押えた。渚が言った。
「私は真占い師なんだから白に決まってるじゃないの!だから美奈子は吊っても仕方がないって言ってるのよ!」
司は、言った。
「それでいいじゃないか。占い師の決め打ちをして欲しいんだろ?君一人の意見で全てを動かせるほど、君はまだ村の信頼を勝ち得るような事をしていない。その状態で決め打ちを提案して来るなんて、凄い自信だな。それとも、狼を身を挺して守ろうとしてるのか?」
今夜決め打ちをしたら、間違いなく渚が吊れるだろう。美奈子はこんなことを言っているが、間違った事は言っていない。神目線で白が出ている渚は、偽だとしても白しか出ない。それを言いたかったのだろうが、美奈子目線で神を吊っても黒が出るとは限らないのだ。
どうして、渚を信じているのかが問題なのだ。
その根拠があるなら、教えて欲しいぐらいだった。
「…なあ、なんで美奈子さんは渚さんを信じてるんだ?その根拠を言ってくれたら、村は今夜渚さんを吊らないかもしれないぞ。渚さん本人が、希望してるから今夜は決め打ちを提案するがな。」
弘が言うと、美奈子は、困惑したように渚を見た。
「それは…私と同じように、村に信用されていないから…あの、気持ちが分かるなって。」
ただの同情か。
弘は、息をついた。
「そんな理由じゃ信じるのは無理だな。仕方ない、じゃあ決め打ちを希望してるって皆に伝える。じゃあな。」
「待って!」踵を返して出て行こうとする、司と弘に向かって、渚が叫んだ。「待ちなさいよ!…分かったわよ!私が吊られてあの男が残るぐらいなら、グレーでいいわよ!」
司は、息をついた。
「じゃあ、誰がいい?その理由も、神さん絡みでなく単体精査で出た怪しい所を上げて言ってくれ。」
渚は、眉根を寄せて考えた。
「…奏さん。あの人、ずっと神さんの側に居るじゃないの。真だと思って擦り寄ってるんじゃないかって思うわ。」
司は、うんざりしながら言った。
「だから神さん絡みでなくだってば。奏はずっと村に意見を落として来てるし、神さんの事も疑ってみないとって言ってた数少ない奴だ。君目線じゃ白くなるんじゃないのか?いろんな角度から見てる奏は、恐らく村の共感は得られないとは思うけど…一応、入れておくか?」
渚は、え、という顔をした。
「あの人、神さんを疑ってたの?」
司は、頷いた。
「オレにコッソリと言いに来てね。神さんを頭から信じたら危ないから、いろんな角度から見るべきだって忠告された。ただ、神さんを真だとは思っているけど、ってね。」
渚は、フンと鼻を鳴らした。
「結局そうじゃないの。だから信じられないのよ。」
弘が、言った。
「分かった。で、奏と誰だ?」
渚は、目を険しくした。
「昴さん。」弘が、眉を上げる。渚は続けた。「物凄く私を責めて来るわ。まるで、私が真なのを知っている狼みたいよ。きっと神さんを庇ってるのよ。なんだか知らないけど、確証があるとか言って。」
昴は狩人なのだ。
だが、それを渚に悟られるわけには行かない。
なので、仕方なく頷いた。
「君目線じゃそうなんだよな。じゃ、もう一人頼む。」
渚は、は?という顔をした。
「二人から選ぶんじゃないの?」
弘が言う。
「美奈子さん真なら神さんの他にまだ三人なんだろ?その三人を選べって言ってるわけだ。その中から吊るから。」
渚は、唸った。
どうやら、皆の賛同を得られるような理由をつけて選ばないと、自分の真まで切られると考えて、最後の一人はそれらしい所を選ぼうとしているようだ、と司も弘も思った。
「…里美さんかな。」渚は、まだ悩みながら言う。「狐でもおかしくない位置よね。適当に回りに合わせてるような感じがあるし、その場しのぎな感じがする。あの中なら、その三人。奏さん、昴さん、里美さんで。」
やっと、納得できる意見が出た。
司は思いながら、頷いた。
「分かった。じゃあ、その三人で村の会議に掛けよう。今夜も6時から次の会議をしようと思ってるんだが、気が向いたら来るといい。でも、部屋からでも投票は出来るから、それが良いならそうしたら良いと思う。君が言っていた事は弘と二人で聞いたし、そのまま伝えるよ。」
司は、そう言い置くと、頷く渚と、不安そうな美奈子を置いて、そこを出た。
確かに美奈子が真なら、この三人の中に一狼ぐらいは絶対に居そうだった。真だとしても、狂人だとしても、それは分からないのだ。




