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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第3章

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97話 秋葉原デート、ファンと交流



 僕は神絵師こうちゃんと一緒に、秋葉原へ来ている。


 フィギュアを駅前のロッカーに預けた後……。


『同人ショップ巡るんじゃー!』


 こうちゃんは両手を挙げてうなり声を上げる。

 ロシア語なので、たぶん僕に聞かれると不都合なやつなのだろう。


「こうちゃん、えっちな本は買っちゃだめだからね?」


 ふっ……とこうちゃんがニヒルに笑う。


『問題ない。共犯者に頼んでいるから』


 くいくい、とこうちゃんが僕の手を引っ張る。


「どうしたの?」

「ミスド。いくど」


 ミスド? ああ、確かに秋葉原にミスドってあるもんね。


「おなかすいたの?」

「人を……待たせてるので」


「人?」


 僕らはミスドへと移動。

 店内に入った後……。


 こうちゃんが、きょろきょろ、と周囲を見渡す。


 そして、ぶんぶん! と手を振る。


「おっ、いたいた~! おーい、こうちゃん先生~!」


 なんだろう……知り合いかな、って思ってそっちを見たら。


「に、贄川にえかわさん……!?」


 アリッサのお手伝いさん、贄川さんが、僕らの元へやってきた。


 ……あ、相変わらずでかい。


 後黒服にサングラスだから、ターミネーターみたい。


 大男が椅子に座って、もふもふとポン・デ・リングを食べていた。


 こうちゃんに気づくと、手を振っている。


 僕らは彼の元へと行く。


『同士、サブロー氏!』

「いやいやお待たせしてすいやせん……ん? こちらは…以前お目にかかりましたっけ?」


「まい、すてでぃ-!」

「おお! あの時の!…こうちゃん先生の彼氏っすね!」


 にかっ、と贄川にえかわさんが笑うと、僕の手を取る。


「あらためまして、贄川三郎です!どうぞよろしく!」

「あらため……え? アリッサの運転手さん、ですよね?」


「ああ、違う違う! あれはおれの兄貴! おれはあの人の弟、贄川にえかわ 三郎っす、どーもどーも、お噂はかねがね」


 なるほど……アリッサのお手伝いさんとは、また違う贄川にえかわさんなんだ。


『同士サブローから、秋葉原にいるってLINEで連絡が来ていたから、先に買い物を頼んでいたのだっ。こうちゃん偉い!』


 どういう繋がりなんだろ。


「おれが兄貴の代わりにアリッサ お嬢様の運転士したときに、こうちゃん先生も一緒に乗ってて、意気投合したんすよ」


 なるほど、アリッサ 繋がりで知り合ったんだ。


 ちなみに。


 お兄さんと三郎さんは、時々仕事を代わってるらしい。


 前にコミケ行ったとき、ついてきてたのは三郎さんだったんだってさ。


 あまりにも似てるから、アリッサもたまに間違えるとのこと。


「こうちゃん先生、これが例のぶつっす……」


「うむ……ごくろう……」


 すっ、と三郎さんがこうちゃんに、黒いビニール袋を渡す。


 こうちゃんが財布を取り出して……


 取り出して……固まる。


「しばし待て」


 こうちゃんがぼくの方を向いて、かわいらしく首をかしげる。


「かみーさま。おこづかい、ちょーだいっ!」


 きゃるんっ、とかわいらしくこうちゃんがポーズを取る。


「うひょー! 人気Vtuberでもあるこうちゃん先生のおねだり来たー!」


 三郎さんなんか興奮してる。

 ああ、そういえばこうちゃんVtuberだった。

 最近配信してるとこみないけど。


「お小遣いって……こうちゃん、三郎さんに何頼んだの?」


 さっ、とこうちゃんが顔をそらす。


「が、」

「が?」


「学術的な……やつ」


 …………。


「あの、すみません。三郎さん。この子何を頼んだんですか?」


 こうちゃんがブルブルと首を振る。


『同士サブロー! 言ってはいけませぬぞ!』


 ロシア語で早口で何かを訴える。


 三郎さんはグッと親指を立てる。


 グッ、とこうちゃんが親指を立てる。


「こうちゃん先生からはエロ同人誌を買って欲しいと頼まれてました!」


『おいぃいいいいいいいいいいいい!』


 こうちゃんがぽかぽか、と三郎さんの胸板をたたく。


 分厚すぎてなんか太鼓たたいてるみたい。


『なんで!? なんで言ったなんでぇ!?』


「え、あれって言えって前振りじゃあないの?」


『ちっげーーーーーーーよ!』


 こうちゃん……。


「僕からお金もらって、エッチな本を買おうとしてたの……? しかも他人に買わせて……」


「ちゃ、ちゃうねん!」


 なぜ関西風……。


「というか、三郎さんってこうちゃんのロシア語わかるんですか?」


「まー、ヒアリングだけですけどね。兄嫁さんがロシア人なんで」


 へえ、そうなんだ……。


 兄……兄嫁……?


「えっ!? あ、アリッサの運転手さん……結婚してるんですか!? しかもロシア人と!?」


「ええ。兄貴は次郎太って言うんですけど。ターニャさんってロシア人美女と結婚してるんすよ。見ます?」


 スマホを三郎さんが操作する。


 画面にはターミネーター×2、銀髪の美女×1、そして、黒髪の綺麗なお姉さん×1が写っていた。


「これは前にみんなでデスティニーランドに行った写真っす」


『デスティニーだからね! マウスさん! デスティニーだからね! ディズってないよ!』


 こうちゃんがまたあさっての方向を向いて何かを言ってる……。


「この銀髪の美人が兄嫁さんっす。こっちの黒髪のおば……」


「おば?」


「黒髪の、綺麗なお姉ちゃんが、おれの姉貴っす」


 確かに綺麗な人だ……お姉さんも、兄嫁サンも。


『あら綺麗。まー、こうちゃんも将来、こーなりますわよ?』


「…………」


『かみにーさま!? 何か言って! ロシア語で聞き取れてないだろうけれども!』


 僕はスマホを返す。


「こうちゃんのわがままに付き合わせてしまって、ごめんなさい。お金は払いますので」


 僕はこうちゃんの買った同人誌代を三郎さんに渡す。


「ああ、いえ。おれも買い物頼まれてたんで。その兄嫁さんにプレゼントっす」


 がさっ、と三郎さんの手にはアニメショップの袋があった。


「デジマスの無限天空闘技場編のブルーレイの予約してたみたいなんで、取りにきたんすよ」


 兄嫁さんはデジマスのブルーレイを予約してたみたいだ。


『結構……オタク?』


「ええ。だいぶオタクですよ、あの人。アニメで日本が好きになったって言ってましたし。元々アニメ友達っすから、おれと兄嫁さん」


 ネットでアニメを通じて、兄嫁さんは三郎さんと友達になったらしい。


「で、スカイプで会話してたら偶然兄貴が兄嫁さんのこと見かけて、一目惚れしちゃって。そっから猛烈アピールしまくってゴールインしたって感じっす」


 はぁー……国際結婚かぁ。

 すごいなぁ。


『まぁこうちゃんとかみにーさまも、結ばれたら国際結婚ですがね。どやぁ……』


「ロシア人美女との結婚かぁ……僕もそう言うの憧れちゃうなぁ」


『かみにーさま!? ここ! ここにいますよ! ロシア人美少女が!』


 こうちゃんが必死に何かをアピールしている。


「うん、こうちゃんはかわいいね」

「えへー♡」


 よしよし、とこうちゃんの頭をなでる。


「あの、デジマスのブルーレイ、買ってくれてありがとうって、お伝えいただけますか?」


 買ってくれるファンには、お礼を言わないとね。


「え? っと……どうして?」


 するとこうちゃんが、僕を指さして言う。


「この人。作者。デジマス」


「ははははっ! そりゃあ面白い冗談だ!」


 三郎さんがゲラゲラと笑い出す。


「神作家さんがこんなとこに平然と歩いてるわけないじゃないですかー!」


「えっと……」

「まじよ」


 僕らのリアクションを見て、三郎さんが固まる。


「……マジ?」

「「マジ」」


 三郎さんはニコッと笑うと、手を差し出す。

「大ファンです! 握手してくださいぃい!」


 ターミネーターが頭を下げて、僕に握手を求めてくる。


 なんか凄い図だ。


『困りますねー。握手券のご購入をなさってもらわないと。とりま1回5000兆円なり。ローンも可』


 こうちゃんがしたり顔で何かを言う。


「いいですよ。ありがとうございます」


 僕は三郎さんと握手をする。


「いやぁすげえ! マジで神作家さんだ! れ、れれ、連絡先教えてもらっても!?」


『わぁお、ぐいぐいくるねーこの人。こうちゃんはこのドーナツ食べないならもらいますね』


 三郎さんが食べてたポン・デ・リングの、余ってるやつを、そーっと手に取る。


 こうちゃんがハムハムと食べ出す。


「こうちゃん。つまみ食いだめでしょ」


「ああ、いいんですよ! 神様もどうぞどうぞ!」


 いや神様って……。


 連絡先を交換し合う。


「ひゃあ! 神作家と連絡先交換しちゃったー! ターニャさんに自慢しよー! あ、写真いいっすか!?」


「はい、どうぞ」


 僕の隣に三郎さんが座る。


「こうちゃん先生も入って入って!」

『むくつけき男達に挟まれる美少女……やめて! こうちゃんをめぐって争わないで!』


 こうちゃんを真ん中に、そして三郎さんが自撮りで写真を撮る。


「ありがとうございます! いやぁ感激だなぁ! 印刷してかざっとこー!」


『ネットに流出しないでくれたまえよ』


「もちろん! そこはわかってますぜ。大騒ぎになりますからねぇ」


 ちゃんとわきまえてくれてるみたいだ。


「デジマスについてもう少しいろいろ聞いてってもイイですか!?」


「ええ、いいですけど……お仕事とかいいんですか?」


「そんなもん大丈夫! サボってもばれないですって!」


『あー、いけませんなぁ。お仕事をさぼるなんて、プロ失格ですよ?』


 こうちゃんがロシア語でどやってる。

 たぶんおまえが言うな案件だと思う。


 と、そのときだった。


 PRRRRRRRRRRRRRRRRRR♪


「おっと失敬。電話だ。はい……え!? ね、ね、姉ちゃん!? え!? サボってないよ! ほんとだよ! うん……うん……すぐ帰ります!」


 三郎さんが電話を切る。


「すみません、ちょっと命の危機……じゃなかった、急用が入ったので、これで失礼します」


 のそっ、と三郎さんが立ち上がる。


 近くにあったアニメショップの袋を、いくつも抱える。


「何か困りごとがありましたらすぐご連絡ください! では!」


『ばーい!』


 三郎さんが帰っていく。


 僕らは残ったドーナツを食べる。


「いい人だね」

「ですな!」


 こうちゃんが同人ショップの袋を抱きかかえる。


「こうちゃん? それ……」

『さぁデート! 食べ終わったらデートですぞぉ!』

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― 新着の感想 ―
[一言] >『かみにーさま!? ここ! ここにいますよ! ロシア人美少女が!』 うんそれどう考えても日本語で言うべきところだよね!ネタやシャレじゃなくてガチで言ってるならなおさらね! 伝わると恥ずかし…
[良い点] おお!!外伝の上松さん(ちゃらんぽらん担当兼カッコいい人)と名高い三郎さんじゃあないですかい!…初登…かと思いきや…夏コミ時点で登場済み!…だと!?…ロシア語を喋ってたから次郎太さんとばか…
[気になる点] 二郎太?次郎太?何方が正しいの?
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