表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/231

7話 開会式、超人気女性歌手から愛の告白される




 僕はアニメ映画デジマスの祝賀会に参加している。


 高級ホテルにある、大広間、式典会場にて。


 僕はステージの端っこで、待機させられていた。


『それでは、劇場版【デジタルマスターズ 天空無限闘技場編】、祝賀パーティを開催いたします』


 パーティの開会式がおこなわれている。

 僕はオープニングで、サプライズゲストとして紹介されるらしい。


「うう……緊張するなぁ~……」


 ちら、と僕はステージの袖から、会場を見渡す。


 今日は映画のキャスト陣が主に来ているらしい。

 外部の出版社とか、協賛会社の人は参加してない……らしいけど。


「こ、こんなにたくさんの人が、関わってたんだ、この映画……」


 ステージの前に集まる、きらびやかな声優陣、スタッフ達を見ていると……やっぱり緊張する……。


『それでは、監督の【御嶽山みたけやま まこと】さん、挨拶をお願いします』


 司会者に呼ばれて、ステージの向こう袖から、大柄な【女性】が現れる。


『よぅ。監督の【御嶽山みたけやま】だ。おんたけさんじゃねーぞ。わかってんなぁ?』


 監督さん……女性だったんだ。

 てっきり、男とばかり……しゃべり方も男っぽいし。


『長い挨拶は性に合わねーから手短に。最高の原作と、最高のスタッフに恵まれて、この映画は大成功した。皆で掴んだ勝利だ。今日は祝勝だ! じゃんじゃん飲もうぜ! かんぱーい!』


 御嶽山みたけやま監督の音頭で、スタッフ達が手に持っていたグラスを掲げる。

 ……最高の原作、かぁ。

 お世辞だったとしても、嬉しいよねやっぱり……。


『で、だ。今日はてめーらに豪華なサプライズゲストを用意してる! みんな……誰だと思う?』


 わわっ、僕のことかな?

 いよいよ出番か……く、き、緊張する……。


『んじゃ早速来てもらおうかな。おーい、【アリッサ】』


 僕の出番……あれ?

 どうやら、違うみたいだ……?


「アリッサ……? どっかで聞いたような……」


 するとステージの照明が落とされる。


 中央に一人の美女が、立っていた。


「……思い、出した。【アリッサ・洗馬せば】さんだ……! 歌手の!」


 それはとても背の高い女性だった。


 すらりと長い手足と、豊満なバスト。

 きらびやかな金髪と、真っ白な肌。


 芸能人と言っても遜色ないレベル。

 しかし彼女の本業は歌手……。


 僕でも知っている。

 彼女は【アリッサ・洗馬】。

 超有名な若手の歌手で……僕のアニメのオープニング曲を歌っている人だ!


 活動開始からまだ2年くらいで、もう紅白に出場したっていう……すごい女性歌手だ。


「…………」


 アリッサさんはステージ中央で、静かに歌い出す。


 映画のエンディング曲【心の焔群】だ。


 アニメ1期のオープニング【華炎かえん】とはまた違ったテイスト。


 激しい1期オープニングとは違って、落ち着いた曲調。

 けれど静かに燃え上がる炎のような激しさが含まれている。


 ……すごい。

 アリッサさんの生歌だ。臨場感が違う。


 彼女が歌い終わって、頭を下げる。


 会場に居る人たちが拍手喝采する。

 僕も知らず拍手していた。


『ありがとよぉ、アリッサ。いやぁ良い曲だよなぁ』


『……ありがとうございます、御嶽山みたけやま監督。ですが、この曲はワタシだけの力でできたものではありません』


『そうだな。アニメ1期の華炎かえん、映画の心の焔群も、どっちも素晴らしい曲だけど、やはり素晴らしい原作があってこその曲だからな……ってことで』


 御嶽山監督は一息つく。


『ここで本当のサプライズゲストを呼びたいと思うぜ! なぁ、先生! 出てきてくれ!』


 わわっ、僕の番か。

 急いで僕はステージ袖から出てくる。


「……誰あの子?」「……若い、高校生?」「……先生……って、まさか!」


 ステージ前の人たちが、ざわついている。

 わ、わわ……皆の視線が僕に集まる。

 てか、照明! まぶしい! 暑い!


『えー、みんな初めて見るよな。アタシも会うのは初めてだ。つーことで、紹介しよう』


 監督が僕の背中をバシッ、と叩く。


『この最高の作品……デジマスの産みの親、【カミマツ】先生だ』


 一瞬の、静寂があった。

 みんなぽかん……と目を丸くし、口を開いている。


 だが。


「「うぉおおおおおおおおおおおお!」」 


 会場を揺らすほどの大音量で、歓声が上がる。


「す、すごい! カミマツ先生だ!」「生カミマツ様だ!」「きゃぁーーーー! カミマツ様ぁああああああああああああ!」


 スタッフ陣が驚愕の表情で僕を見ている。

『驚くのも無理はない。本来サプライズゲストはアリッサだけだったからよ。カミマツ先生が参加するって事で、急遽予定にねじ込んだわけだ』


 監督がぼくの前までやってきて、頭を深々と下げる。


『改めて、初めまして。監督の御嶽山みたけやまです。このたびは最高の原作をお借りさせてもらって、ありがとうございました』


 先ほどまでの男口調から一転して、監督が丁寧にお辞儀してくる。


 次に、アリッサさんがその隣にやってきて、また頭を下げる。


『……初めまして先生。アリッサ・洗馬せばです。お会いできて……本当に……光栄です……』


 ん? どうしたんだろう……?

 と思ったら、アリッサさん……な、泣いてる!


『おいおいアリッサ。何泣いてるんだぁ?』


『……すみません。嬉しすぎて……つい……』


『あーわかるわ。アリッサ言ってたもんな。愛しのカミマツ先生に会いたいって』


 い、愛しのぉ!

 ど、どういうこと……?


『先生聞いてくれよ。こいつな、先生の超ファンなのよ』


 こ、この人も!?

 由梨恵ゆりえだけじゃなくて……?


『なにせアニメ化の企画が社内で上がったとき、まず真っ先に、自分から【曲を作った。ぜひこの最高の作品の主題歌に使ってくれ】って頼んできたんだからな』


「そ、そうなんですか……?」


 こくり、とアリッサさんがうなずく。

 

『……先生の素晴らしい物語に、ワタシ感動したんです。こんな美しいお話、うまれて初めて読みました。気づいたら曲を作っていたんです』


『すげえよな。誰かに頼まれて、金をもらって作るんじゃなくて、先生の作品のためだけに曲作るんだから。情熱は本物だよまじで』


 そこまで……僕の原作を、愛してくれていたなんて……。


『……先生。本当に、ありがとうございます』

 

 アリッサさんはボロボロ泣きながら、僕に抱きついてきた。


 え、えぇー!?


 と、突然どうしたのー!?


『……先生に会いたくて会いたくて、でも会えなくって……このままずっと会えないものだと思ってたので……だから、とてもうれしいんです』


「そ、そ、そう……ですか……その、ごめんなさい」


 そこまで熱望されてたのに、気づかずにいて。


『……いいんです。こうしてカミマツ先生にお会いできたので。本当に……嬉しい……ああ……先生……』


 そこで、予想外のことが起きた。


 アリッサさんは僕の頬を手で包み込む。

 そして……顔を近づけてくる。


「『え?』」


 監督も僕も、そして会場の皆も困惑している中で……。


 超人気歌手、アリッサ・洗馬せばさんに……


 ちゅっ……♡


「………………え?」


 僕は、キスをされた。


 アリッサさんは顔を真っ赤にして、しかし微笑みながら言う。


『先生。……ワタシ、あなたのことが大好きです。付き合って……いただけませんか?』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] これ以降も女の子に文句をいうようなシーンがほとんどない… この回のアリッサなんてぶっ叩かれてもおかしくないのに
[気になる点] >芸能人と言っても遜色ないレベル。  しかし彼女の本業は歌手……。 「歌手」って「芸能人」の範疇に入らないのですか? 「芸能人」イコール「歌手」ではありませんが「歌手」は間違いなく「…
[一言] ここまで主人公ヨイショばっかで展開が雑だなあ いきなり付き合っては流石にない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ