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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第1章

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32話 神絵師とのコラボ配信



 ある日の夜、僕はパソコンの前でヘッドセットをつけて、待機していた。


「うう……緊張するな……配信なんて……」


 知り合って少しして、イラストレーターのみさやま先生こと、こうちゃんから、こんな提案をされたのだ。


『コラボ配信、しませんかっ』


 こうちゃんは動画配信サイトOurTUBEで定期的に生配信を行っている。


 そこに、僕がゲストとして呼ばれることになったのだ。


 担当編集の芽依めいさんにもOKをもらってる。


『登録者800万人の人気配信者とのコラボ!? すごいよ先生! よし、本の宣伝よろしく!』だってさ。


 顔は出さないという条件つきで、僕は20時からの配信にゲスト出演する。


 すでに僕とこうちゃんのツイッターでは、コラボ配信のツイートはしている。


「というかこうちゃん、ツイッターのフォロワー数えげつないな……350万人って……」


 そんなこんなあって、20時になった。


 こうちゃんのOurTUBEのサイトで、生放送が始まる。


 画面には可愛らしい女の子のイラストが、微妙に動いたり、目を閉じたりしている。


 こうちゃんは動画配信者だが、Vチューバーなのだ。


 この大人のお姉さんキャラが彼女のアバターらしい。


「こうちゃんの生配信って初めて見るけど……どんな感じなんだろう……大丈夫かな?」


 日本語での配信なんて、できるのだろうか。


『みんな起きてる~? みさやまこうだよ!!』


 ……こうちゃんの可愛らしい声が、画面から聞こえてきた。


『日曜日の夜なのにみんな集まってくれてどうもありがとー! みんなご飯食べた? 私まだー! 緊張しちゃってご飯食べられなかったよぅ~!』


 ……めっちゃ流ちょう。


 OurTUBE登録者数800万人いくくらいのベテラン配信者だもんね、こうちゃん。


 僕の心配なんて要らないわけだ。


 こうちゃんが近況をペラペラと語っている。


 僕心のイラスト制作がとても順調らしい。


『わーしゃべりすぎちゃった! ごめんね! 前置きが長くなっちゃって~!』


 こうちゃんの配信画面には、コメントが表示されている。


【いーんだよこうちゃん!】

【気にしないで!】

【カミマツ様召喚まだ~】


 凄い好意的なコメントにあふれている。


 すると、ぽこんっ♪ と僕のノートパソコンに入ってる、【ディスコード】にメッセージが入った。


【せんせー、準備だいじょうぶですか?】


 大丈夫ですよ、と僕は返事する。

 ヘッドセットをつけ直す。


 今からこうちゃんの配信にお邪魔して、ふたりで1時間くらいおしゃべりするのだ。


 ふぅ……大勢の前でしゃべるの、緊張するなぁ。


『さぁじゃあ今日のメインイベント! ゲストをお呼びします! せんせー! カミマツ先生ー!』


 ディスコの通話がオンになる。

 これでしゃべって良いらしい。


「えっと……こんにちは」


 僕がしゃべると、配信画面に、ワンテンポ遅れて僕の声が聞こえてきた。ちょっと変な感じ。


『きゃ~~~~~♡ かみにーさまぁあああああああああああ♡』


 こうちゃん大興奮。

 もちろん日本語。


【うぉ! 生カミマツ様だ!】

【す、すげええ……! カミマツ様実在したんだ!!】

【お、おれ……ちょっと感動!】


 さっきと比較にならないスピードでコメントが流れていく。


 目で追えないぞこれ!


『みんな知ってるよね! 大人気作品【デジタル・マスターズ】の作者、神作家カミマツ先生ですー!』


「いや神作家って……そんなたいそうな者じゃないよ……」


『聞いたみんなっ! かみにーさまほんっと謙虚でちょー素敵なの~♡ ね~♡』


 ふにゃふにゃと蕩けるような声音でこうちゃんが言う。


【あ、あのこうちゃんが……メスの声をしてる……!】

【こいつはラブコメの波動を感じるぜぇ……!】

【てかかみにーさまって! おいおい距離感どうなってるの!?】

【おれたちのこうちゃんが……カミマツ先生に取られる!?】


 こちらのアクションに対して、コメントが凄い速さでリアクション取ってくる。


 なんか面白いなこれ。


 ややあって。


『今日はワガママ言って配信に来てもらっちゃってごめんなさいっ!』


「いえいえ。僕も動画配信ってやってみたかったし。誘ってくれてありがとう」


『はぅ……♡ かみにーさま……優しい♡ 素敵~……♡』


 えへへっ、とこうちゃんが声を弾ませて言う。


「こうちゃんって、普通に日本語ペラペラなんだね」


『あ、うん。パパもママも日常会話日本語だし、生まれも育ちもわたし日本だから』


「へぇー……じゃあ、なんでこの間しどろもどろだったの?」


『はぅ……そ、それは……だ、大好きな人の前だと、緊張しちゃって……』


 ……あれ、この質問やばかった?


【だ、大好きな人!?】

【Loveなのか!? Likeなのか!? どっちなんだいー!】

【こうちゃん姫ぇ……! まさか男女の仲なのか既にぃいいいい!】


 や、ヤバい……!

 コメントが、さらに大変なことに……!


「こ、こうちゃん……フォローお願い。僕らはほら、ね、友達だから、ね!」


『み、みんな落ち着いてー! かみにーさま……カミマツ先生とは何もないよ! ただの……ただの……ぽっ♡』


 おいいいいいいいいい。


【これは……つまりそういうことかっ!】

【カミマツ様の女になっちまったのか!?】

【ちくしょう! カミマツめぇ……!】


 ああ視聴者のコメントがマシンガンのようだ……!


「いや本当にただの友達で、仕事仲間だから。ね?」


『…………ふふっ』


「意味深な笑い方やめてぇー!?」


 そんなふうに僕らは和やかに会話していく。


 コメント欄も多少の荒れたものの、みんな優しい人ばかりだった。


『わ……! かみにーさま凄いよ……! 同時接続数が……とんでもないことになってるー!』


「同時接続数……?」


 聞き覚えのない単語だった。


『この配信をどれくらいの人が見てるかってこと。なんとびっくり300万人だよー!』


「え、それって何か凄いことなの?」


『すごいことだよッ! 日本の有名歌手グループさんがOurTUBEはじめたとき、接続人数が75万人で歴代トップだったの。それが今300万人! 4倍だよ4倍!』


【す、すげええ……!】

【かみにーさま効果だ!】

【さすがですお兄さま!】


 なんだかわからないけど、凄いことらしい。


「いやいや、みんなこうちゃんを楽しみに見に来てるから。こうちゃんの実力だよ」


『…………』


「こうちゃん? どうしたの?」


 一拍おいて、こうちゃんがこんなことを言う。


『かみにーさまって……どうしてそこまで謙虚なんですか?』


 突然のことに戸惑いつつも、彼女の言葉の続きをまつ。


『だってデジマスの映画は500億円稼いだんですよね。書籍も飛ぶように売れて、人生の勝者じゃないですか。多少増長しても良いのに……すっごい謙虚で。気になりました』


「うーん……謙虚って言うか……純粋にデジマスが売れたのって、僕の手柄じゃないからね」


 そもそも論として、と僕は続ける。


「本が世に出るためには、色んな人が携わっているでしょ? 編集さんとか、イラストレーターさんだけじゃなくて、本を売ってくれる人、配ってくれる人とか。そういうたくさんの人たちの努力があって、本が世に出るじゃない?」


 アニメにしてもそうだ。

 絵を描いてくれる人、動かしてくれる人、声を当ててくれる人、主題歌を歌ってくれる人……。


「僕以外のたくさんの人の力で、デジマスって作品は多くの人に見てもらえる作品になったんだ。それは僕だけの力じゃ決してない。僕がやってることなんて……せいぜいが文字を打つくらい。本当に凄いのは、本を作ったり、漫画書いたり、アニメやCM作ってくれる、僕以外の人たちだと思ってるんだ」


 だから増長も何も、最初から僕だけが凄いヤツなんて一ミリも思っていないのだ。


「って、ごめんね偉そうに語っちゃって」


『…………』


「こうちゃん?」


『ぐすん……ふぐ……うぇええええええん!』


 ど、どうしたんだ!?

 急にこうちゃんが泣き出したぞ!


「だ、大丈夫!? 僕なんか気に障るようなこと言った?」


『ちがうよぉ~……かみにーさまが……立派な人過ぎてぇ~……感動しちゃってぇ~……』


 り、立派……? 感動……?


 困惑する僕をよそに、コメント欄にも……。


【やべええ……神作家は人格まで神だった……!】

【やっぱ神作品を作る人は、人間としての格が違うよなぁ!】


【かみにーさま最高! 素敵!】

【神! 神! さすがかみにーさま神!】


 わぁ……なんかとんでもない数のコメント数になってるよ……!


『ぐしゅん……かみにーさま……お見それいたしました。みんなも言ってるとおり、あなたは最高のクリエイターだと思います!』


「あはは。ありがとう。僕もこうちゃんは最高のクリエイターだと思うよ。カラーの絵、最高だった」


 芽依さんとこうちゃんと打ち合わせ済みだ。

 配信終盤に、【僕心】の表紙、および口絵(カラーの絵)をお披露目する運びになっている。


 こうちゃんが画面上に、僕心の絵を表示する。


【うぉおおお! すげえええ!】

【なんじゃこりゃw ちょうかっけー!】

【これは勝ったな! いや、買ったな!】


 またもコメント欄がお祭り騒ぎになっている。


 よし、このタイミングで宣伝だ。


「僕の心臓を君に捧げよ。7月発売です、たくさんの人がめっちゃ頑張って作られた作品です。どうか……よろしくお願いします!」


 するとコメントがまたも……というか今日一番の速さで流れていった。


【絶対買う!】

【100冊買っちゃうもんね!】


【配信感動した! 本買います!】

【かみにーさま好きになっちゃった! にーさまの本絶対ゲットしますぅ!】


 そんなふうに、配信はつつがなく終了。


 同時接続数は、最終的に450万人になった。


 翌日の朝。


芽依めいさん、お疲れ様です」

『おつかれ先生! やばいよアマゾンのランキングみた!?』


 僕はページを開いて……絶句する。


「う、うそおぉん……ベストセラー1位……?」


 アマゾンは、本が売れるとランキングが変動する。

 本のカテゴリーのなかで、全世界でのランキング1位になっていた。


『凄すぎるよ……! やっぱり先生の作品は神だね! 最高だよ!』


「いや……こうちゃんの配信がよかったんだと思います」


『いやいや、絶対先生の最後のあのセリフにみんな感動したんだよ! さっすが神作家!』


 そんなこんなで、初配信と宣伝は、大成功に終わったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 発売前に売り上げ一位ってどういうこと? アマゾン詳しくない 教えて偉い人❕
[気になる点] こうちゃんのは、普通にVRの方のアバターの見た目も書いて欲しかったですね。え? リアルと同じ色配分……? フハハッ……え、マジで?? [一言] かみにーさますげぇ……! 人格も神だ! …
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