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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第1章

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31話 ロシア語で尋常じゃないレベルでデレる神絵師さん



 2シリーズ目の小説【僕心】。

 イラスト担当、【みさやまこう】さんと顔を合わせることになった僕。


 しかし当日現場に現れたのは、どう見ても10歳くらいの、小さくて可愛いロシア系美少女だった……!


 場所は駅前のスタバ。

 窓際の席に、僕とみさやま先生は対面で座っている。


『わぁ! わぁ! 光栄です! 世界最高のクリエイターであるカミマツせんせーに出会えてもう超嬉しい! 嬉しくて死にそう!』


 顔を真っ赤にしながら、銀髪少女が何かを訴えている。


『せんせーのこともう超・大・好きなんです! あの素晴らしい物語に何度も何度も心を熱くさせられました!』


 みさやま先生が熱弁を振るう。

 けど……すべて日本語ではなかった。


 多分ロシア語、かな。でも言うまでもなく僕は生粋の日本人。

 だから、相手がロシア語で何を言ってるのかさっぱりである。


『あんなにも凄い物語を書けるせんせーは本当の天才です! 私はあなたをとてもとても尊敬してます!』


「あ、あの……みさやま先生。お、落ち着いて……何言ってるのかわからないから」


 ハッ……! と先生が顔を赤くする。


「…………ごめ、んなさい」


 今度は日本語だった。

 よかった、意思疎通はできるみたい。


「えっと……じゃあまずは自己紹介かな。はじめまして。上松あげまつ 勇太ゆうたです」


「…………三才山みさやま こうです」


 先生がスマホを取り出して、凄い速さでフリック入力。

 画面を見せて、漢字でどう書くのかを教えてくれる。


「へえ……かわいい名前ですね、三才山先生」

「~~~~~~~~~~~!」


 ボッ……! とみさやま先生が顔を赤くする。


『ず、ずるい! そんなの……ほ、ほれてまうよー! もうっ、せんせーってば小説の才能だけじゃなくて、女殺しの才能でもあるのかなっ♡ 素敵っ♡ 素敵♡ きゃー♡』


 うーん無口じゃないんだろうけど……

 いかんせん何を言ってるのかさっぱりだ。


「先生のそれって」

「……【こう】、です。こう、読んで。あの……」


「? ああ……呼び方ね。こうちゃん……でいい?」


 クワッ……! とこうちゃん目を大きく開く。


『ふぁ~~~~~~~♡ こうちゃん♡ こうちゃんって呼ばれちゃったよぉう♡ 大好きな人から愛称で呼ばれちゃったぁ♡ 好きー♡ 好き好き~♡ もう大好き~♡』


 こうちゃん、またエキサイトしている。

 見た目の印象は、おしとやかなの深窓の令嬢なのにね。


 ツイッターでの印象通りだなって思った。


「じゃあ僕も好きに呼んで良いよ」

「……じゃ、あ。神、さまで」


「神て。いや普通に呼んでよ」

「……おにーさま、で」


「いや別に君のお兄ちゃんじゃないんだけど……」

「……かみ、にーさま、で」


 もうそれでいいや……。


「こうちゃんって……その、本当にイラストレーターさんやってるの? そんなに若いのに?」


 小学生でイラストレーターって……凄いことだと思う。


 けどこうちゃん、顔をふるふると横に振る。


「……わ、私……15、です」

「じゅ、15!? じゃあ……中学3年生?」


「……高校、通って、ます」


 ……高校生かよ!

 いや……身長小さいから、完全に小学生かと思った……。


 けどまさか一個下だったなんて。


「そんなに若いのに、超人気イラストレーターでOurTUBERなんて、すごいなぁ」


「!!!!!!!!!!!!!!!」


 こうちゃんが顔とか腕とかを一瞬で真っ赤にする。


『ひゃあああああ♡ 好きー♡ 尊敬するクリエイターからすごいって言われちゃったひゃぁあああああ♡ 好き好き好きー♡ だいしゅきぃいいいい♡ きゃぁあああああああああ♡』


 ばたばたばた! とこうちゃん足をばたつかせる。


 さっきから彼女、【ぬらー】【ぬらー】って連呼してるんだけど……どういう意味だろう?


 と、そのときだった。


「きゃ……!」


 こうちゃんが足で、テーブルを蹴ってしまった。

 パシャッ、とコーヒーの中身が飛び出る。

 中身がこうちゃんの右手の甲にかかった。


「た、大変だ……!」


 僕は慌てて彼女の白い手を取る。


「!?!?!?!?!?!?!?!?」


「大丈夫!? 火傷してない!?」


 しゅううう……と彼女の顔が、湯気が出るレベルで、真っ赤になる。


 あ、でも手は赤くなってないぞ。


「よかった……アイスコーヒー頼んでたんだね……って、こうちゃん?」


 くたぁ……とこうちゃんの体がずり下がる。


「こうちゃん!? どうしたの!?」

『……かみにーさまに……おててぎゅっされて……幸せすぎて、死んじゃいまひゅ~……♡』


 何事かをつぶやきながら、こうちゃんは気を失うのだった。


    ★


 その後復活したこうちゃんと一緒に、スタバを出た。


 騒ぎを起こしちゃったからね。


 駅向こうのアニメショップに、僕らはやってきている。


『きゃー♡ デジマスグッズがいっぱいだー♡』


 ダッ……! とこうちゃんが走って行く。

 こうしてみると小学生なんだよなぁ、完全に。


 こうちゃんが見ているのは、デジマスのアクリルキーホルダーだった。


『わぁ……! 新作のアクキー! どれも最高……! くぅ~!』


 あんまりにも熱心に見てる。


「欲しいの?」


 こくこく! と強くこうちゃんがうなずく。


「買ってあげようか?」


 そんなバカな!? みたいに、驚くこうちゃん。


「……い、いの?」

「うん。これからたくさんお世話になるし、プレゼント」


 こうちゃんがまた顔を赤くする。

 色白だから、赤くなるとすぐにわかるよね。


『もうだめぇ~……好きすぎるよぉ~……♡ かみにーさまは……神作家で性格もイケメンとか……もう好きになるしかないじゃ~ん……♡』


 うーん、マジで何を言ってるのかさっぱりだ。

 けどまあ喜んでくれそうなのでいいか。


「どれが良い?」


 こうちゃんは真剣な表情でジーッと見つめる。

 やがて、【レイ】のアクリルキーホルダーを選ぶ。


「レイ好きなの?」


 きらん、とこうちゃんの目が輝く。


『はい! 大好き! かみにーさまの生み出した神キャラクター達の中で、一番好き! なんと言ってもレイは今映画でやってる天空無限闘技場での活躍がもう最高すぎて!』


 以後、こうちゃんがマシンガンのごとく速さで何かを語っていた。

 意味はわからないけど、熱量は伝わってくる。


『でねっ。こんな凄いキャラクターを生み出した、かみにーさまは本当に凄い人だとおもうのっ! もうすごいよ! 最高だよ!』


「あ、ありがとう……」


 褒めてくれたことだけは伝わってきた。


 僕の作品をここまで愛してくれているひとが書いてくれるんだ。

 きっと……いや絶対、僕心も凄いものになるぞ。


 その後アクキーをレジで買ってきて、こうちゃんに手渡す。


「……ありが、と。ござい、ます」


 こうちゃんはぎゅーっと、アクキーを胸に抱く。


「……一生の、宝物。です」

「んな大げさな」


 ぶんぶん! とこうちゃんが首を振る。


『大げさじゃないです! 尊敬するかみにーさまからもらった、ものだから。ずっとずっとずぅっと、大事にします! 死ぬまで大事にします! 棺桶の中に一緒に入れてもらいますー!』


 言葉は伝わらないけど、気持ちは伝わるよね。


 そんなふうに僕らは買い物をしたあと、夕方。


「じゃあ、こうちゃん。また」


 夕方、駅前にて。

 僕らは別れようとしている。


『ああ……! もう夕方なんて! 時間経つの早すぎぃ……! はぁ~♡ 大好きな神作家との幸せな時間だったから……ほんと一瞬だったなぁ~……♡』


 凄い、残念そうな表情のこうちゃん。

 もっとおしゃべりしたかったのかな。


「えっと……そうだ。こうちゃん、連絡先交換しない?」


 またも顔を赤くして、ぷるぷると震えるこうちゃん。


『わ、わたしごときが……神作家の……連絡先を……も、もらい受けてもよいのですか……? お、恐れ多い……』


 何言ってるのかやっぱりわからないけど、いいの? みたいなニュアンスだろう。

 僕らは手早く、ラインのIDを交換する。


『神! 神! 神からもらった神の連絡先だぁー! ひゃあああ♡ うれしー! 嬉しすぎるー! 今日はハッピーデーか? 人生最良の一日にランクインだよー!』


 ぴょんぴょん、とこうちゃんが嬉しそうに飛び回る。


「今後もわからないこととかあったら、いつでも質問して」


『い、いつでも!? いつでもってことは……毎日でもいいんですかっ!?』


 ずいっ、とこうちゃんが鬼気迫る表情で顔を近づいてくる。


『毎日電話してもいいんですかっ!?』

「え、えっと……うん」


 何言われてるかわからなかったけど……。


『えへへっ♡ やったー! しあわせー! かみにーさま大好きー♡』


 こうちゃんがぎゅー、と僕の腰にしがみつく。


「え、えと……こうちゃん? その……人の目があるから、ね?」


 こうちゃんはまた一瞬で、体中の肌を真っ赤にする。


「……ごめん、なしゃい」


 しゃいって、可愛いな。


「じゃあその……これからもヨロシクね」


 僕はこうちゃんと握手する。


「……は、い! がんばり、ます!」


 力強く、こうちゃんがうなずく。


『僕心のイラスト、最高のもの仕上げます! かみにーさまの、第二の神作のために……!』


 頑張ります的なこと、言ってるのかな。


「うん、僕も頑張ります」


 こうちゃんは改札を潜って、僕の方を見やる。


『かみにーさまー! ばいばーい! 愛してますー!』


 ロシア系の美少女が、元気いっぱいに手を振っている。

 

 うん、良い子だなぁみさやま先生。

 これなら、安心してイラストを、任せられそうだぞっ!

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― 新着の感想 ―
[一言] >それでブックマークを外されたりして更新が停止した場合、困るのは楽しみにしている人達なのです。 そういうアンチコメしてる人って、そもそもブックマーク設定してるんだろうか? アンチコメして…
[気になる点] 陰キャ設定はもう卒業したんですかね? こうちゃんヤババ( ´ㅁ` ; )
[一言] >アンチコメしか書いてない人は読まなきゃいいじゃん。ウチは面白いと思うからずっと読んでますよ。 何なら自分で作品かいてみたら? そういうコメは止めて下さい。それでブックマークを外されたりして…
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