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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第1章

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30話 神絵師と打ち合わせ



 ある休日のこと、僕は川崎駅まで来ていた。


「待ち合わせはスタバに11時にか……」


 僕はスマホの電源を入れる。

 ツイッターのダイレクトメッセージには【11時に川崎のスタバで会いましょう!】と書かれている。


 相手の名は……【みさやまこう】。


 さて経緯を話そう。


 先日、僕の2シリーズ目【僕の心臓を君に捧げよ】の書籍版の情報が解禁となった。


 7月発売、出版社はデジマスと一緒、そしてイラストレーターさんは【みさやまこう】さん。


 ツイッターでその情報を流したところ、もの凄い勢いで拡散された。


 ツイートをした数分後に、みさやまこうさんからフォローされた。

 さらにDMが送られてきたのだ。


【はじめましてカミマツ様! 私、せんせーの大大大大大ファンなんですー!】


【ぜひ一度、直接会って打ち合わせしたいです!】


【デジマスのこととか、僕心のことで、いろいろせんせーのお話聞かせてください!】


 みさやまさん凄くフランクな人だった。

 絵のお礼もしたかったので、会うことにした次第。


「集合11時だけど……ちょっと早く来過ぎちゃったかな」


 時刻は10時くらい。

 まあ、駅前適当にふらついてからいこうかな……と思ったそのときだった。


「ん?」


 ふと、駅前にとても可愛らしい女の子がいることに気づく。


「銀髪に青い目……外国の人かな? ロシア系かも」


 年齢は10才くらいかな。

 小学生みたいな見た目している。


 お尻の辺りまで伸ばした長い銀髪と、冬の空のような澄んだ青い瞳。


 伸ばした前髪で片目が隠してある。


 真っ白な肌に黒いドレスのような服装……まるでお姫様だ。


「…………」


 銀髪のお姫様は、あっちへふらふら、こっちへふらふらと、改札の前を行ったり来たりしている。


 スマホを見て、きょろきょろしている。

 たぶん出口がわからないんだろうなぁ。


『あの……すみません……北口ってどっちですか……』


 彼女は何かをしゃべっている。

 けど……意味が理解できない。


 ……日本語じゃ、ないよね。


『あの……すみません……どなたか……その……』


 でもあの目はわかる。

 迷子の目だ。


「あの、さ。君……大丈夫?」


 見かねて、僕は少女に声をかけた。

 びくん……! と彼女が体を強くこわばらせた。


 ブルブルブルブル……! と震えだす。


「えっと……その、もしかして迷子?」


 びくんっ! ブルブルブルブル……!


 ま、参った……完全に怯えてるよ。

 そりゃそうだ、知らない人から声をかけたら怖いってもんだもん。


「どうしよ……ん? あれ、それって……」


 少女がスマホをぎゅっと握りしめている。

 スマホカバーには、【デジマス】の主人公【リョウ】が描かれていた。


 でも……変だな。

 公式の絵じゃないぞ?


「それ、デジマス?」

「…………!」


 少女が目を丸くする。


「もしかしてデジマス好きなのかな?」

「…………!」


 こくこく、と少女が強くうなずく。


「そっか。僕もデジマス好きなんだ。リョウ、かっこいいよね」


「…………!」


 こくこくこくこく! と少女が何度もうなずく。


 少しデジマスの話をした。

 彼女はしゃべらないけど、でもリアクションは取ってくれる。


 かなり大ファンらしくて、色々とグッズを持っているんだってさ。


 僕らがデジマスについて話していると、彼女の緊張はだいぶほぐれたみたいだった。


「ところで君、迷子? どこか行こうとしてたの?」


「…………」

 

 こくん、と少女がうなずく。


 スッ、とスマホを僕に見せてきた。

 ブラウザにはスタバの画像。


「北口のスタバ? 行きたいの?」


 こくん、と少女がうなずく。


「そっか、よければ一緒に行こうか?」

「!」


 いいの、とばかりに彼女が首をかしげる。


「うん。ちょうど僕もそこに行く予定だったんだ」

「!」


 ぱぁ……! と少女が表情を明るくする。


『……ありがとう。優しいお兄ちゃん』

「? えっと……じゃ、いこっか」


 そんなわけで、僕は少女を連れて、北口へと向かう。


 とてとて、と少女がうしろから付いてくる。

 しかし小学生も最近は、ひとりでこんな人の多い場所に出歩くんだなぁ。


 僕らは信号待ちをしながら話す。


「スタバなんて行ってどうするの? 待ち合わせ?」


 こくん、と少女がうなずく。


「そっか。僕も人に会うんだ」


 みさやまさんがどんな人なのかわからないけど……ま、到着してDM送ればなんとかなるよね。


「あ、信号青だ。渡ろうか」

「…………」


 少女は立ち止まってしまった。


「どうしたの?」


 ぶるぶる、と震えている。

 なんだろう……?


『……横断歩道、怖い』


 相変わらず何言ってるかわからない。

 けど何かにビビってる……?


「大丈夫だよ。ほら」


 何が怖いのかわからないけど、僕は彼女の手を握ってあげる。


「あ……」


 みちるも、昔は結構怖がりだった。

 そういうときは、一緒に手をつないであげると、怖いのもなおっていたっけ。


「僕が付いてるよ」


 少女の手を握りながら横断歩道を渡る。


 彼女はぽーっと顔を赤くしながらぼくを見上げてきた。


『……すごい。王子様みたいだ。かぁっこいいよぉ~……♡』


 そんなこんなあって、僕らはスタバへと到着した。


「はい到着」


 ぺこぺこ、と少女が頭を下げる。


「いえいえ。待ち合わせの相手、いる?」


 ジッ、と少女が店内をつぶさに見る。

 だがふるふる、と首を振った。


「そっか。一人で待つのもあれだろうし、よければ一緒に待とうか?」


 ぱぁ……! と少女が顔を明るくする。

 だが、すぐに首を振った。


「大丈夫なの?」

「…………」


 こくん、とと少女が首を縦に振る。


「そっか。じゃあね」


『……ありがとう、優しくて最高にカッコいいお兄ちゃん……♡ はぁ~……♡ せんせーがこのお兄ちゃんみたいな素敵な人だったらいいのになぁ~♡』


 少女が頬に手を添えて、くねくねと体を動かしていた。


 なんだろう、小学校の間に流行ってるダンスかな?


「さて……みさやま先生きてるかな」


 とは言え、相手の顔もわからないからなぁ。


「あ、そうだ。DMでメッセージおくっとこ。ええっと……到着しました、と」


 すると、すぐさま返事があった。


【こんにちはせんせー! 私も到着しましたっ!】


「あ、そうなんだ」


 僕は【どこにいますか?】と打つ。


【入り口のところにいますー! せんせーに会いたい会いたいですー! きゃー♡ どうしよう心臓ばくばくですよー!】


 随分とおしゃべりな人みたいだ。

 何歳くらいだろう……?


 動画配信してるし、絵描きさんでもあるから……20歳くらいかな?


【せんせー? どこー?】


 入り口のとこを探してみるけど、さっきの女の子以外にいない。


【どこー?】

「えっと……どこだろう?」


【ねーえーどこー!】

「ううん……あれ……いないよなぁ?」


 おかしいなぁ……と、そのときだった。


 とんっ、とさっきの少女が、正面からぶつかってきたのだ。


「きゃ……っ」


 可愛らしい声とともに、彼女が尻餅をつこうとする。


「あぶないっ」


 僕はとっさに彼女の腕を引っ張る。


「大丈夫? ダメだよ、前見て歩かないと」


 かぁ……と少女が顔を赤くする。


 ……と、そのときだった。


「え?」


 彼女の落としたスマホの画面が、ちらっと見えてしまった。


 そこには、ツイッターのDMのページが開かれていた。


 そして……さっきみさやま先生と、僕との会話が書かれている。


「え? あ、あれ……? も、もしかして……」


 少女は顔を赤くすると、スマホをバッ! と回収する。


 僕はスマホに文字を打ち込む。


【もしかして、みさやま先生ですか?】


 え、と少女が顔を上げる。

 彼女の青い瞳と、僕の瞳が交錯する。


「「え……?」」


 少女はDMにメッセージを送る。


【もしかして……カミマツせんせーですか?】


 僕の携帯に、ノータイムで、みさやま先生からメッセージが来た。


「あ、はい。そうです、みさやま先生」

「~~~~~~~~!」


 少女は顔を真っ赤にして、ぷるぷると震えだす。


『……どうしよう~♡ 想像の何億倍も、カッコいい人だったよぉ~♡』


 日本語じゃない言葉で何かを呟く彼女。

 どうしよう、失礼なことしちゃったかな?


 ともあれ、僕はイラストレーターである、みさやまこう先生と初顔合わせしたのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] うーん…大ファンなのにフォローは仕事が決まってからなんですか、Vtuber会社の規約などでっていう話なら分かりますが、普通はあり得ないかと、他の方も言っていますがヒロインの好感度が最初…
[気になる点] みさやま先生、カミマツ先生の作品の大ファンなのにフォローしてなかったんすか?
[一言] 星は付けたいけど上限までつけちゃってるし 申し訳ない
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