【番外編】
時計の針は、深夜二時を回っていた。
リビングには、台風が過ぎ去った後のような静寂と、むせ返るような甘い熱気が漂っている。
「……ふぅ。いい汗かいたな」
僕は冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップ一杯を一気に飲み干した。
喉を潤す冷たさが心地いい。
シャワーを浴びてスッキリした僕は、ソファに座って一息ついた。
だが、僕以外のメンバーは、そうではなかった。
「……ぅぅ……ゆ、ゆうたぁ……もう、むりぃ……」
「はうぅ……。腰が……わたしの腰が、砕け散っちゃったよぉ……」
絨毯の上で、みちると由梨恵が折り重なるように倒れている。
二人ともピクピクと痙攣していた。
「あらぁ……。年上の余裕を見せるつもりだったのに……これじゃあ、形無しねぇ……」
「…………」
ソファの端では、芽依さんと、いつの間にか参戦していたアリッサが、魂の抜けた顔で沈没していた。
全員、髪は乱れ、服ははだけ、肌は上気し、全身から湯気を上げている。
完全にエネルギー切れ(ガス欠)だ。
「……化け物か、アンタは」
テーブルの端で、こうちゃんがげっそりとした顔で呟いた。
彼女もまた、直接何かしたわけではないのに、その場の空気に当てられたのかヘロヘロになっている。
『かみにーさま……。人間離れしてると思ってたけど、ここまでとはね』
「え? そうかな? みんな楽しそうだったし、つい張り切っちゃったけど」
僕は首を傾げる。
確かにちょっと激しかったかもしれないが、心地よい疲労感だ。
むしろ、魔力が活性化して、執筆のアイデアが湧いてきているくらいだ。
そんな僕の涼しい顔を見て、こうちゃんは信じられないものを見る目で、あいた口が塞がらない様子だった。
そして、震える指で屍累々の惨状を指差す。
『見てみなよ、この死屍累々を。……五対一で、全員返り討ちにするなんて』
「ん? あれ、もしかして……」
僕はきょとんとして、お決まりのセリフを口にした。
「――え、僕また何かやっちゃいました?」
その瞬間、こうちゃんがガクッとテーブルに突っ伏した。
『……やっちゃってるよ。大ありだよ』
こうちゃんは乾いた笑いを漏らす。
『かみにーさま……。まさかラノベ執筆(昼の戦い)だけでなく、夜戦でも無双できるとは……』
「夜戦?」
『とんだチート主人公だよ、アンタは。……これじゃあ、ヒロインが何人いても足りないわけだわ』
こうちゃんは呆れたように肩をすくめると、パタパタと手で顔を扇いだ。
その横で、みちるが「……おかわり……」と寝言を呟くのが聞こえ、僕は思わず苦笑するのだった。
【おしらせ】
※2/11(水)
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