204話 乗り越えた過去
巨大ガン●ムのもとまでやってきた、僕とみちる。
「大きいわね……」
「そうだねぇ」
ガンダ●の足元で僕らはつぶやく。
見上げるほどの巨大なロボットに圧倒されるばかりだ。
でけえ。
「勇太って、そういえばロボものって書かないの?」
みちるがふとした疑問を口にする。
言われてみれば、僕はSF作品をかいたことがなかった。
「そういやないね。書くつもりも、うーん、どうだろう。芽依さんに書いてって言われたら頑張って書いてみようとは思うけども」
「乗り気じゃない?」
「そうだねえ。僕は、ファンタジーが一番性に合ってるかな。あとラブコメ。苦手なんだよね、SFっていうか、戦争ものみたいなのが」
「そうなんだ。どうして?」
「人の生き死にってあんまり描きたくないんだ。読んでて悲しい気持ちになって欲しくないし」
SFは現実の延長上にある。だから、やられたら、死んでしまう。
「ファンタジーは、魔法があるからさ。死んでも魔法で復活! ができるのがいいなって」
ちなみにデジマスもファンタジー作品だ。
デジタルって、つくけどね。
「ふぅん……勇太って、そんなこと考えながら小説書いてたのね。初めて知ったわ」
みちるが感心したようにうなずいている。
「ずっと一緒にいたのに、知らないことってあるのね」
「そうだねぇ」
いうか、いうまいか、ちょっと悩む。でもすぐに大丈夫だと思っていう。
「僕がカミマツだってことも、最近まで知らなかったしね、みちる」
……大丈夫、という確信はある。大丈夫、もう、みちるは乗り越えたんだ。
「あはは! そうね。そんなこともあったわねぇ」
……ほらね。
もう大丈夫なんだよ。みちるは過去を乗り越えてたんだ。
「さ、いきましょ」
「そだね」
僕らは手を繋いで建物の中へと入る。
彼女の手は暖かった。去勢を張ってるわけでも、嘘ついてるわけでもなく、本当に彼女は過去を乗り越えたんだろう。
頑張ったね、みちる。




