201話 人質
僕らはイマーシブ・フォートってところへ遊びに来ている。
ダークノワール・ブラックシュバルツ団(に扮した施設スタッフ)に連れられ、広場まで連れてこられた。
「おらおら、動くんじゃあねえぞてめえら!」
モヒカンの柄の悪い男が僕らを見渡して叫ぶ。
もちろん、演技だが。
「わ、ドクガだ。デジマスの」
デジマスの悪役、ドクガである。
主人公リョウと対立し、ことあるごとに邪魔をしてくるキャラなのだ。
「ねえ、あのモヒカンかつらかしら……?」
さっきまでおびえていたはずのみちるだが、今はもうすっかり落ち着いていた。
「おいてめえ!」
「ひっ! あ、アタシ……?」
「そうだてめえ! ぺちゃくちゃしゃべってんじゃあない!」
「あ、はい……すみません……」
「わかればいい!」
いいんかい……。
みちるは驚きながら僕に言う。
「みためもしゃべり方も、ドクガそっくりね」
「プロがやってるからね」
みちるが感心してると、イベントが進行していく。
広間に集められたの人質(僕たち)を前に、ドクガ(スタッフ)がにんまりと笑う。
「今から始まるのは祭りだ! てめえらは、人質! この街を守るくそ忌々しい連中をおとなしくさせるためのなぁ!」
ダークノワール・ブラックシュバルツ団の連中が、ドクガとともに邪悪に笑う。
一方みちるはわくわくした顔をしていた。
「ね、もしかして……リョウたちくるのっ?」
「さぁ。どうだろうね」
もちろんこのあとの展開はわかっている。このイベントのシナリオチェックしたし。なんだったら僕がストーリー書き直したしね。
ただ、ネタバレになっちゃうので黙っておく。
「おら女ぁ……! 二度目はねえぞぉ!」
ドクガはみちるのそばまでやってくる。
手に持っている銃をみちるに向ける。
「ひぃ! すみませんっ!」
「謝っても許さねえ! 黙ってろっつったのにしゃべってたてめえがわるい!」
そこはごもっとも。
「立て!」
「え?」
「立て!」
「ひゃい!」
ドクガがみちるを立たせようとする。
おびえるみちるに、僕は手を上げて言う。
「すみません、彼氏の僕が代わりになってもいいですか?」
「ゆ、勇太っ」
演技だとわかっていても、みちるを怖い目に遭わせたくないのだ。
「やっさしいぃねえ。よし、てめえ、立ち上がれ!」
「はーい」
僕が立ち上がって、みちるの代わりに、ドクガにつれてかれる。
「ゆ、勇太っ!」
「大丈夫だよみちる」
困ったり、ピンチになったりしたときには、ヒーローが来てくれるのだから。
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