189話 編集部にて
デジマスを超える作品を作る!
そう決意した僕。
急いで芽依さんに連絡を取り、僕はとある場所へとやってきていた。
「ゆーくん。おつかれ~」
「芽依さん! お疲れ様です!」
ここは六本木にある、SR文庫の社屋。
編集部の隣にある、ミーティングルームだ。
「部屋、抑えておいたから。好きなだけ使ってね!」
「ありがとう!」
……僕は芽衣さんに頼んだのだ。
集中して、執筆できる場所を提供しいて欲しいって。
「少し時間もらえれば、高級ホテルの最上階とか、バリバリ用意できたよ? ここでいいの?」
高級ホテルて。
いやいや。
僕なんかのために、そんなお金を使わせるのよくない。
だってこの作品、書籍化する予定は今のところない。
ただ……みちるに、読んでもらいたい。それだけなんだ。
「いえ。個人的な作品を作りたいんです。SRにお金出してもらうわけには……」
「気にしなくて良いのに。君は、たくさんこの会社に貢献してるんだから。デジマスとか、僕心とかで」
「でも……やっぱり迷惑かけたくないです」
「ふーん……そか」
芽依さんはうなずいたあと、ニカッと笑う。
「わかった。ゆーくんの意見を尊重するよ」
「ありがとう。てゆーか、急にごめんなさい。部屋用意させて」
「気にすんなっ」
芽依さんが椅子を牽いてくれた。
僕はうながされるまま、座る。
「あ、パソコン忘れた……」
手ぶらできちゃった。
「こちらにパソコン用意してます」
「なんと! 用意の良い」
「できる編集ですからなっ、なーんてね♡」
うーん、相変わらずできるお姉さんだ……。
家に取りに帰る時間がおしいので、借りることにした。
「でも……びっくりしたよ。デジマスを超える作品を作るってさ。しかも……みちるちゃんのためだけにって」
芽依さんにはラインで、あらかじめ事情はつたえてある。
「超えられる? あんな凄い作品……」
「超えます」
即答できたことに、僕自身……驚いていた。
でも、超えないとだめなんだ。
「デジマスは、みちるの孤独を紛らわせるために、描いた作品です。でも、今はそれじゃ不十分なんです。みちるに、永遠の愛を伝える作品なんです。デジマスを、超えないと」
芽依さんは目を丸くする。
やがて……ふっ、と微笑む。
「わかった。期待してるよ、ゆーくん♡」
そう言って芽依さんが出て行く。
どんな内容なのかとか聞いてこなかった。
僕のやりたいことを、彼女はいつも邪魔してこなかった。
そして凄い本にしてくれて、たくさんの人に届けてくれた。
無言で、たんたんと、僕のために……。そんな彼女のことも……。
「ありがとう、芽依さん。大好きだよ」
芽依さんが立ち止まって、顔を真っ赤にしながら言う。
「サブキャラ攻略ルートは、メインシナリオをちゃんとクリアしてからになさい♡ ばーい♡」
芽依さんが出て行く。
ちょっと意味はわからなかったけど、みちるのために全力を尽くせって言われてる気がした。
『あ、もしもし啓介? どうしたの電話してきて? 報告って……え、異世界……? あはは、何言ってるのバカなの……? え、冗談じゃなく……? え?』
扉の向こうで芽依さんが誰かと電話していた。
まあ多分私用の電話だろう。邪魔しないでおこ。
「よし……書くぞ……デジマスを超えた、スーパーデジマスを!」
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