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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第5章

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168話 禁止カード



 喫茶あるくまにて、芽依さんと新作の打ち合わせをしていた。

 そこへ、みちるがやってきてツッコミを入れてきたのだった。


「勇太。この際だからね、ちゃんと言っておくけども」


 すちゃっ、と僕の正面に座るみちる。

 そして……。


 すちゃっ、と僕の膝に乗っかる、こうちゃん。


「あれ、こうちゃん?」

『やあ諸君。有名VTuberの兄、11月23日に最終回を迎えるよ。永遠のアイドルこうちゃんにあえなくなるからさみしい? HAHA! 大丈夫、神作家は続くからね!』


 ロシア語でまたよくわからないことを言ってるのが、銀髪美少女こうちゃん。


「引きこもりなのに、珍しいね」

「みちるマッマ出て行ったら、こうちゃんの面倒見る人、いなくなる。ついてきたなり」


 すでにマッマ扱いされてるみちる。

 まあ面倒見が良いからねぇ。


「で、勇太。ちゃんと言っとくけどね、ここは日本なの」

「だから、わかってるって」

「いーえ! わかってない! 勇太はわかってない! 頭が異世界人(ファンタジー)!」


 初めて言われたそんなこと……。


『まあ頭が神なのはどーい』

「ゆーくんちょっと浮世離れしてるものね」


 あ、あれ!?

 二人からもなんか、同じこと言われたぞ!?


「え、ぼ、僕って……変なの?」

「変!」

『おう、マッマ、この650億の男に向かって、真っ向から変って言えるのすごすぎる! そこにしびれるあこがれるぅう!』


 そ、そうかな……僕……変なのか……。


「あれでも、由梨恵は変じゃあないって」

「あの子もちょっとオカシイから。どっちかって言うと勇太へんじんよりだから」

「そ、そっか……」

「そうなのです」


 うう……そうか……うう……。


「ごめん……迷惑かけて」

「や、やめてよ勇太。そんな顔しないでよ……」

『みちるマッマも所詮はメス。愛しの彼の泣き顔に弱いとみた』


 みちるが立ち上がると、こうちゃんを抱っこして、そしてほっぺたをむにーっとおもちのようにひっぱる。


「ロシア語わからないからって、意思が伝わらない訳じゃあないからねおちびさんよぉ?」

『あーん、みちるマッマぁ。なにするぅ。暴力系ヒロインは令和の時代に流行らないんだぞぉ?』


 芽依さんに注意されて、みちるがこうちゃんの手を離す。

 すかさずこうちゃんが僕のもとまでやってきて、コアラのように抱きついてくっつく。


『かみにーさま、みちるマッマの言葉に耳を傾けてはいけませぬ。このままぬるい関係でいましょう。別にこうちゃんがヒロインレースに1歩出遅れてるから、このまままともに戻られたら捨てられるの確定してるから、焦ってる訳じゃあないよ?』


 うーん……そっか……。


「僕も……聡太そうた君みたいにきちんと一人に決めた方が……」


 そのときだった。


「ゆーたくーん! やっほーい!」

「げえ……! 元凶ゆりえ!」


 サングラスをかけ、ダッフルコートに身を包んだ少女が、こっちに笑顔でやってくる。

 変装していたとしても、カノジョの持つ輝きは隠しキレていない。


 駒ヶ根(こまがね)由梨恵。僕のカノジョの一人。


「およ? どうしたの、みんな?」

「実は……」


 僕はかいつまんで、みちるから指摘がはいったことを告げる。


「え、ゆーたくんのどこがおかしいの? 好きな人同士が好きなら、それでいいじゃん!」


 にぱーっ、と無邪気な笑顔を浮かべる由梨恵。


「いやでもね、由梨恵。世間体が……」

「世間がどう思おうと、私達がお互い好きならそでいいじゃん! 周りなんてどうでもいいじゃん! 本人たちがいいっていうんだから!」

『なんというパワー理論……』


 え、そ、そう……そうだよね!


「そう、だよね! 僕らが好き合っていることには変わらないんだし!」

『あ、これ由梨恵カウンセラーによる、洗脳キマったわこれ』


 そうだよ……何も迷うことない!

 当人同士がそれでいいなら、それでいいんだ!


「勇太! 戻ってきて! あなたが渡ろうとしてるの、ぼろい吊り橋よ!?」

「えー、みちるんは何が不満なの? ゆーたくんのこと好きじゃあないの?」

「うぐ……が……ず、ずるいわよ由梨恵ぇ……! あんたそのカードは卑怯!」

「ほら好きじゃん! じゃあいいじゃん! ゆーたくんもいいんだよ、難しいこと考えなくても~♡」


 そうだよねー!

 みんな大好き、みんなも僕が好きで、それでいいじゃーん!


『で、芽依氏は一言もしゃべってないんですが、これでおkなんすか?』

「あたしはゆーくんの側にいれればいいしー。ゆーくんの仕事に支障がでなければなおOK」


『OH……爆弾処理をみちるマッマに押しつけて、高みの見物してらっしゃる……これが大人か……』


 みちるが意見を述べようとするも、由梨恵が「大丈夫大丈夫! いけるいける!」と言いまくる。


「でも世間体が……」

「世間の目なんて気にしてたら恋愛はできないよ! ゆーたくん好きなんでしょ?」

「だからぁ……! そのカードはだめだっつってんでしょ!?」


『マッマに対して由梨恵はメタ。これ、テストに出るからおぼえとってなみんな』


 結局、大激論の末に、みちるは「もう好きにすればぁ……」と半泣きで許してくれた。

 やったねー!


「でもでも……アタシはまだ完全に諦めたわけじゃあないから! アタシは……勇太をまともに戻すんだから!」

『がんばれシャミちる。その道は茨の道だぞ……!』


 うん、今日もカノジョたちは、いつも通りなかよしなのだった!


『てことで、VTuberの兄、好評発売中。23日には完結しちゃうけど、それまで頑張って更新するんで、みんなよろしくやで』

【★あとがき】

有名VTuberの兄、書籍版がいよいよ発売されます!


GA文庫から発売!


コミカライズも決定してます!



よろしくお願いします!


https://www.sbcr.jp/product/4815619374/


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 勇太くんは、最初にみちるちゃんにこっぴどく振られた時に人として大事な部分が壊れちゃったんでしょうね。 若しくは元々備わっていない。 彼が超人的な能力を有しているのも腑に落ちます。 所謂、…
[一言] みちる…堕ちようぜ☆ 作中で一番好きなこうちゃんは今日も輝いてる!
[一言] こっちも地味に佳境に入ってきましたな。
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