159話 こうちゃんのここが好き!
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
『神作家、コミックス3巻、7月25日に発売! 表紙はなんと、こうみさやま! これは買うしかない! みんな、ぜってー買ってくれよな!』
クリスマス。
僕とこうちゃんは、実家に帰ってきていた。
こうちゃんはいつも通り明後日の方向を見ながら、ロシア語で意味不明なことを言う。
『新作もはじまっております。みさやまこうはアルピコの四大美女、四天女っていう新しい設定が生えてきました。後付けサクサク』
「うふふ、こーちゃん、どう? お母さんのケーキ♡」
リビングにて、僕、詩子、そのカレシの聡太くん、こうちゃん、そして母さんの5人集結してる。
母さんはケーキ食べてるこうちゃんに、ニコニコしながら尋ねる。
「やみー!」
こうちゃんは笑顔でそう答えた。
なぜ英語……ロシア語じゃあないの君……。
『現代恋愛劇を渡り歩く女、みさやまこう。果たして新作ではどう描かれるのか、とべこんちぬえど!』
こうちゃんがケーキぱくぱくしてる姿を見て……さっき去来した疑問に対する、答えを探していた。
僕……こうちゃんのどこが好きなんだろうって……。
改めて、カノジョのどこが好きってムズカシイよね。
考えるの……。
「どうしたんですか、勇太さん?」
正面に座ってる、聡太くんが僕に尋ねてくる。
どうやら深刻そうな顔をしてたようだ。
いけない、せっかくのクリスマス、家族団らんなのに、シリアスなムードにしちゃあいけない。
「あ、いや。別に……ええと、そ、そうだ。聡太君って詩子のどこが好きなの? 聞いてみたかったんだ」
なんて、逆に質問してみた。
聡太君は詩子と付き合ってるけど、実際どこを好きに思ってるんだろうって、気にはなってたんだよね。
「詩子のどこが……? いや全部ですけど」
「全部……?」
「ええ、全部」
あ、あまりにもハッキリ、全肯定してきた……!
「声も見た目も中身も、全部大好きですね」
「そ、そうなんだ……」
聡太くん……なんて子なんだ。
まるでプレイボーイじゃあないか!
一方で詩子は「ばかそーちゃん……」と顔を真っ赤にして、でも口元をにやけさせてる!
『息子の嫁が、メスの顔しとるぅうう!』
こうちゃんは、どこからかアイパッド取り出して、しゃしゃしゃ、と絵を描き始めた。
何してるんだろう……?
するとほぼ一瞬で、こうちゃんの持つアイパッドのなかに、凄い可愛い詩子の絵ができていた!
「す、すごいです! みさやま先生! まるで神絵師みたいだ」
『ばっかーもん! 目の前にいるのが神絵師こうみさやーま三世だ!』
いやそれにしても……すごいなこうちゃん……。
本当に絵が上手だ。
「でも、どうしていきなり絵なんて描いたの?」
「息子、その嫁、ぷれぜんとふぉーゆー」
ああ、クリスマスプレゼントみたいな……。
そういえば、聡太君はVTuberやってる。
こうちゃんが聡太君のガワ(立ち絵)の担当してるらしい。
VTuberでは、母親的ポジションのこうちゃん。
だから息子にプレゼント……か。
……良い子だなぁ。
「先生ありがとう!」
にこっと聡太君が嬉しそうに笑う。
詩子もまた、笑顔でお礼を言っていた。
「やっぱ先生うまいですね、絵」
『せやろぉお? どやぁあ? もっとほめてもええんやでぇ?』
「うまいうまい」
『うますぎて馬になった?』
「はいはい」
ロシア語ができる聡太くんと、こうちゃんが楽しそうに話してる。
……ちくりっ。
え、何今のちくりって……?
胸が、なんかこう、もやもやってした……?
「どうしたんすか? 勇太さん」
「あ、いや……なんか……」
どう説明した物だろうか……。
こうちゃんを見てて胸がモヤモヤするだなんて……。
「胸なんて押さえてどうしたんす?」
「あ、なんか……なんだろう。疎外感かな。仲間はずれにされて、ちょっとなぁって……」
作家なのに感情を言葉にするのが、下手すぎる……!
すると聡太くん「ああなるほど」と納得したようにうなずく。
「嫉妬したんすね」
「は? し、嫉妬……?」
「ちがうんですか? みさやま先生と他の男が仲良く話してたから」
……そ、そう……なのかな……?
いやでも……そうかも。
「嫉妬するだなんて、勇太さん、先生のこと好きなんですね」
……好き。
そう……だよね。
焼き餅やくくらいだもん。
好きなんだよ。
どこが? とかわからない……ていうか意味ない。
だってさっき聡太君言っていたじゃあないか。
詩子の全部好きって。
それって好きに理由なんてないってことなんじゃあないか?
僕はこうちゃんのこと好き、そこに別に、理由なんて、理屈なんて、いらないんだ。
好きだから、好き。
『おん? どうしたのん、かみにーさま』
「ううん、ごめんねこうちゃん。好きだよ」
『ひょ……!?』
かあ……とこうちゃんが顔を真っ赤にする。
『や、やだもぉお~。どうしたん急にぃ? 拙者のこと大好き侍だなーんて! えへへっ、こうちゃんもかみにーさま、だいすきでっせー!』
きゃいきゃい、とこうちゃんが楽しそうにしてる。
ロシア語で、相変わらず意味不明だ。
でも、楽しい。
うん、カノジョといると、楽しい。
どこが好きなのかわからないけど、彼女には側に居て欲しい。
それが好きってことなんだと、僕は思った。
「ありがと、聡太くん。勉強になったよ」
「どういたしまして。……なにの勉強?」
この子も、ほんとのほほんとしてるけど、話してるだけで問題が解決してしまった。
すごいなぁって、思ったのだった。
【★新連載はじめました!★】
タイトルは――
『「学園トップの美少女【雪姫】と付き合ってるなんてウソだよね!?」と王子さま系元カノが泣きながら僕に謝ってくるけどもう遅いです~浮気され傷心中の陰キャ高校生をめぐる壮絶な溺愛合戦~』
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