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◇◇
「説明、長くなるけど、いい?」
ダメという選択肢は彼女の中には無いみたいだ。
「出来れば20:00までに家に帰りたいんですけど」
バカ正直に答えた僕は、きっと知りたかったんだと思う。
この世に主人公なんてものが、存在するのか。
「よし、充分っ!」
風を吹かせた(真相は不明)時の、真剣な表情の彼女とは裏腹に、今は最初に会った時の、何も考えていなさそうな、パッパラパーな笑顔を浮かべている。
「君!!!レモネードにする?サイダーにする?オレンジジュースにする!?」
、やっぱり、主人公なんていないかもしれない。
「あっ、コーラもあるー!」
半分呆れ、半分怯え、半分乞うような、1と2分の1の心で僕はそう思った。
「カフェオレで」