◇◇◇
「こんばんは」
時刻は19時を回っていた。
「こんばんは!私は紅音、さ、入って!」
入ってきたのは20代前後の男の人、芸能人並みの容姿で身長も僕より高い。180㎝くらいだろうか、テントの天井にぶつかりそうだ。
長めの茶髪がよく似合っている。
「あの、この人は?」
「ああ私の弟子だ」
「、、です」
鼻高々と見降ろされる僕は、残念ながらただのバイト見習いだ。
「そうなんですね、よろしくお願いします!」
いや、よろしくはない。
彼は、羽野紅音さんの方へ向き直り、少し改まった声で言った。
「俺は、藤夏樹って言います。実は、引き離し屋の話をうわさを聞いて」
「ほお」
引き離し屋、、なるほど、ここはそう呼ばれているのか。
彼女は腕を組みながら聞いている。脚も組んでいる。本当、失礼極まりない人だ。
「夏樹さん。あなたはここのルールを知ってる?」
「それが、全く知らないんです!」
「知らないのに来たの!面白いね!」
何だこのへらへらした二人、微妙に居心地が悪い。
「じゃあ、説明してあげよう」
彼女がテーブルの引き出しから、一冊の封筒を取り出し、それを彼に手渡す。
「これが、ルール、、」
神妙な面持ちの彼。の視線の先をのぞき込む。
そこにはこう書いてあった。




