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与那国基地襲撃

 3月11日午後4時、救出作戦成功の報に沸いていた指令室は先日召喚してこれから練習航海を行おうとして空母打撃群からの報告で一気に緊迫した雰囲気に様変わりした。

こちらCG-1です。多数の未確認物体が北上中です。針路からしてこっちに向かっている可能性があります。

同時に指令室には空母打撃群の各艦から送られてくる情報を統合したレーダー画面にその飛行物体が映し出される。

直ぐに待機中のJAS-39がスクランブルに上がった。

JAS-39の8機は滑走路の中央から進入し、その短距離離陸性能を生かして両方向から同時に離陸するという荒業をやってのけていた。

そして戦闘機が飛び上がって少しした後、召喚しておいたAWACSが離陸した。

これも万が一の為の対策である。


しばらく指令室で忍耐強く接触を待っていると遂に戦闘機が飛行物体の確認に入った。

送信されてくる映像を見ると異世界のワイバーンみたいに背中に人間は乗っていなかった。

それで野生動物の単なる移動だと捉えてしばらく観察することにした。

JAS-39は距離を取りながら高高度を飛行している。

基地から12海里の空域に到達するまで後30海里である。

300ノットで飛行しながらより一層警戒を強める。


空母から上がって来ているF/A-18Eも近くで警戒飛行している。

そして当然ながら無線で呼びかけても反応が無い。

既に基地の警備隊が空対空ミサイル、対空砲等を準備している。

後少しでスパローの射程圏内に入る。

僕は指令室で周りの意見を聞きながら撃墜するかどうか考えあぐねていた。


基地から12海里の上空に入るとついに撃墜の必要性が増して来た。

そのワイバーンの編隊の周囲には追加で上がってきた空母の艦載機がロックオンをして撃墜命令を待っていた。

そうしているといきなりワイバーンが頭を追跡している戦闘機に向けて火炎弾を放った。

これによって4機のJAS-39が飛行不能に陥った。

正面から食らった為、エンジンは停止しキャノピーは融解、装備していた空対空ミサイルが誘爆した。幸いにもパイロットは直後に緊急脱出をしたが、機体は墜落した。

僕は他の戦闘機からその報告を受けて、撃墜命令をすぐさま出した。

それと同時に空母から救難ヘリがパイロットの救出に向かった。

僕が撃墜を命令したことにより、戦闘機がワイバーンに赤外線誘導のサイドワインダーを発射した。

しかし、ワイバーンはそれを全て躱し、戦闘機とドックファイトに突入してしまった。

同じ速度域では言うまでもなくワイバーンが圧倒的に強く、戦闘機は太刀打ち出来なかった。

一機がいきなり向きを変えたワイバーンの爪で叩き落されてしまった。

機体から操縦士は脱出しておらずそのまま墜落した為に死亡した。

僕のスマホの死亡者数表示のカウントが一増えたのだ。

戦闘機のパイロット達はワイバーンに一撃離脱戦法を行い始めた為、撃墜されることなく、次第に数を減らすことが出来て来た。

パイロットが僅かな隙に距離を取ってレーダー誘導のミサイルを発射した。

するとワイバーンに命中し、撃墜をすることが出来た。


「こちらヤンキー1、AIM-120Dを使え。」


という無線によって他の戦闘機も一気に距離を取って目標をロックオンし、次々と発射した。

目標のほとんどに命中し、指令室のディスプレイにミサイルのアイコンと目標のアイコンが次々と重なり、目標が急降下していくのが確認出来た。


そして戦闘機が勝利した直後、今度は哨戒中のヘリから巨大な海洋生物を捉えたと報告された。

しかし、捕捉したした時にはかなり距離を詰められていて沿岸を哨戒中だったミサイル艇が触手によって海中に引き摺り込まれた。

そして無線から船体が潰され食べられたと報告があった。

スマホ上では乗艇していた隊員の死亡が確認され、無線で数秒間響いた断末魔の叫び声が彼らの最後の肉声となった。


直ぐに基地からは武装積んでいた航空機が発進していった。

もう海岸まで迫っており、時間は全くなかった。

近くにいたインディペンデンス級は豆鉄砲でしかない57㎜砲を懸命に射撃し続けてけん制していた。

周辺100kmのミサイル艇はハープーンを全弾発射し、何とかしようとしていた。

しかし、一番近くで射撃を続けていたインディペンデンス級は砲塔目掛けて振りかざされた触手によって大破し、ブリッジも被害を受けて大破炎上していた。

直ぐにその艦からは退艦命令が出され、無線からは悲痛な叫び声が上がっていた。

その攻撃の直後にハープーンが命中して目標は大地を揺るがすような叫び声をあげ、この指令室にもその声は響き渡っていた。

その後、発進した哨戒ヘリから魚雷や機雷の連続投下をして目標を肉片に変えていった。

決して復活しないように念入りに何回も何回も行い、目標は完全に肉片へと変貌を遂げていた。


この襲撃で、操縦士1名死亡、PG-5の乗員15名全員死亡、LCS-3の乗員10人が死亡し、死者は合わせて26名となった。

それ以外にも操縦士3名、LCS-3の乗員が20名重傷を負った。

装備の損害ではJAS-39が4機撃墜され、PG-5はやぶさ型、LCS-3が沈没した。

我々はここに決して少なくない損害を負ったのである。





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