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大陸の商人 拘束される

 3月11日

広州で商人として潜入している俺は今日、ギルドに呼ばれた。

僕は仲間の数人を連れてギルドに向かうことにした。

ギルドの近くを通った時から何か雰囲気が異常だった。

特に風景に変わったところがあるわけではないが、何かがおかしかった。

ギルドの窓口に着くといつものお姉さんが少し険しい顔をしているように見えた。

気のせいだろうか。


「お久しぶりです。

今日はどのような御用でお呼びになられたのですか。」

「ちょっと要件がありまして・・・

奥の応接室でお話してもよろしいですか。」

「わかりました。」


俺はこの雰囲気のおかしさに身の危険を感じていた。

仲間達もだろう。

俺は無線機を使って外でこっそりと待機している仲間に会話の一部始終を全て送信している。

それだけではなく装飾具に偽装して作られている隠しカメラの映像も一緒に。

そして応接室の椅子に腰を掛けるとそのお姉さんは数枚の紙を俺たちに渡して来た。

そこには”ギルド追放”と書かれている。


「これはどういうことですか?」

「見ての通りギルド追放状です。

あなた方は不法に品を取引したのですから当然です。」

「不正を行った覚えはありませんけど・・・。」

「今になってもとぼけますか。

今すぐに白状してくれれば売り上げ没収の追放で済んだところを・・

やはり警備隊が拘束しないと駄目なようですね。」

「なんのことですか。

私たちが何をしたというのですか。」


今すぐにでも目の前にいる女をぶん殴りたいところではあるが、訓練通りに冷静を装う。


「既に警備隊の方で調べが済んでおりますが、街道で商人を惨殺し、その商品を高額で販売した。

違いますかね。」

「違います。

そのようなことはしておりません。」

「そうですか。

こちらは既に証言が取れています。

ここまでとぼけるとは本当に救いようがないガキどもだ。」


と言ったと同時に警備隊の制服を着た連中が窓から突っ込み、僕達を拘束した。

僕は腕に装着していた発信機を咄嗟に作動させることが出来た。

後は仲間を信じるしかないだろう。

僕は誰がこのでっち上げを行ったかを拘束され丸太のように担がれながら考えていた。

そこには鉄格子をつけた馬車が停まっており、僕達は放り投げられる形で収容された。

おそらく他の仲間達も拘束されているかもしれないということを気にしながらなされるがままに倒れ込んでいた。

勿論僕はただなされるがままではなかった。

隠し持っていた通信機が無事である為、仲間たちと連絡を取っていた。


「そっちは大丈夫か。」

「大丈夫です。」

「こっちも大丈夫です。」

「これからどうなるか分からない。

仲間を信じよう。」

「了解。」


今周波数を変えることは出来ない為、仲間内でしか通信出来ない。


「僕達は今の所全員大丈夫だ。


僕はそのことを口にする。

言っている相手は通信をおそらく傍受しているであろう仲間だ。


 しばらくすると領主の屋敷が見えて来た。

普通は警備隊事務所であるはずなのにやはりおかしい。

もしかしてこの前、専属商人になるのを断ったからかもしれない。


「お久しぶりでございますね。

ブルト君、ご機嫌はいかがかな。」

「いや、最悪ですね。

しかしこの手荒い御呼び出しをしてどのような御用ですか。」

「そんな怒ったような口調で言われても困ります。

罪人なんだから当然でしょ?

そうじゃない?」

「こちらとしても身に覚えがない罪なものでして困惑していますのよ。」

「それは当然でしょ。

だって無かったんだから。」

「それはどういう。」

「いきなり現れて利益を大量に上げてここから富を吸い上げた上に私の依頼までも断るとは随分と腹立たしい。」

「それで捕まえさせたと。」

「ええ、そうですよ。」


どうも白状ご苦労さんと僕は内心思っていた。

だって記憶しているんだもん。


「これから僕達をどうするんですか。」

「折角だししっかりいたぶった後に公開処刑にでもしようかな。

そしたら僕の腹の虫も治まるかな。」


というと僕達を横の私兵らしき集団が取り囲んで僕達を地下の牢屋のような監獄まで連行した。

その部屋には血が付いたナイフや死体と思われる肉片などが転がっていた。

そんな感じの部屋を通り抜けて僕達は一つの部屋に押し込められた。

私兵がしばらく大人しくしてろと大声で怒鳴って帰って行った。



 同じ頃、街から脱出した彼の仲間たちは発信機の情報と転送されてくる拘束されている仲間達の会話を聞いていた。

これらは全て対外諜報機関も把握しているらしい。

彼らは私達に脱出後、指定の海岸まで来るように言った。

私たちは仲間の身を案じながら海岸に向かった。


 報告を受けてから与那国基地の対外諜報機関の会議室は慌ただしく動いていた。

目標は勿論諜報員の救出である。

海岸に展開しているインディペンデンス級からヘリを出して救出することを真っ先に考えたが、現在の現地時刻を考えると存在を秘匿したい以上最悪だった。

だが、救出が遅れれば遅れる程、彼らが生きて帰れなくなる為、二の足を踏むわけにもいかない。

彼らは難しい決断を迫られていた。


彼らは考えた結果、やはりヘリで救出することにした。

現在彼らと共に行動していた諜報員は撤退させていた。

その為、すぐに彼らに攻撃行動を移すことは出来ない。第一に装備が足りないのだ。

彼らを救出する直前にP-8からミサイル攻撃を行い、ギルドと屋敷、そして諜報員が活動していた本拠地を叩くことにした。この3つであれば我々に敵性行動を取っている為、殺しても問題ないだろう。

そしてインディペンデンス級からヘリを発進させ、屋敷を急襲、そのまま撤退する算段だ。


計画を立てている対外諜報機関の面々は真剣だった。

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