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ハワイでの交渉、人道支援、回想最終回。

 3日目、交渉が始まった。DDG-1のヘリ甲板には村長がいる。


「それでは交渉を始めますか。」

「はい。分かりました。

ところで妹はどこにいます?」

「この船では十分なスペースが確保出来なかったので向こうの艦にいますよ。

何なら呼んできますか?」

「いえ、あなたの言っていることが本当らしいので結構です。」

「それでは気を取り直して交渉を始めますか。

我々としては今すぐにあなた方の島の復興に取り掛かる用意があります。

その代わり、昨日の内容はしっかり守って下さい。」

「分かりました。

今回の件に関して島の方でも全会一致ですので問題ありません。」

「それでは支援に取り掛かりますか。

支援は明日から始めます。

村の人々にはそう伝えておいてください。」

「分かりました。」


3日目の交渉はすぐに終わった。

あの村長が言っていることが正しければ、揚陸作業中に襲撃にあうなんてことはないはずだ。

一応LPD-1には上陸する人員は重武装をするように進言しておこうと思う。


4日目、現地時間午前9時、LPD-1からLCM-1E上陸用舟艇が車両と隊員を搭載して海岸に揚陸を開始した。

LCM-1には貨物が60t程度搭載可能であり、一隻にはM1A2C戦車が搭載されている。


一時間後、揚陸が完了し、オールクリアの知らせが届いた。

上陸用舟艇4隻は現在帰投中であり、人道支援用の重機が来るのにはしばらくかかるらしい。

報告では村民が怯えているらしく縮こまって大人しくしているらしい。

村長とも接触が出来たらしく、村長は隊員に頭を下げたようだ。


「こちらAチーム、次の揚陸迄後何時間かかりますか。」

「こちらLPD-1、予定では約2時間です。」

「了解。

重機が必要な作業は限定的ですので、揚陸済みの一部チームが瓦礫の撤去に回ることを進言します。」

「了解。

許可する。」

「了解。アウト。」


Aチーム隊長は揚陸済みの他のチームと瓦礫の撤去を行うことにした。


「よし、これからA-Dチームは瓦礫の撤去を始めろ。

E-Gチームは引き続き警戒。」

「了解!」


隊長らは瓦礫の撤去を始めた。

撃ち込んだトマホークは完全に炸裂している為、不発弾があるという心配はないだろう。

瓦礫の撤去は木の枝や、海藻などを片付けることだ。

弾着の爆風でかなりバラバラになっており、分別をして積み上げるという作業をしている。

やはり彼らは人魚で足が無い。

地上での生活も相当に苦労することだろう。

だから木の板など、木を切って加工されたものがほとんど使われていない。


瓦礫の撤去は大方片付いた頃に揚陸艇が重機を搭載してやってきた。

揚陸して土木工事をすることは想定されていなかったので工兵隊が使う戦車を改造したブルドーザーとかそんな感じの物しか無かったが、木を運ぶには十分だろう。

長さが30mを超える巨木が横たわっているのでこれを何とか片付けなければならない。こんなのは裁断した物を戦車で運ぶしかない、と言うことでチェーンソーを持った隊員が木を伐り始めた。

チェーンソーを動かす石油の匂いを漂わせながらウィーーーンという音がひっきりなしに合唱をしている。

30分位格闘してやっと木が一本ブルドーザーで運べるようになったようだ。

5本ほどの木が横たわっているので休憩を入れて3時間以上は格闘することになるだろう。

その間僕達Aチームは警備に回ることにした。


夕方になり、瓦礫の撤去作業は終了した。

木もどっかの伐採場のように丸太が並べられている。

今から揚陸されるのはどうやら生活支援物資であるようだ。

例えばテントとか、食料とか、まあそんな感じだ。

僕達は運んできた船に乗ってすぐに帰れることになった。

日没直前に僕達はLPD-1に帰ることが出来た。

この中で過ごすのは一番気が休まる感じがする。

後は寝て明日の任務に戻ろうと思う。


ここからは佐藤健のお話に戻ろうと思う。

ハワイ、日本人にとって人気の観光地であるそこは異世界であっても美しい場所だと感じた。

地球のそれは自然と町が共存した調和的な美しさを秘めているが、異世界のは正に手付かずの自然という言葉通り、人間の手が加わっていない完ぺきな自然の美しさを秘めている。

早速現地でトラブルが発生したということで僕は新たにtype26型、及びファン・カルロス一世級を新たに召喚した。

召喚したDDG-2~DDG-4までは先に戦闘支援の為に派遣することになった。

そこはジュリアがやることなので僕は報告を読んで理解するだけだから僕が決してやったわけではない。

だが、LPD-2~LPD-4の装備を搭載中に目的が人道支援と交易に切り替わったので、戦闘装備は最小限にして、建築用の木材などを大量に搭載することになった。

後、食料も。

それでその船たちは人道支援が始まった日の朝出港した。

こちらは向こうよりもかなり進んでいる。

だから日付だけ見れば一日遅れということになる。


僕は最近召喚以外やることが無い。

と言うか自分にはそれ以外に存在価値が無いと感じてしまう。

救出した奴隷が海外に飛び立っていくのを見ていると自分も世界を見てみたいなという衝動に駆られてしまう。

でもここはあくまで危険がいっぱいな異世界。僕は必ずそれを肝に銘じておかなければならない。

最近の楽しみと言えばドライブだけだろうか。

四国全土が基地となった今、沿岸に敷かれた道路を回るのが趣味になっている。

いつも始めの頃に召喚したリンとかそこら辺が一緒に居てくれるので結構安心でもある。

自分の知っている四国とは景色が全く異なり、新鮮だ。

基地がある場所以外はほぼほぼ森であり、そうで無くても隊員が趣味でやっているらしい畑がある位だ。

僕達はこの島全体の自然を保全することにしていて、森林を極力伐採しないようにしている。

むしろ、更に植林をしたりして森林を増やしている。

そんな感じであるが故に訓練はその森を活用して行われることが多い、

最近の戦闘評価によると、隊員達はゲリラ戦術が十八番らしい。

最近は元奴隷たちの戦闘訓練の場としても使われているらしい。

魔物も全てポチの配下だから襲われることも無く、むしろ仲が良い。

戦闘訓練にも参加してくれるというのだからこれ程素晴らしい相棒は中々いないだろう。


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