佐藤の怒り・終
はやぶさ型ミサイル艇のハープーンで撃破されたはずの船の様子を観察する為に基地からA10-Cが一機飛び立った。
現場には離陸後すぐに到達し、AN/AAQ-31ランターン偵察ポットを装着した状態で撃破判定を下していた。
A10-Cから送られてくる映像には人らしき物と僅かな小物が浮いていた。
佐藤は奴らを救助したくなかった。
もっと言えば奴らを鮫のえさにしてやりたいとも思っていた。
だが彼の理性はそれを交渉の材料として獲っておくべきだと言っていた。
怒りの佐藤はそれを結局選ばなかった。
彼は奴らと交渉するのを諦めた。
領民を皆殺しにした殺人集団と交渉するなど馬鹿らしい、やられたからには徹底的にやり返す。
彼はそう決めたのだ。
そして彼は復讐心に任せて敵艦の沈没現場で奴らを射殺しようと考えたがそれを読んだかのように優子が言葉を発した。
「敵を撃ち殺しに行かせた所で万が一一人でも逃せば我々がどのような方法で撃沈したのかばれてしまうわ。
一応、こっちは壊滅したふりをしていることを忘れたのかしら。」
僕はこの言葉で自分の考えが復讐心に駆り立てられたものであると気が付いた。
そして彼ははやぶさ型ミサイル艇12隻に帰投命令を出した。
A10-Cにはしばらく偵察を続けて貰うことにした。
オペレーターは高度を20000ftまで上昇して偵察するように命令した。
そうすることで可能な限り敵から目撃されないようにするのが目的らしい。
そんな高度を旅客機が飛べばこの天候下だと簡単に見つかってしまうのは確実だが、果たして機体の大きさが小さいとは言え本当に大丈夫なのだろうか。
僕は心配していた。
僕はその映像を見て満足したので届いていた要請をまとめて受理することにした。
まず始めにAH-64Dアパッチ24機、UH-60R24機、海上はインディペンデンス級沿海域戦闘艦4隻、陸上はM1128MGS24両だ。
僕は陸上の物で疑問に思った。
何で戦車じゃなくて戦車もどきを召喚させようとするのかを。
僕はホワイトウルフを統括するジュリアに聞いてみた。
「まず最初にこっちの方が扱いやすいからよ。
戦車だと重いし遅いし。
そしてあんな分厚くて重い装甲はいらないのよね。」
「本当に装甲がいらないんですか。」
「まず言っとくけど、戦車の装甲は同レベルの戦車砲に耐えられるように作ってあるの。
今まででそんな物を持った集団と戦った?」
「いえ。」
「流石にそんなのが確認されたらお願いするけど今はこれで十分よ。」
「分かりました。」
戦車の装甲を必要とする程の脅威が無いということだった。
海軍、陸軍、空軍のエリアを順番に回り、召喚を済ませると僕は再び作戦室に戻った。
次いでに言うとその時に1000人位合わせて召喚しておいた。
海軍のエリアで召喚をしていた時に攻撃から帰ってきたはやぶさ型と会うことが出来た。
彼らが接岸して降りて来たところで僕は彼らの肩を叩いて
「ありがとう。」
と言った。
彼らは敬礼で応えてくれた。
僕が馴れ馴れしい絡み方をしてしまったが最後は僕も敬礼で返した。
とまあこんな感じのことがあった。
夜、僕達は昨日から展開しているM1128を全てテロリスト集団ダブ国に向けた。
今回の作戦の目的はダブ国の占領ではない。
我々に対する恐怖を植え付けてやるのだ。
作戦は可能な限り民間人を巻き込まないようにM1128が市街に突入して城に砲弾をお見舞いしながら敵兵を一掃して死体の山を作り出すのが目的だ。
M1126には対外諜報機関の人間も乗せて混乱に乗じて彼らを潜入させることになっている。
壊滅させるのはこの後の話しだ。
そしてM1126に乗っている3個小隊は迫ってきている敵兵の抹殺に従事する。
衛星とA10-Cから概算で割り出すと凡そ5000人だ。
僕は案としてあったクラスター爆弾を使うことも考えたが、投下後に残った不発弾処理が面倒なのでやめることにした。
田んぼの中にばら撒いたらそれこそ悲劇だ。
そして作戦は決行された。
船団が全滅したことを知らない彼らは山の中からの突然の銃撃でどんどん命を刈り取られていく。そして唸り声をあげる何かに踏みつぶされていった。
奴らはM1126、M1128のことなんてしらない。
彼らには月の光を反射しているどのような生物にも似つかない恐ろしい物としか映っていないだろう。
彼らはなすすべなく殺されていった。
火縄銃を一発だけパニックになって発射した強者もいたが、その銃弾も意味をなさなかった。
そして室戸岬から数十キロ北上した海沿いのこの地点が彼らの墓場となった。
そしてそれから2時間後、突然怪物が現れて城を崩壊させた。
彼らはこれを神の矛と呼んだ。
城内で生きのこった城主は本能で察した。
自分がどんなやばい奴らに喧嘩を売ってしまったのかを。
勿論これを迎え撃とうと兵や雇っていた海を渡ってきた西の魔術師たちも応戦した。
結果からもわかる通り結局歯が立たなかった。
これで佐藤は怒りを収めることにした。




