新たな領主
遅くなりました。
城の制圧は一時間半で完了した。
この作戦結果は驚くべきもので隊員達の実力をまざまざと見せつけたものであったと思う。
城を制圧した後も周辺の安全を確保する為に作戦を滞りなくやってくれた。
隊員達の報告では城を陥落させた後も一部で奪還の動きがあったとの報告を受けた。
一番その中で大きかったのは日の出と共に凡そ500人の敵が突撃してきたことだ。
町一個の制圧は面倒くさい物であったのは確かであったが、交代で非番になった隊員が言うには今までの敵よりはかなり優しく、作戦もしやすかったらしい。
彼は加えて今回敵は身を潜めてゲリラ戦を行うことなくただ突っ込んできている為、統治上のネックポイントを早期に解決することが出来てむしろ好都合だと言っていた。
人を者として捉えているような発言は気になったが敵に対して情を持ってしまえば戦えなくなる。
戦闘とは人殺しの連鎖であり、情を持つと正常にやっていけなくなる。
平和ボケした頭には抵抗が強い物であるが優子との潜入中に襲われたことを思い出すとその頭でさえ意外とすんなりと受け入れてくれた。
あいつらは人を人と見ないごみくずだと。
その時、私達の組織の名前を思いついた。
『ホワイトウルフ』と。
現在時刻は午前8時だ。
これからヌルセ村(高知県室戸市吉良川)を出て安芸市中心部にある城に向かう。
目的は新たな領主を立てるためだ。
今までの恰好とは全く異なり、僕が召喚した小袖を身に纏っている。
私達と村長は話し合い、この動乱を苦しむ民が傭兵を使って起こした反乱だということにすることにしている。
僕は中央のJLTVに乗り、村長も同じのに乗る。
僕の恰好は当然フル装備の戦闘服であるが、村長は薄い小袖を着ている。
村の人々は僕達が勝利したという報告を祝福してくれ、そして今日も笑顔で見送ってくれた。
「佐藤健様、今日は本当に喜ばしい日を迎えることが出来ました。
しかし、この反乱で犠牲になったあなた様の隊員にお悔やみを申し上げます。」
「權左衛門殿、立場上はあなたが上で私は下です。
今の内からへりくだるのを辞めないと民衆の前で癖で言ってしまいますよ。
それとあなたが気に病まれることは何もありません。」
「なぜです?」
「今回の作戦で死者も負傷者も出ておりませんから。」
「それは喜ばしいことでございます。
しかし、あなた様の力には本当に感嘆いたします。」
「私ではありません。褒めるなら隊員を褒めてあげて下さい。」
「あなた様はいつも謙虚ですね。」
「これが僕のスタンスです。
まだ人生18年、周りの隊員やあなたに比べれば完全な若輩者ですよ。」
「そうですか。
今後のことですが、政治はどのように行いましょうか。」
「始めの内は私の方から各分野に精通した隊員を派遣します。
それで僕の考えとしては4年間で様々な改革を行い、その後は民主制に移行させたいと思います。」
「民主制とはこの前教えて頂いたのですがもう一度教えて頂けないでしょうか。」
「民主制とは簡単に言えば民で話し合って物事を決める仕組みです。
これは直接民主制と言って、これは全員が政治に参加することになります。
それで僕達の支配する場所で全員を集めて話し合うことは非常に困難です。
そこで行うのは間接民主制です。
これは民が信頼できる人を選んで、その選ばれた人達が政治を行う仕組みです。」
「私は政治とは一人の将軍が行うという考え方しかありませんでしたが、なぜその政治をしようとしているのですか。」
「民主制の根幹は民です。
民が政治に意見を言えるようになれば、反乱が起きて殺されるようなことはかなり減るからです。
勿論これには民の頭が追い付いていないといけないです。
なので4年間という期間を設けているのです。」
「なるほど、あなたの考えの一端が分かりました。
自分の命が狙われないようにということも含まれているのですね。」
「そうです。
今はこうしていますが、僕は元々普通に毎日決まった時間に働いて、家族を持つつもりでしたから。
でもそんな望んだ人生にはならなかったんです。
ですから少しでもその平安な生活に近づける為に僕はそういうことから身を引きたいのです。」
「そういうことですか。
私達村の人達はあなた様のことを英雄として賞賛していますが、ここまで来ることになったのはこんな経緯があったのですね。
聞けば聞くほど胸が痛くなります。」
そんなことを話していると城が見えて来た。道脇には隊員が車から降りて周囲を監視していた。
「そろそろ到着です。
演説の準備は出来そうですか。」
「何千、何万の前で話すのは初めてですが何回も練習をしています。
あなた様がここまで整えてくれたのです。
この恩に必ず報いて見せます。」
「意気込みは十分なようだ。
成功を祈っている。
我々のリーダー役としてジュリアという隊員を既に派遣している。
彼女ともうまくやってくれ。」
「ありがとうございます、佐藤健殿。」
と最後の会話を交わした後ちょっとして車は城内に入り、僕達は車を降りて、僕は2人の隊員を連れて天守閣の方に向かう。
天守閣のに着いた。
現代の高層建築物には当たり前のようにエレベーターが付いているが、ここには当然そんなものは無い。
この世界に来てから体を動かすことが圧倒的に多くなったとはいえ、装備を身に着けた状態で急な梯子を上るのはかなりきつかった。
僕はここに天守閣の通路を一周するように11個の100dB/Wのスピーカーという物と100Vのバッテリーを召喚する。ここからパワーアンプを通してケーブルを下にいる村長の演台まで伸ばして、演説をスピーカーで放送する。
隊員がケーブルを伸ばしてマイクを渡しに行った。
少しして準備が整った。
そして演説が始まった。
演説と盛った言い方をしているが簡単に言えば領有宣言である。
「我はヌルセ村の村長、権左衛門だ。
我が村は我の仲間が一週間前に倒した前領主に苦しめられてきた。
だから我は奴を倒し我々が生きやすいような社会を作る。
最後に我々に協力してくれた傭兵団、白いオオカミの団長を紹介する。
彼女は前領主の家臣に襲われたことがあり、そして我々の窮状に同情してくれた。
彼女らこそ我々の苦しみを理解する良き仲間であり続けるだろう。」
と言って村長のスピーチが終わった。
そしてこれからは村長ではなく、領主として時を過ごすことになるだろう。
演説が終わると五月雨のような拍手が所何処から聞こえて来た。
それも当然だろう。
私達の世界では過去の歴史上、革命の指導者は熱狂的に受け入れられてきた。
しかしこの世界では、僕達があまりに革命(反乱)を推し進めた為に民衆が完全についていけていない。
完全に不意打ちを食らったのと同じだと言って良いだろう。
隊員が下と無線機で連絡を取って、電源を切ることが認められたのでスピーカーの
電源を落とし、電源ケーブルの接続を解除する。
そして下に降り、前村長、現領主にねぎらいの言葉をかける。
「お疲れ様です。
後少ししたら民衆も慣れて来てくれるでしょう。
我々は24時間体制で街の警備を行うつもりです。」
「佐藤殿、ありがとうございます。
あなた様の不思議な道具のおかげでこれほど簡単に民衆に挨拶することが出来ました。」
「そうですか。
それと最後に、これからは僕ではなく、あなたの横にいるジュリアが我々のリーダーです。
身分を秘匿する為に今後は私にではなく彼女に敬語を使うようにしてください。」
「分かった。
これからはそうする。」
そして互いにねぎらい、今後の注意点について話した後、僕達は前領主が残した負の遺産の数々を解決する為に奮闘しなければならなかった。
使用者:佐藤健[詳細]
レベル:14[詳細]
次のレベルまであ と58055(105775/163830)Pt[詳細]
召喚可能人数:16183/16383[詳細]
召喚可能t数:162897.056/163830t[詳細]
召喚者:三島優子[詳細]
ジュリア・エマ・レーガン[詳細]
マイク・ノア・クロイド[詳細]
加藤栄作[詳細]
イ・シア[詳細]
キム・ウジン[詳細]
アースィマ[詳細]
アーティカ[詳細]
ロバート・ローガン・ムーア[詳細]
ジョセフ・リアム・ジョンソン[詳細]
兵庫葵[詳細]
東郷夏菜子[詳細]
マリア・フォン・テレジア[詳細]
ジャック・カー[詳細]
武極誠一[詳細]
フ―・バスティン[詳細]
ウィン・シュード[詳細]
河野一香[詳細]
長門勉[詳細]
ウォーレン・バイス・バッハ[詳細]
キム・ウォンサン[詳細]
加藤沙織[詳細]
ジョシュア・ルイス・アーレイ[詳細]
ジュリア・レト・アーレイ[詳細]
クフィル[詳細]
アーティフ[詳細]
東郷秀樹[詳細]
一ノ瀬一葉[詳細]
佐藤健吾[詳細]
AAA0000030~AAA0000200
6月6日:召喚人:
召喚物品:担架 x2
殺害:人:99人
Pt:990
6月7日:召喚人:
召喚物品:100dB/Wスピーカー x11
100Vバッテリー x11
ケーブル x300m
マイク x2
殺害:人:574
貢献:113
Pt:6305