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雷樹と終末




 「お前、何をしてるのか分かってるのか、メソンを完全にこの世界に繋げたら死という概念がなくなって、今まで死んだひとこれから新たな存在に生まれ変わって行く人全部がゴチャ混ぜの世界になるんだぞ!」


 「だから何度も言うように私は全員を等しく殺すのです。 この世界だけではなくメソンの生命もすべて」


 「何様だお前、神だとか救いだとかどうだとかどうでも良いがそんなのよそでやってくれ、俺の世界を壊すならその前にお前を殺す」


 「あなたみたいな人は一生救われないのでしょうね」


 「ほざいてろ」



 俺は黒液を集めて、圧縮しものすごいスピードで液体を打ち出す。 



 「黒鉄砲、名前は雑だが、人を殺すのに威力は充分だ。 跡形も無く死ね」



 黒液も何も無くなり、無防備になったアルサランに俺の黒鉄砲が当たり、アルサランの肩に風穴が空いた。



 「悪いがかわいそうだとかいう感情は一切無い、このまま死んでくれ」



 黒鉄砲の発射を早めさながら横に降る雨のようにアルサランの体を貫いていった。



 「これで私は救われ、新たな存在へと進化する。 神だ」


 「うるせぇ、さっさと死ね」



 アルサランに黒鉄砲を多めに打ち込んだ。 動かなくなったアルサランの体に空から落ちてきていた羽が1枚落ちた。



 「神に取り憑かれた男の最後がこれか、虚しいものだな」



 ベルトワルダはセピアに抱えられながらそう言った。



 「この降り注いでる羽どうするの? ものすごい数だけど」


 「もう黒液で全部飲み込むしかないね、めんどくさそいけど」


 「ちょっと待ってアレなんなの?」



 セピアはアルサランの体を指差す。 そこにはアルサランの体に白い羽が何枚も積み重なっていた。 黒液をすぐにアルサランに向かって操るが紙一重の差で羽がアルサランの死体をどんどん空へと運んでいく。 アルサランの体が上に上がるたびに体の傷が治っていった。


 やがて体の傷は跡形もなく治りアルサランの体に翼が生えた。



 「ありがとう、例を言うよサナト君君が私を完全な存在にしてくれた。 これで私はメソンにある死の力と生の力両方を手に入れた私は神そのものだ」


 「本当しつこいね、お前は何度でも殺すだけだ」



 俺は地面に溜まっている黒液を集め空にいるアルサランに向けて放った。 アルサランはそれを向かい打つように羽を飛ばして来た。


 羽と黒液はぶつかり合い、境界線が出来る。



 「何回生き返るんだよ、お前」


 「それはお互い様じゃないか? サナト君」


 「確かに、お互い普通の人間とは言えないか」


 「決着をつけよう」



 アルサランは羽の数をより増やし、黒液を押し返そうとしてくる。 次第に羽は黒く染まっていき、それに応じて黒液が吸収されていく。 このままじゃジリジリやれていくだけだ。 黒液で物理的に殺すんじゃなく、死の鎌で命の元を刈り取るしか無い。


 黒液を競り合える必要最低限だけ残し、後は一気に黒液を噴射して距離を詰めるために足元に集め始める。


 だが黒液の壁はすぐに壊れ、羽がこちらに飛んできた。



 「危ない!」



 セピアが黒液を貯めている俺の前に立ってこちらに向かってくる羽を素手で叩き落としている。



 「私多分この羽と似た力を持ってるから少しは耐えれると思う。 サナトは気にしないで休んでて」


 「セピア! 頼む、後1分で良い耐えてくれ」


 「頑張ってみる」



 セピアは降り注ぐ羽を次々に払っていくが、次第にセピアの手は回復が間に合わず赤く染まっていく。



 「後、30秒」


 「そんなに?」


 「セピア、もう良い逃げろなんとかやってみる」


 「なんとかってどうするの?」


 「知らん、このまま攻撃を受け続けてあいつを引きつけて倒す」


 「無理だよそんなの!」



 その時天から一筋の雷がアルサランを貫いた。



 「ごめん、遅くなっちゃった。 雷天のネルカ助けに来たよ」


 「え? ネルさん、ミカさん、どっちなの?」



 ネルカと名乗るその女性はネルさんの大人っぽさとミカさんのあどけない感じを合わせたような雰囲気と顔をしていた。



 「私の体は黒液でダメになっちゃったんだけど心は残っててね、逆にネルの体は無事だったんだけど心はもう無くてサナトに鎌でメソンに送られた時にアロイさんに心の転生先をネルの体に設定してもらったって生き返ったってわけ、雷の力付きでね」


 「ネルカさん、もう話してる時間はあんまり無いんだ。 俺の鎌でアルサランを殺したい。 一瞬だけで良い動きを止めてくれ」


 「任せな」



 ネルカは飛び交う羽を避けつつ空中に居るアルサランの真下に立った。



 「おや、あなたはもう一度殺されに来たとはなかなか熱心なお方だ」


 「アルサランあんただけは許せない、私の体をダメにしやがって報いを受けな。 雷樹!」


 「死になさい」



 アルサランは羽をネルカにむけ放ったが、ネルカぎが放った雷は何よりも早く地面から伸びる木の様に枝分かれしながらアルサランとその周りに漂う羽に届いた。 



 「サナト! 今だ!」



 俺は黒液を一気に噴射してアルサランの居る高さまで上がる。 そして黒液により元の何十倍の大きさになった鎌をアルサランの脳天めがけ振り下ろす。



 「こ、後悔するぞ」


 「なら、一回死んでやり直すさ」



 一振り目でアルサランの体を縦から真っ二つにし、二振り目で羽とアルサランの体を横から切り裂いた。 


 こうして俺の長い戦いが終わった。 この後国はベルトワルダが正式な王になって国を完璧に統治した。 黒液により、飲み込まれた住民達は俺が黒液から魂を見つけ、セピアが蘇らせるという地道な方法で三徹ぐらいしてやっと全員蘇らせる事ができた。 死んだ人は前後の記憶がなかったからそれは幸いだった。 


 その後セピアはもっと世の中を知りたいと言って旅に出てしまった。 まぁ最後には俺の元に戻ってくると約束したんだけど俺は本来の仕事に戻った。メソンと現世のバランスを保つ仕事、簡単に言えば人間を間引いたり繁栄させたりする仕事だ。 あんまり気持ちの良いものではないけどネルカさんは案外乗り気だ。


 アルサランみたいに人が生か死か白か黒かなんて判断するのは難しい、生と死が混ざり合ってグレーな世界こそが本来あるべき姿なんじゃないんだろうか………………………あまり深く考えることでもないか。


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