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死は救済




 アルサランはベルトワルダの攻撃から完全に体が治っていった。



 「まったく乱暴な女は嫌いだよ」


 「お前、その能力は」


 「そこにいるサナトと似てる能力だね。 もっとも私は黒液で捕まえた命の数分生き返れるだけだが」


 「どうやってその能力を手に入れたんだ!」


 「私は元々ただの牧師だったんだがね。 ある時から声が聞こえるようになったんだ。 人々を苦しみから救えとそして城の近くの教会から下級街の教会に移ってきた。 


 声は下級街に移ってからもどんどん大きくなり、私は最下層に呼ばれてそこにあった黒液に触れたんだ。 それからはもう声は聞こえなくなったがそのかわり私は神と同化したんだ。 だから私が神だ!」



 イカれてる心の底からそう思う。 アルサランは完全に死に魅入られている。 死ぬ事が幸福だと本当に思い込んでいるみたいだ。



 「おい、ならお前が1番最初に自分の命を絶ちなさいよ」



 ベルトワルダはゴミを見るようなの眼でアルサランを見ながらそう言った。



 「こうして君らが私に死を与えてくれるじゃないか、もっともまだこの国の人間全員に救済を与えないといけないからまだ完全には死ねないがね。 私が死ぬのは1番最後だ」



 「サナト! セピア! ここでこいつの命全て殺し切るぞ。 これ以上市民を殺させるわけには行かない」



 教会の入り口でアルサランは体に纏った黒液を解いて俺達がいる道の真ん中まで出てきた。



 「どうか、何も抵抗せずに死んではくれないか? 私が直接手を下すのは胸が痛む」


 「貴様!」



 ベルトワルダはすぐにアルサランを消し去ろうとすごい剣幕でアルサランの方に手を向けた。 その瞬間教会の脇から何かが飛び出してアルサランの首をはねた。



 「誰だ!」



 呆気に取られていた俺はベルトワルダの声に反応してそちらの方向を見た。 そこにはキルギスは血だらけで胸を押さえながら、血で作った短刀を持っていった。



 「こいつが黒液を作った本人か、良かったこれ以上広がる前に殺せて、さっきなんとか最下層を確認しに行ったんだがイルムが居た家は跡形も無くなくなっていた。 おそらく黒液を押さえていたイルムが殺されてしまったんだろう。


 黒液は最下層から段々と満ちていっていた。 殺せなかったらこの国は黒液に満ちていただろう」



 キルギスはほっとしたように地べたに座り込んだ。



 「やっと死ねる」


 「キルギス! そいつはサナトと同じだ! 簡単には死なない!」



 ベルトワルダは思い切り叫びキルギスの方に手を向けた。  キルギスの体はベルトワルダによって足から一気に引っ張られたが黒液もキルギスを飲み込もうと一気に教会から飛び出した。 ベルトワルダも必死で能力を操作にキルギスをものすごい勢いでこちらに引き寄せた。 だがあと少しと言うところで黒液がキルギスの手に触れた。 


 そうするとキルギスは上半身から一気に黒液に飲まれ、俺達の手元に来たのはなんとか引きずりだせた靴だけだった。



 「クソ! クソ!」



 ベルトワルダは地面を叩き悔しがっている。 セピアは目の前の光景が信じられないみたいだ。



 「さぁ、君達も死ぬ時間だ」



 その瞬間周囲が真っ黒になって全方向から黒液が迫ってきた。



 「クソ!」



 ベルトワルダは何とか黒液を押しとどめているがどんどん黒液は俺達に迫ってきている。 やるしかない。 ミカさんの黒化を移したようにこの黒液を俺の体に入れて押し留める。


 俺は鎌を取り出して地面に突き刺し砂の刃をドーム状にして黒液をどんどんと吸い込んでいく溺れる。 これは川に入った水を全て飲み干そうとするのと同じだ。 気分が悪い、だが引き下がる訳にはいかない目の前に広がる真っ暗な黒液を見つめ俺は歯を食いしばった。  でも耐え続けどれくらい経ったか何分なのか何時間なのか分からなくなった時、何かが折れるような音がした。





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