わからない
25話 分からない。
キルギスがやる事があると言って去ってすぐに教会から黒液の柱が立った。 何となくだがあれが何なのかは分かる。 死だ。
「何あれ」
「セピア、とにかく教会に行こう。 あそこにはネルさんも居るし心配だ」
教会に行くとベルトワルダ黒液をじっと見つめていた。
「ベルトワルダ! こんな所でなに」
ベルトワルダに向かって歩きながら喋ってるいる途中で気づく。 ベルトワルダがただ茫然黒液を見てるわけではなくて今にも目が飛び出そうなほどに力強い目で黒液に包まれた教会の入り口を見てることがわかった。
すると教会の入り口から腕と足がない、ミカさんがベルトワルダの能力によって黒液から引きずり出されている。
「ミカさん!」
セピアがミカさんに駆け寄るがミカさんの体はすでに黒液により浸食されていて、もう黒化していない所は顔だけだったがそれも段々と黒く染まっていっている。
「私は止めたんだ。 でもミカは妹のネルが心配だと言って警戒もせずに中に入っていった。 そしたらこの通り、ほんとにもったいない。 私の友達になるはずだったのに」
「俺がミカさんを殺す。 このまま黒液に飲まれて死ぬなんて許せない。 それならこの鎌で楽に死なせる方が良い」
「わからない、私にはミカが教会に突っ込んでいった理由も、お前がミカを殺す理由もわざわざ胸糞悪い思いをしてまでそこまで他者の為に私は動けない」
「お前はわからないよ、多分ずっと俺みたいに弱い人間は他人と助け合わないと生きていけない。 弱い生き物なんだ。 本当に脆い、だからこそ俺はミカさんを殺す。 やらなきゃいけないんだ」
「狂ってるよ、私は分からなくていい」
俺はミカさんの胸にそっと鎌を下ろした。