噴水
第19話 噴水
俺らはボトムサンズが作った抜け道を通り噴水広場がもうすぐそこまで見えてきたが噴水広場には大勢の兵士が居て、中央にいるキルギスには辿り着けそうになかった。
「俺が囮になる」
アレクはそう言うと自分の腰ぐらいの高さの黄色いハンマーを取り出した。 そういえばいつも鍋をかき回していた棒とよく似ている。
アレクがハンマーを両手で握ると先端の金属がオレンジ色に熱されて煙をあげている。
発熱するハンマーだったから鍋をかき回すのに便利だったのか。
「さっきハンマー磨いたばかりだからあんまり使いたくなかったんだけどな、どうせ今日死ぬかも知れないし、それななら最後にいっぱい軍の兵士達を1人でも多く道連れにするか」
「アレクさん、キルギスと戦わなくても良いんですか?」
「俺は良いよ、もっとキルギスに怒ってるやつは他にいるからな、そうだアイラを連れて行ってくれ。 ぼーっとしてるけど良いやつなんだ」
「わかりました。 すぐ兵士達を倒してこっちに合流してください」
「当たり前だろ」
アレクさんは路地から飛び出して、噴水広場の地面にハンマーを叩きつけて大きなクレーターを作った。
近くの兵士達は突然出てきたアレクさんに驚き、武器を構えるまもなくクレーターの衝撃で散り散りに吹っ飛んだ。
「ボトムサンズのアレクだ! 殺せ!」
兵士達は武器を構えアレクさんにつめよっていく。
「こっちだ!」
アレクさんは兵士達を倒しながら噴水広場からどんどん遠ざかっていく。
「逃げたぞ! 追え!」
大部分の兵士達は噴水広場のキルギスを残して、アレクさんを追いかけに行った。
「よしアレクが上手くやってくれた。あとは私達でキルギスを殺すだけ、行こう!」
ミカさんの合図で一気に噴水広場へと飛び出し、残った兵士を片付けた。
「これはこれはボトムサンズのゴミ共が何をしてるんだ?」
「あんたを殺す」
「俺を殺す? 笑わせるなよ。 お前らの何倍も今日の為に準備してきた勝つのは確実に俺だ」
「うるさい、黙って死ね」
ミカさんがキルギスに向かって踏み込もう
としたその時。 辺り一帯に体に鳥肌が立つような衝撃が走り、1人の女が噴水広場に現れた。
「私はベルトワルダ、戦いを終わらせにきた」