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決戦前日




 鼻を刺激する匂いで目が覚め、辺りを見回すと負傷者が床に寝かされている。 ここは教会か相変わらず酷い匂いが充満している。


 セピアはどこだ! 俺はすぐに飛び起きて、床の負傷者達を踏まないよう跨ぎながら外に出た。


 外に出るとさっきとは別の意味で鼻を刺激する良い匂いがしてくる。


 教会から出て広場に向かうと、入口からアレクさんが大きな鍋をかき回しているのが見えた。 その横でアイラさんが並んでいる人達に鍋の中のスープをよそって配っている。


 広場に入りアレクさん達に近づくと鍋の影にセピアが座ってスープを口いっぱいに頬張っていた。



 「セピア、ここで何やってるんだよ」


 「しゃなと、きゃべなよこのすぅーふおいひいよ」



 セピアは口に物が入ってもごもごしながら喋っている。



 「まぁ良いや、とにかく無事でよかった」


 「良いやじゃねぇよ、あんなに雨が降ってた日に2人で道端に倒れてたんだぞ、俺が2人とも担いで教会まで運んでったんだぞ」


 「それはありがとうございます、助かりました」


 「それでなんであんな所に居たんだ。 こんな綺麗な子も連れて」



 アレクさんはセピアを指差した。 それにセピアは気づくとスープを飲み干し、口の汚れを袖でぬぐって口を開いた。



 「住みません。 挨拶が遅れました。 私はこの国の王女セピアです。 皆さん落ち着いて聞いてください。 明日12時にキルギス率いる軍が攻めてきます! 私がなんとか軍に持ちかけて和平に持っていくのでどうか武器を取らずに降伏の準備を」


 「黙れ!」



 アレクさんは声を張り上げセピアの話を途中で遮った。



 「俺らはずっとこの日を待っていたんだ。 ついにあのキルギスを殺す日が来た! イルじいさんにこの事を伝えに行け」


 「アレクさん落ち着いてください」


 「黙れ、お前らをどうするかはこれから決める」



 アレクさんは鍋をかき回していた棒を鍋から上げて、こちらに向けてくる。 すると棒は発火し真っ赤な炎に包まれたハンマーが現れた。



 「アイラ!」



 アレクさんの声に反応し、アイラさんがものすごい勢いでセピアを押し倒し、顔を覗き込む。


 しばらく経つと、アイラさんはそのままセピアを抱きしめた。


 俺はとりあえず、鎌を出す為に構えた手を引っ込める。



 「とりあえず俺はお前らに何もしない、アイラは敵意があるのがわかるとすぐに襲いかかるからな」


 「そうですか、じゃあこれからどうするんですか? 相手はボトムサンズの倍以上は居ますよ」


 「だからこれから準備をするんだよ、お前らも暇なら俺らのリーダーを連れてきてくれ」


 「今の俺達によくそんな事頼めますね、敵同士なのに」


 「めんどくせぇな、お前は俺らを殺したいのか? どうなんだ?」


 「いや、そんな事したくないです」


 「じゃあいいじゃねぇか、仲間だとか敵だとか明確にしなくても良いだろ別に、ほら早く教会に行って、ネルを連れてきてくれ」


 「え? ネルさんがボトムサンズのリーダー何ですか? イルムさんじゃなくて?」


 「前はイルじいだっだけど、イルじいが歳をとってからはネルが指揮を取ってるよ、ほら早く行けよ、こっちは準備で忙しくなるんだから」


 

 そう言うとアレクさんもアイラさんは広場を走って出て行った。 俺とセピアは自分達の立場に悩みながら教会へと向かった。




  



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