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種明かし

13話 種明かし



 「よく頑張った、俺の部下を3人殺しきるとは思わなかったわ」



 キルギスは噴水のふちから立ち上がりそう言った。



 「ふざけるなよ、自分の部下を使ってわざわざ味方を攻撃させて何を考えてるんだ。


 「何ってお前のテストだよ、もし潜入中にボトムサンズの奴らにスパイだという事がバレて捕まりでもして、こちらの事話されたら大変だからな弱かったらここで殺すつもりだった」


 「そんな事で部下を戦わせて殺したのか」


 「そんな事でだと!!」



 キルギスがそう叫ぶと空から降る雨が無数の細長い針のような形に変わり、俺の体の周りを漂い始めた。



 「お前ボトムサンズが何をしてきたか知ってるのか!」



 キルギスが叫ぶたびにそれに答えるように空中の雨が震える。



 「最近は姿を見せないがボトムサンズの頭領イルムは軍の仲間を次々と殺し、最後には

俺の妻と子供も殺した。 その時から俺はボトムサンズのゴミどもをこの下級街の最下層もろとも消し去ると決めた」


 「そんな、ボトムサンズのみんなだって軍にひどい事されたりとかお互い様じゃん」


 「お前が親を殺されてから同じ事を言う気があったら俺に言いに来い、それとも何か? たった2日でセピアやベルトワルダを裏切ってボトムサンズに寝返る気になったのか?」


 「いや、それはそんな事思ってない」


 「じゃあ黙ってもう一度ボトムサンズの奴らの所に行け、そしてこう伝えろ、今が夜の10時ぐらいだからそうだな。 『明後日の12時ちょうどボトムサンズの拠点に向かって総攻撃を仕掛ける。 これを教える理由はせめてもの慈悲だ。 ひとたび攻撃が始まれば全員死ぬまで我らは休まない。 明日中に逃げたい者は逃げ、戦うものは準備をしろ。 そして親しい者に別れを告げろ』」


 一字一句違わずに伝えろよお前は伝えたらボトムサンズに寝返るでも軍に帰ってくるでも好きにしろ。 たがボトムサンズに居た場合は容赦なく殺す。 それだけは覚えておけ」


 「今ここであんたを殺して争いが起きるのを終わらせても良い」



 俺は鎌を構える。



 「お前本気か? さっきの戦いの中でわかっただろ、俺には勝てんよしかも今は雨が降ってる。 雨の中の俺は最強だ」


 「わかってる。 さっきは鎌についた雨を操って俺が鎌を振った瞬間に鎌を少し動かして、鎌が当たらないようにしていたんだろ」


 「そう! 正解! そこまでわかってるならなおさら勝てない事はわかるだろ? 早く鎌を下ろして下級街に帰れ」


 「さっきはお前が反応できない所からの攻撃を加えたらそのまま兵士に命中した。 もう一度同じ事をすれば良いだけだ」


 「はぁ」



 キルギスは飽きれたような大きなため息をついた。



 「今すぐお前を殺す事も出来るが殺したらベルトワルダに俺が殺されそうだからな、強制的に下級街に行ってもらう」


 「やってみろよ」


 「セピア! 俺から離れるなよ!」


 「わかってる、それよりキルギスの方見て!」



 セピアの声に反応して、キルギスの方を向くと、辺りの雨と噴水の水が全てキルギスに集まり噴水広場を全て覆うほどの大きな水の球が出来ていた。



 「じゃあな、サナトとセピアまた明日どちらの立場で居るかは分からないが」



 大きな水球がこちらに向かってくる、俺はセピアを自分の後ろに隠れさせ、鎌を構えて鎌を中心とした砂の膜を作り出した。


 眼前に水球が近づいてくる。 俺は大きく深呼吸をして痛みに備えた。 水球からの水しぶきでまぶたを一瞬閉じた瞬間、体中を鈍器で殴られたような痛みが走り俺の意識は飛んでいった。


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