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第4話 爽やかな悪魔



「え、あ、よろしくお願いします。」



と戸惑いを隠しつつ俺が返事を返すと

美しい彼は爽やかな笑顔を俺に向けた。

最強かよ。。




「僕、仲間洸一なかまこういちって言います。一年生ですよね?」





「はい。佐藤雪貴さとうゆきって言います。仲間さんは何年生ですか?」






「同じ一年だよ!よろしくね!」





同い年!?まさかまさかだった...。

それにしても雰囲気が全然違う。あの時電車の中で俺をあざ笑ったあの彼じゃない。

目がキラキラしてる。

人違いか?いや、こんなイケメンそう簡単にいるもんじゃあない。

でもこれじゃまったく、、、







頭の中が目の前いる仲間くんでいっぱいになる。









「ペアが組めたら練習はじめるよー」


会長の言葉が合図となり、その他の先輩たちが俺たち一年生をそれぞれのコートへと誘導する。








「佐藤くんはバド経験者?」








「いや、高校は弓道部で、、、」








「そうなんだ!かっこいいね!!」








「いや、そんなことはないです。仲間くんはバド経験者ですか?」







「うん、でも高校でちょっとだけね。というか敬語じゃなくていいよ同い年なんだし。ね。」








「わ、わかった。」







ーーーーーー


ピー


「ありがとうございました。」

相手チームと握手を交わす。




バドめちゃくちゃ上手いじゃないか。

俺なんかほとんど動いてないよ。

仲間くんの活躍で何点か獲得できたけど相手チームは2人とも経験者でさすがに勝てなかった。





次のペアと交代しコート脇に移動してきた時に俺から仲間くんに声をかけた。


「ごめんね。俺のせいで負けた、、、」








「ぜんぜん!佐藤くんセンスあるよ!僕が初めてやった時は佐藤くんみたいに返すの上手くなかったもん!」






いいやつかよ。

本当に電車の中にいた彼と今目の前にいる彼は同一人物なのか?













ーーーーーー


そんなことばかり考えていたらまともにサークルも楽しめず、あっという間に終わってしまっていた。





体育館前でもう一度集合し、軽く挨拶をして会長から重い勧誘も受けた後、駅に向かって歩き出そうとした。







「ねぇねぇ佐藤くん!連絡先教えてよ!あとよかったらこれから一緒にご飯食べに行かない?」







「え!?で、でもともだちが、、」





適当すぎる言い訳なんてもちろん丸め込まれ。




「じゃあその子もいっしょにさ!」







サークルが終わったのは9時過ぎで周りはとっくに暗くなっているというのに目の前の彼は眩しい。







「わ、わかった。行くよ。」




「よかった!じゃあちょっと待っててね僕も友達呼んでくるから。紹介するよ」












ーーーーー


結果、俺と智と仲間くんとその友達の数人で駅近くのファミレスに入った。

仲間くんの友達もすごくいい人達ですぐに打ち解けられた。





「へぇ!雪貴くんと智くん高校から同じなんだ!」







「たまたまね。俺がここ行くって決まったあとに雪貴も行くって噂聞いて驚いたわ〜はははっ」






こっちのセリフだ。

智がおそらくその噂を聞いた直後、となりのクラスからわざわざ俺のもとにやってきた時に、同じ大学に行くことを知った俺は自分の合格証を破り捨ててやりたくなったほど驚いた。






「でもこれからはぜひ僕らとも仲良くしてね」


仲間くんのセリフにはいちいち華があるな。







「もちろん。俺の方こそよろしく。」




ありきたりな言葉で返したことを俺は後で後悔した。





「じゃあそろそろ帰ろうか。」







ーーーーーー


智はなんだかんだ駅前まで来て見送ってくれた。

仲間くんの友達にも駅周辺に住んでる子がいて智はその子達と帰った。

電車組は俺と仲間くんともう1人の3人だけだった。





小田急線の急行新宿行きに乗り、空いてる席にすわった。

仲間くんと友達は仲よさそうに話している。明日の授業がどーとか。履修科目がどーとか。そんな感じ。






そんなことよりここで仲間くんと出会ったんだよなぁ。








そもそも仲間くんは覚えてたりするのかな、、、






俺は仲間くんに聞いてみようと口をあけた。




その時、

「次は下北沢、下北沢。お降りの際は足元にご注意下さい。」と車内アナウンスが流れた。








「あ、佐藤くん確か乗り換えここだったよね?」










「...え?なんで知って...」

思わず仲間くんの顔をガン見してしまった。美しい。








「やっぱり覚えてないか。僕たちここで一回会ってるんだよ笑」









予想外の展開に開けた口を閉じるのを忘れていた俺だったが、それと同時にふと思った。




じゃああの時俺のこと鼻で笑ったこと覚えてるのか!?









そのことを察したかのように彼はいたずらに笑顔を見せた。







「へへっ」









体の奥から何かが込み上げてくるのがわかった。

怒りだ。





この悪魔ぁああああ!!!





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