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第1話 美しい彼は向かい側

 渋谷ー渋谷ーお降りの際は足元にご注意ください。


 次は、、何線だっけ。

 、、イノアタマ線?どこだ、、?あ、あっちか。


 渋谷駅のJR山手線から井の頭線に乗り換える為、人にぶつからぬよう一生懸命駅の天井を仰ぎながら標識を探す俺の名は 佐藤雪貴(さとうゆき)。昨日から晴れて大学生になった。

 山手線から井の頭線への乗り換えの仕方さえスムーズにいけない俺は高校まで田舎で育ち、大学進学を期に上京したザ・田舎者だ。


 イノ、、gashira、、あぁこれ井の頭って読むのか。

 井戸のアタマ、、ってどんな場所?ふふっ


 俺の頭の中は常に独り言でいっぱいだ。クラスに1人はいるおちゃらけてて明るいキャラ?そんなに俺は単純じゃない。頭の中ではいろんなこと考えてるけど考えすぎるがゆえになかなか思ったことを伝えられない。

 めんどくさいでしょ?



 岡本太郎の大きな絵に目を弾かれぼーっと眺めていると前から歩いてきたサラリーマンにぶつかる。



「っと。ごめんなさい。」

 俺がわるいの、、?俺は絵を見ていたけどあの人べつに歩きスマホしてた訳でもないのになんで俺にぶつかったのかな。ちゃんと前見てるならぶつかるなよな。


 ひねくれごとばかり考えながら井の頭線のホームを見つけ田舎では持ち歩くことなど殆どないSuicaを改札機にかざした。



 、、、え。どっちに乗ればいいの。



 渋谷駅井の頭線の二つのホームにはどちらにも電車が来ていて両方渋谷が始発らしい。



 下北沢、、下北沢。え、どっちもいくのかよ。

 じゃあ人少ない方でいいか。



 各駅停車の車両に乗り、空いている席に腰掛ける。

 すると向かい側の急行列車が発車のベルととともに動き出した。

 なぜだか、不安になる。


 今一度電車の電光掲示板をみて下北沢に向かうことを確認し、ようやく体の力を抜く。



 まもなく8時12分発各駅停車吉祥寺行きが発車いたします。

 扉が閉まる。また不安になる。また掲示板をみる。



 時間通りにつくかなぁ。何個先が下北沢なのかな。





 井の頭線から小田急線のりばに向かうにはやたらというほど地下にもぐる。



 エスカレーターあってよかった。。。しかし長いな。ふふっ




 まもなく電車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください。

 小田急線が目の前を通過した時の風圧に思わず口角が上がってしまったことに気づき真顔に戻す。

 車内は席が埋まるほどの人の数。


 俺はここでいっか。


 座席の両サイドにある、いわゆる立ってる人の寄りかかる所に僕も寄りかかってみた。案外フィットしないな。




 発車した時は地下を走っていたはずの電車がいつのまにか地上を走っている。

 電車の中には春の柔らかい日差しが入ってくる。

 と、共に俺の視界には思わず見惚れてしまうもの、いや人がいた。



 すごい綺麗な顔立ちだなぁ。男かな?女かな?

 体薄いし多分男、、ってことにしよう。身長は俺より少し小さいけど何から何まで美しい。いいなぁ。



 たまたま目の前にいた同い年か年上に見える色白の端正な顔立ちをした彼を俺はただ眺めてしまっていた。俺は美しいものを見るのが好き。絵でも景色でも人でも。




 すると僕の視線に気づいたのか美しい彼はこちらを見たので俺と目があった。



 わぁお。目おっきい、、



 そんな俺の憧れの眼差しは、美しい彼にあっさり無視され、挙句の果てに田舎から来た俺の茶色い服装をみて目と鼻で軽くあざ笑った。




 はい。嫌い。イケメン嫌い。くそっ!



 気分がすごく悪くなった俺は大学の最寄駅に着いた途端足早に電車を降りた。



 なんなんだアイツは!年上かもしれないけどムカつく。バカにしやがって。俺だってこれから大学デビューってものをしてやるんだ。




 と腹を立てて歩いた。

 大学初日一発目の授業は遅刻。理由は迷子。







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