ある男の人生 自営業 32歳の場合
俺は高校卒業後、専門学校で知識を学び専門学校を卒業後直ぐに親が経営している会社を継ぐために、親父の下で修行をしながら寝る暇も惜しんで必死に働いた。
その結果、数年前から会社を全面的に任されている立場である。
先に言って置くが、俺は不器用な人間である。恋愛と仕事の両立は苦手なタイプと言えるだろう。
だから、仕事と家庭のバランスが難しく、仕事重視の俺は家事や育児は妻に任せっきりだ。
現在は、結婚生活8年目で未就学児の子供が3人もいる父親だ。
妻は、現在30歳。高校の時の後輩で部活を通して知り合った。
高校卒業後も何となく交際が続いて、俺が24歳になった春に親父から仕事面で認められたのを機に、結婚を決意し同年6月に結婚したのだ。
その後、一男二女に恵まれたのだが、これには少し妻の思惑に乗っかってしまったが為の次女誕生秘話がある。長男5歳児・長女3歳児・次女はまだ生後5か月だ。俺的には一男一女で満足していたのだ。
ところが今から約1年6か月前に妻から3人目が欲しいと突然の告白をされた。
その頃、長女がようやく手が掛からなくなってきた生後約18か月頃だったのに、どうしても3人目が欲しいと言う彼女にダメだとは言えなかった。
妻は高校在学中に日商簿記2級を取得し、卒業後は他の中小企業に就職して経理の経験を積みながら自腹でPC関係が学べるスクールに週末だけ通い頑張ってエクセル・ワードなどを習得したのだった。
結婚後は妻が経理関係や事務を担当して直ぐに戦力としての実力を発揮し、献身的に家業を手伝っていた。
自慢するつもりは無いが、妻は賢い。頭の回転が速く起点も利くし従業員からの人望も厚かった。
(次女の出産前後から現在に至り、生後5か月の娘の育児を理由に仕事をしていないのと同じだと俺は思っている為、少なからず従業員達も俺と同意見だと思う。)
結婚後、暫くは子供を作らないで仕事に専念して貰っていた。自営業とは言え従業員が存在する限り事業に失敗する訳にもいかない。
親から引き継いだとはいえ今の時代に昔ながらの戦略でやっていたのでは生き残れないのも事実だった。
俺的には良い塩梅に軌道に乗り安定してから自分達の子供が授かれば良いと考えていたのだ。
だから、1人目から妊娠・出産を計画的に行ってきており、2人目の娘も計画出産だった。
出産後も妻には家業を手伝って貰っており、子供を保育園に預けている昼間だけパート扱いで勤務していたのだ。
その妻がもう一人どうしても・・・と言う為、仕方なく了解して相談しながら妊娠・出産は計画的に行った。戦力だった妻が次女の育児に専念している為、その分の雇用も必要になり穴埋めをしたのも事実だ。
妻曰く、子供達が保育園に行っている間の昼間で次女が眠っている時間なら自宅でも仕事は出来ると言い、上の子供2人を保育園に送った後に、事務所に立ち寄って少しではあるが書類を自宅に持ち帰って仕事をしているのだ。
最近の妻は、何かと機嫌が悪い。口を開けば文句ばかり俺に言ってくるようになった。
俺は妻の要望通り3人目の出産を承諾したし、仕事も自宅で出来るようにと計らった。
それなのに、何故機嫌が悪くなり爆発するのだろうか?
俺的には、家族の為、従業員の為に必死に仕事を頑張っているんだ!
現状に満足しているが、家族の為、従業員の為にと常にアンテナを張り巡らせて試行錯誤を重ねている。
少しでも従業員全員の給料などの待遇面の向上をしたいし、仕事内容も充実させて従業員がこの仕事をしていて良かったと思って貰いたいと考えている。
だから、家に帰ってまで育児や家事を手伝う気力もない。
俺は俺なりに日々苦悩しているんだ。
結婚前から俺が不器用な男だと知っていて、すべてを受け入れて結婚したのでは無いのか?
仕事場でも自宅でも妻の顔色を伺って機嫌取りなんてマッピラ御免だ。
自宅に1歩足を入れたら、ゆっくりと寛ぎたいのは俺のエゴなのか?
まぁ、妻も俺と同じように仕事場でも自宅でも俺の顔色を気に掛けるのはウンザリだと思って、育児を理由に自宅で仕事をするように仕組んだのかも知れんのだが....。
確かに妻は、俺の手が回らない部分をしっかりサポートしてくれ、毎日家事・育児も頑張っているのは知っているし理解もしているつもりだ。部屋はいつも綺麗に掃除がしており、整理整頓もなされている。
妻の機嫌が悪い日は、『口を開けば文句を言う』と先ほど述べたが、妻は俺に感謝の言葉を期待しているような口調っぷりだ。毎回、同じような内容でウンザリする。
「俺の妻は本当に計算高い女だ。」
離婚するつもりは毛頭ないので、来年の結婚記念日には気持ちばかりのプレゼントでも贈ろうか・・・?
それとも妻の意向に沿って「いつもありがとう。」の一言を今直ぐにでも伝えるべきだろうか・・・?
一般的に考えて女性はどちらが1番嬉しいのだろうか・・・。
『妻は計算高い女だから』と一瞬頭を過ぎって再度考える。
『妻にとってはどっちが喜ぶのか?』
鈍感な男にはイマイチ女性の扱いが難しいと俺は思うのだ。