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「さーてと……もー6時近いし帰ろう帰ろう。いやー空が赤「類ー?いるのですかー?」……………やばい」



昨日助けていただいた好青年の声が聞こえる。

隠れられそうな場所はいくらでもあるけど、動けばすぐに気づかれる。

思い切って佐怒賀皐にでもなる?

思ったら即行動。

お下げの三つ編みを解いて、伊達メガネをはずす。

そうすればおやびっくり。

佐怒賀皐さんの出来上がり。

でもこっからどうすればいいのかな…?

…………………逃げよう。

鬱蒼と茂る背丈のある叢の中に隠れる。

とりあえずここであの好青年が過ぎ去るまで待ってよう。

何もしなければ乗り越えられるさ、きっと。



「うーん……類?いないんですか?食べちゃいますよ?この春限定で人気が高すぎてオークションでさえも高値で取引されるこのチョコレート。それに佐渡島でしか買えない50g1200円の毎日1㎏限定販売のサイコロチョコ食べちゃいますよー?」



大声でるいるいの名を呼ぶちーちゃんは顔を見なくてもわかるほど嬉しそうだった。

なんかこう……お菓子を独り占めできるみたいな。

思わず笑ってしまいそうになり、慌てて口を手で塞ぐ。

しかし幸か不幸か。

腕が近くの枝を揺らしてしまった。

いかん、気づかれたらやばい。



「誰だ、そこにいるのは」



気づかれてたーーー!

先程の嬉しそうな声とはまた違う、怒りの含んだ声に冷や汗が止まらない。

足音が近づいてくる。

あー……万事休す。



「女子……?Sクラス以外は立ち入り禁止だ。出ていけ」



やべー真後ろにいるんだけど。

嘘は苦手だけど方便っていうよね!

思いっ切り振り返って頭を下げる。



「ごめんなさい!幼馴染みの薙ちゃんに大切なメガネを隠されちゃって……その…ここがSクラス以外立ち入り禁止の場所だなんて知らなかったんです、ほんと…すみません、すぐに出てい「さ、佐怒賀さん?」…えっとはいそうです佐怒賀です………」



恐る恐る顔を上げるとちーちゃんこと好青年がかなり驚いた顔で私を見つめていた。

目が合うとちーちゃんは真っ赤になって顔を背けた。

隠れる時に土でも付いちゃったかな。

制服の袖で顔を擦ってみても何もついていない。

はっ………もしや、この好青年、私がブスすぎて笑いを堪えてるのかこんちくしょう。

好青年をぶん殴るなんてできない……とか言うか弱い女子じゃないよ私は。

正直私の記憶無くなるんだったら遠慮なく殴る。



「すっ、すみません!まさか佐怒賀さんだとは思わずにあんな暴力的な発言をしてしまって……どうお詫びをすればいいのか…」

「いえ、あの大丈夫だよ……」



顔を真っ赤にさせながらそんな事言われたら、暴力振りかざそうとしていた自分には罪悪感しか募らない。

というか先程のギャップに激しく動揺して頭が混乱している。



「あっと、その、えっと……ご挨拶まだでしたよね…ご存知かと思われますが、一応……僕は氏家千春(うじいえちはる)です。蒼い王子、なんて呼ばれていますがあまり好きな呼び名では……」

「じゃあちーちゃんで。よろしくお願いしますちーちゃん」

「で、では僕は皐さんと呼ばせてもらってもいいですか?」

「もちろん。敬語もとっていいよ別に。同世代なんだから」

「なんというか……その…中々抜けなくて……ガタが外れると知人でも先程のような失態もしてしまうので…直そうと努力はしてるんですが上手くいかないんです…」



気恥ずかしそうに口を手で覆っている。

ちーちゃんはアレだね。

溜め込みに溜め込んで一気に大爆発引き起こしてすこぶる後悔するタイプだね。

そして周りは一度経験するともう二度と経験したくなくて遠慮に走る羽目になるやつだ。



「た、立ち話もなんですから、よろしければ椅子のある場所に行きませんか?ここのもう少し先にあるんです」

「そんなとこあったんだ……じゃあご一緒させてもらおうかな」

「本当ですか……!こっちです!」



ちーちゃんは片手にチョコを持ちながら、嬉しそうに先導してくれる。

とてつもなく甘いものが好きなんだなぁ……微笑ましい。

あの刀袋が飾られた場所を通り過ぎて少し歩くと、木の板でできた手作り感満載の長椅子があった。

ボロボロになってる訳ではないけど、作られて数年は経っているのはすぐにわかった。

その長椅子にちーちゃんは腰掛け、にっこり笑った。

わぁ………笑顔が眩しい。



「地面に座るよりはいいかなと思いまして。隣、どうぞ」

「じゃあ………隣失礼するね」

「Sクラス以外で座ったのは佐怒賀さんだけかもしれませんね。宝石の王子と姫が共同で作ったそうです」

「へ、へぇ~……」



椅子に座って思うこと。

佐怒賀さんの中身は地味なSクラスですごめんねちーちゃん…!

宝石って、お姉ちゃん確か…………


「楓は……金剛石」


もしかして…いや、そんなはずないし……



「あの学園長が王子だったのなんて考えられませんよね?あとは…春樹先生に、食堂の倬さんと、保健室の夜継先生。まだ噂の範疇ですけどあの特別講師の弓納持先生も同じ時期の王子だと聞きましたね」

「そんなに王子がいた時があったんだね…」

「そこに金剛石の姫もいましたからね。まさにSクラスの黄金期だったらしいですよ」

「こ、金剛石………」



聞き覚えのある単語にどうしようもなく頭を抱えたくなる。

お姉ちゃんは一体何をしていたんだ……

お久しぶりです。ほぼひと月ですお待たせしました。

受験以外のイザコザに巻き込まれこんなに遅くなってしまいました。

また明日から毎日更新します。

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