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「おい、ここで何をしている」
思い出にふけってるのもつかの間。
背後から一度聞いたことのある声に話しかけられた。
たしかどえらい別嬪さんで帯刀してる先輩!
振り向くとバッチリ目が合って一瞬だけ驚かれた。
でも驚いていたのは一瞬だけで直ぐに無表情になってしまった。
「もう一度聞くぞ。何をしている。大和泉、王寄」
「え、えっと…………「つまらないお話からバックれてきただけですわ」な、撫子………」
「そうだな。どうせ陰善の話で終わるだけだ。出ても何も意味がない」
「それは貴様らの都合だろう。ついでに言わせてもらおう。Sとはいえその恰好はなんだ大和泉。それに王寄、制服の中に防弾チョッキを着るな」
「帯刀している葛城に言われたくない」
「帯刀している葛城委員長に言われたくありませんわ」
まぁそうだよね。
一番危なっかしい帯刀してる人に注意されたくないよね。
わからなくもない。
わからなくもないけど私からすれば皆おかしいよ?
私ってなんて正常。
それより葵ちゃんが制服の中に防弾チョッキ着てたの。
そんなスリムな体型なのに、防弾チョッキ着てるの?
なにそれうらやましい。
「きちんと許可は出ている刀だ。まぁそれを持ち歩くのはいけないが」
「よい子はマネしないでねパターンですわね」
よい子じゃなくてもマネしちゃダメ!
「この学園で法律云々は無意味だ」
「委員長がそんなことを言ってよろしいのですか?」
「この妾だからこそ言えることだ。無駄話を止めてさっさと教室に戻れ」
「善処致しますわ」
「断固拒否する」
「いい加減にしろお前らは本当に…それに…そこのお前は誰だ?」
「え?」
いやあの……数時間前に会ったはずなんですけど…
「森?林?のところでお会いしましたよね…?」
「森……?いや、あそこで出会ったのはもっと地味だったぞ」
「案外グサッと来た」
「これは応えるな」
「……的、その髪型解きましょう」
そう言って撫子は綺麗に編んでくれた髪を解いて、一瞬で三つ編みのダサい髪型にしてくれた。
そしてどこから出してきたのか奏先生から頂いた赤いメガネを手渡しされた。
あぁ……!思いっきり驚かれてる!
「あぁ……確かにこの地味さはあそこの森で見かけた奴だな。髪型だけでここまで«変わる»とは………面白いな」
「地味地味言わないで下さいよ……解ってるんで」
「そうか。面と向かって話すのはあれっきりだと思っていたが案外話すのが多くなりそうだ」
長い髪を後ろに撫で付けて、右手をこちらに差し出してきた。
「地味と言ってしまい失礼した。妾は葛城マリア。三年のSクラスだ。そして成敗委員会の委員長でもある。以後よろしく頼むぞ」
「は、はい…よろしくお願いします…葛城先輩」
無表情なんだけど、どこか表情のある顔。
握手をした手は、皮膚が固くタコがあることがすぐにわかった。
とてつもない美人であると共になんとなく頑張っているのであろう。
「……しまった…執務があるのを忘れていた……さっさと教室に戻れ。妾はこれで失礼する」
果てしない廊下の先に葛城先輩は消えていった。
「的は葛城のお気に入りになったな」
「え?どうして?」
「あの真面目な葛城委員長の事です。執務など当の前に済ましているはずです。ですがこうして見逃してくれたのも的を気に入ったからでしょう。あの人、身内に弱いんです。くそっ……私の的を狙う輩が増えますわ……」
私を狙う人なんていないと思う。
再び帯刀先輩ご登場
帯刀先輩を書いていると、家宝の短刀と太刀を一回だけ持とうとしたときに頗る怒られたときを何となく思い出します
今じゃ神社の方に置いているとか言われちゃってシュンとしてます…
刀を持って「○落ちて○ね!」ってやりたかった…




