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こちらを見つつこそこそと話をする女子達やその他諸々の視線が痛い。

突き刺さってる。

針だったら返しが付いてて中々取れない系。

面倒だよなぁ……慣れたけど。

隣のこいつが一緒にいるだけで私は不幸だ。

可哀想な私。

花の女子高生の内に白馬の王子様が迎えに来てくれるもの……とか思ってないよ気持ち悪い。

始まって早速キャラ崩壊なんて嫌だ。



「あの御方、とても凛々しいですわ……王子にならないかしら」

「ワタクシも王子に見合う様な人になりたいですわ…いつかは目にかけて欲しいです……」

「親衛隊の隊長達が姫に一番近いとされていますがどうなのでしょう……」

「いいえ、次期姫は《白百合様》一択ですわ!」



遅刻だけはしたくないので、薙ちゃんを無理矢理引き剥がし、歩かせる。

そうしているとふと妙に言葉遣いのいい会話が聞こえてきた。

王子とか姫とか白百合様とか頭大丈夫なのかなあの人たち。



「それに比べて隣にいるメスの汚さと言ったら…」

「完全にワタクシ達が上ですわね」

「当然の事です。薄汚い一般人とワタクシでは全てにおいて違いますもの!」

「何あいつら。一回鏡か何かで顔を見たことあってあんなこと言ってるの?バカなの?アホなの?」

「薙ちゃん……!こんの馬鹿…!!」



下品な声の主に今にでも殴るかかりそうな薙ちゃんをどうにかして止める。

私にどれだけ疲れさせればあなたは満足するの。



「いいから!行くよ!私は気にしてないの!」

「的がいいなら別にいいや」

「うん。よろしい」

「でもあいつらゼッテェ潰す」

「ふざけんな」



無理矢理その場から離れる私と薙ちゃん。

無理矢理だけど喧嘩になりかけるのを阻止した私って……



「やばい、優等生の鑑だよ」

「俺が?」

「薙ちゃんは不真面目の鑑だと思うの」



こんなのが優等生の鑑だったら世界は崩壊する。

断言しよう。

校舎前まで薙ちゃんを引きずっていけば、大きな掲示板が立ちはだかるように立ててあった。

そんな掲示板を食い入る様に見つめるのは私と同じネクタイの色の人ばかり。

同じような大きな掲示板はずらっと十個は並んでいる。

よく見れば、一番上に《Bクラス》と表記してあり、その下に知らない人の名前が並んでいる。



「これってクラス発表のやつかな?」

「どう見てもそうでしょ。この学園エスカレーター式だしマンモス校でもあるから最低でも10クラスはあるでしょ」

「多いなぁ……」

「それだけ世の中から才能がある奴が集まってるってこと。的の小さい脳みそは理解できないよね。ごめん」

「理解できるから可哀そうな目で見るのは止めようね」



薙ちゃんはそっけなく弄って来る。

その態度でどうにか平静を保っている私。

大変……その………大体はお嬢様方からの…熱い視線が……あなた経由で私に向かっているのですが。

視線が刃物だったら、私は今頃串刺しでしょう。

嫌だね。

グロテスクだしスプラッターだし何の得もない!

なのにどうして薙ちゃんはそんな涼しい顔して自分の名前探すの!

私は置いてけぼりなの?そうなの?



「的………的?どしたの」

「もうこの学園で平穏に過ごす事は出来ないって確信したから……あは……あはは…」

「本当にぶっ壊れた?的、俺らは不名誉なSクラスだよ。面倒だ」

「Sクラス?」

「そうだよ?」



Sが付くとなんでも最高峰の響きが出るけど、あまり良さげではなさそうだなぁ…

なんだかなぁ……



「あのっ!そちらの麗しい殿方っ!」



…………呼ばれてるよ。

う、麗しい殿方さん…!!!

ぶっ…薙ちゃんが……あはっ…もう我慢…っ……できない…



「くっ……ぶっふぇ…」

「何笑ってんの。的なんか気持ち悪い。というかキモい。馬面を前面に出した顔しないでくれる?」

「はぁ?もう一回言ってみなよ。この朴念仁眼鏡!ハシビロコウみたいな顔しないで欲しいね!」

「あ?」

「ごめんなさいごめんなさいもうしません逆らいません多分逆らうけどごめんなさいそんなハシビロコウが獲物を定めた様な目で見ないで下さい薙様。何でもしますから」

「え?ほんと?じゃあ何してもらおっかな」



前言撤回。

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