15
先程ここへくる道を辿っていったはずなのに。
どこでしょうかここは。
おかしい。
迷わないように度々後ろを振り返ってたはずなのに。
撫子がもう一回恐竜みたいな叫び声上げてくれればすぐにわかるはず……
露頭ではなく廊下で迷うって……これは方向音痴を疑う…
いや、それはない!それはないし!
早く教室戻りたい……
「冷や汗で背中気持ち悪い……」
「Sクラスー?なんで底辺クラスの廊下歩いてるのー?物好き?」
「へぁ!」
後ろから声をかけられて某三分で地球を救う異星人の声で驚いてしまった。
振り向くと撫子と葵ちゃんがダサいと決めつけている至って普通な制服をかなり普通じゃない着方をしている女子。
ブレザーとシャツの間にピンクのパーカーを着て、スカートの下には黒いジャージ。
パーカーのポケットに両手を突っ込んでこちらの顔を覗き込むような体勢をしている。
ヘーゼルナッツ色の瞳、赤髪に見えなくもない茶色い髪を簪で纏めている。
傍から見れば奇抜の一言だけど撫子や葵ちゃんと同じ類の美人さん。
体のいたるところから熊やウサギ、猫、犬のキーホールダーがのぞいている。
「いや、その……迷ったというか…………」
「あーアンタなんだね。おっけーおっけーどこに行きたい?」
「更衣室に………」
「うっわ難易度高すぎぃ!まぁいっか。行こ行こ。ご案内するよ」
「あ、ありがとうございます……あのお名前は…」
「ワタシ?レオノーラ・ディースターヴェーチェ。Kクラスで立派に堂々と馬鹿をやってるの。アンタは?」
「毛利的です。なぜかSクラスに入れられました」
「あーやっぱりかー。噂の新入生!あはっ面白。こっからだと歩くけどまぁ気長にお話しましょうや」
私の隣で悠々と話し続けるレオノーラさん。
外人さんながら日本語流暢すぎる。
なんでもこの学園に入るまで英語とイタリア語とロシア語しかできなかったらしい。
……バイリンガルって怖くない?
「私の事は話したから今度はアンタの事教えてよ。あぁ、アンタが今日から学園から入ったってこととアンタの兄弟については知ってるからそれ以外で」
「もうそれ以外話す事ないですけど」
「じゃあ誕生日」
「2月11日です」
「趣味」
「特には…」
「特技」
「ないです」
「つまんな!」
「本人が一番わかってます」
両手を叩きながら豪快に笑うレオノーラさん。
女子高生らしい青春ぽさがある。
これが当たり前なんだろうけどこの学園だと奇抜に見えてくる。
なぜだろうね。
「じゃあ皆聞きたそうだったからあと二つだけ聞かせてね」
「どうぞ」
「斑鳩薙とはどういった関係で?なんだか初登校の時点でなかよしこよしで一緒に登校してたらしいじゃん?もーチョー噂になってるよ」
大体想像はついていたけど。
朝あんなに騒がれちゃそんな噂も立っちゃうよね。
「薙ちゃんは幼馴染みの一人です。だからほとんど肉親に近いかも」
「へあ~…幼馴染み…いい響きだねぇ。一人だよってことはまだいるんっしょ?」
「え?あぁ、はい。あと二人ほど。一人目は薙ちゃんとの双子で今芝居の稽古でハリウッドに。二人目は……」
「…………無理にでも聞く人間じゃあないから安心しなよ。それと、どーせ同じ学年だから敬語は遠慮してほしいかも。敬語嫌いでねぇ。名前の後ろに様だのさんだの付けられると悪寒走る。そして日本語という化け物じみた言語を巧みに操る日本人見ると鳥肌立つ」
「さ、さいですか…………」
「マジで、初心者泣かせのイタリア語とロシア語は簡単だったからすぐに覚えたんだよ。だけど日本語、テメェだけは異次元だ。って事でいろんな壁取っ払って仲良くやりましょうや」
言いきりよったけど大分綺麗に発音してますからね………
正直幼馴染み二人目は音信不通すぎて生きてるのか死んでるのかどこにいるのかわからなさすぎて、伝えることはほとんどない。
ニカッと笑うレオノーラさ……ぎりぎりさんなんて言ってないし。
笑顔にはかなり癒されるけど、周りの突き刺さる視線と囁き声がつらい。
「あの《最底辺クラス》……例の新入生とつるんでるわ……」
「やだぁ…………」
「おいおいSクラスがこんなとこ歩いてるなんて見下しに来たのか?」
「しかも《最底辺クラス》の奴が隣にいるし……まぁ完璧に見下しに来たんだろ」
「私だって……才能はあるのに…………」
「なんであんな奴が………」
歩みを進めるたび、増える視線と囁き声。
才能があるなら才能のない私の代わりになってほしい。
今すぐにでもこのセーラー服を脱ぎたい。
「胸糞悪いっしょ?これが普通だよ。これが当たり前。上の人間を貶めて自分が這い上がる為にイジメだろうがなんだろうがする人間。クズの肥溜めだよね」
「流石にそれは言いすぎじゃ……」
「ワタシは日本人じゃないからね。ズッバズバ言ってあげなきゃ自分の気が収まんないの。才能もクソも持ち合わせずに親の金に縋って入った奴なんてただのサブキャラでしかないのに。それなのに自分に才能はあるだの……サブキャラが粋がって可哀想に……自分を過信することでしか生きれないサブキャラが哀れで仕方ないね……どうよ、これが《最底辺》ことレオノーラ・ディースターヴェーチェのワタシが常日頃思ってることよ」
「とりあえず本気で憐れんでるのはわかった」
新キャラ一人登場です
正直、ヘーゼルナッツ色の瞳にするかヘーゼルナッツような形の目にするかすっごく迷った結果色にしたという思い出があります
実は他サイトで連載しているマフィア物の登場人物の妹というネタバレしちゃっていいのかわかんないんですけど夜のテンションで言っちゃいます




