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笑顔はかなり素晴らしいアルカイックスマイル。

やっぱりこの人怖い。



「特別講師として来てましたが、美術担当の先生が複雑骨折の為、急遽教師として働きます!よろしくね!ちなみに俺も廃止には反対!俺達の時は盛り上がったじゃん!学園長!ね?」



くどい。

よろしくねがくどい!

でもやっぱりここの卒業生ならコンテストは大切みたいだね。

私は今日入ったばかりなので、無駄な行事が減るのは素晴らしいことだと思っているから。

暇つぶしにはうってつけだと思うけどまともじゃなさそうなんでパスで。



「いきなりなんなんですかあの人………的はあまり驚いていないようですが…お知り合いですの?」

「うぇ?あ、うん……ちょっと保健室でさっき知り合った……」

「保健室?あのクズがいるところで?マトモな人ではなさそうですね」



大体的を射てるので何にも言えない。

正直にソファをブン投げてたとか言えない。



「でも夜継先生と隠善先生と同じクラスで卒業生なんだって」

「………それは本当か?的」

「苦虫どころかゴキブリをかみ砕いた気分です」

「そのたとえ方すごく嫌」



なんで和風美人がGなんて言っちゃうの。

言わないでしょ。

普通お金持ちは言わないでしょ。

いや、普通の人でも例えとしてそんな事言わない。



「マトモじゃない教師がまた増えましたわ……」

「というかマトモな教師を退職にさせてるのはお前だろ、撫子」



葵ちゃんの言葉に撫子を二度見する。

何をしてるんだ撫子さん。



「メンタル面で鍛えてあげていただけですわ。この大和泉撫子様様が鍛えてあげたのに……途中で脱落なんてするから…」

「的、絶対に教師の退職の話を周りの人間にいうなよ?一般の生徒に評判の良かった教師を退職させたのは撫子というのを」



それ恨まれて背中から刺されるパターンだよね。

この学園何があるかわからないから肝に銘じておく。



「わかったよ。うん。忘れなければ言わないと思う」

「………まぁそれでいい。それで……私たちはなんで凝視されている」

「知りません」

「…………………」



二人とも、二人とも。

壇上の上で学園長が睨んでますよ。

私は知らないよ。



「気づいていないふりはやめろ。そこの大和泉撫子一年生、王寄葵一年生…!」



あれ、私は?見えてない?

二人のキャラが濃すぎて消えかかってるの?

ちょっとそれはないって。



「黙ってください学園長」

「ほう貴様まで俺に指図するのか」

「では講義館ではお静かに」



これ私が学園長だったら腹立つぞ。

学園長の隣では奏先生が学園長を笑っている。

なんなんだこの茶番は。



「全員座れ!!!!!!」



怒気を含んだ声がマイク越しに鼓膜に届く。

学園長、イライラするのはよくわかるけど流石に煩い。

皆渋々席につく。

学園長もお気の毒に。

こんな面倒な生徒抱えてるんだから。



「コンテストの話は後程話し合いをする。それでいいな。異論は認めん!」

「はいはい。どうぞ学園長のお好きなように」

「仕方ないか………まぁ保留になっただけでも良しとしますか」

「暴力沙汰にならずに良かったな。久々に暴れられるかと思っていたが残念だ」



先輩達は各々それらしい反応を見せて席に着く。

学園長は奏先生を壇上からけり落として(本当に蹴って落とした)、仕切り直しのように咳をしてマイクに口を近づける。



「3つ目、姫の事だ」



再びざわめきだす。

ココの人達って騒ぐの好きだね。

なんだってここは落ち着きがないんだい。

私の様な立派な淑女は大人しく座っているものだよ……

え?淑女と言えるほどの胸がないだと?

反省文出すよ?



「知っての通り、引きこもりの白銀(しろがね)が今年で引退だ。それに伴い、新しい姫を決める」



女子の嬉しそうな声が響く。

私は別に何とも思っていないからね。

まず姫が分からない。



「撫子、撫子」

「どうしました?的」

「姫ってなに?」

「…………簡単に言えば、王子の女子版ですわ。そのまんまです。姫もわからないという事は王子もわからないですわよね?」

「うーん……隠善先生に説明はしてもらったね」

「そうなんですか……姫も、学園の生徒を纏めるだけの、ただの客寄せお人形さんです。王子と姫は必ずSクラスがやると決まっていますがそんなもの、形だけです。Sクラスでなくとも、王子と姫になれば必然的にSクラスになるだけですから」

「そんな………」

「汚い制度でしょう?憧れの姫になれて、しかも王子勢揃いのSクラスに入れるのですから」



オモチャ………客寄せ人形………

王子とはいえ、薙ちゃんはどうしてそんな選択を選んだの?

薙ちゃんは頭いいんだから他にも選べるものがあったはずなのに……



「今年は小汚い豚……キレイ好きな豚さんに失礼な人間が挙って名をあげるでしょうね。なんだって欠番してた王子は入って王子が5人になったのですから。今年は面白くなりそうです」



そうだ、さっき学園長は永久欠番だったところに薙ちゃんをあてがったと言ってたのだ。

王子が増えるというだけでこの学園の女子は発狂モノでしょうね。

ですが、そんなこと、今日入った人間にはよくわかりません。

わかるわけあるか。

そんな才能ないわ。

母さんの腹の中に忘れてきたよ?

まだ姿は出ていませんが姫が漸く出てきました

嬉しい限りです

最後の母さんの腹の中に忘れてきたというのは私生活でもよく使います

先日中間テストで現代文だけが34点という赤点すれすれを取った時に読解力なんて母ちゃんの腹ん中に忘れてきたって言い訳しました

次の更新は明日の19:00になります

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