少女、行進開始!
桜散る大通り。
真新しいパリッとした制服はまだ体に馴染んでいない。
学年で違うネクタイの色。
私の学年は白だ。
普通なら赤か青か緑だが、如何せん入学する学校は普通と正反対の学校だ。
秀明学園。
それが私が入学する学校だ。
文武両道才色兼備を追求するこの学園は、幼稚部から高等部までエスカレーター式で成り立っている。
中等部から全寮制となり、高等部ではよりレベルの高い大学に進学する為に才能や学力で振るい分ける。
勿論、充実した設備やカリキュラムに群がる人もいるらしいが、家柄の良し悪しがあっても才能がなければ入れない。
簡単に言えば一般家庭であっても実力さえあれば難なく入れるのだ。
完璧な実力主義。
歩きながら溜息を吐けば、作業着用のつなぎを着たお兄さんに哀れんだ目を向けられた。
ええ、入学早々泣きそうなの。
こんなダサい眼鏡の奥で瞳が揺れてるの。
入りたかった高校に合格した途端に家族に蹴られ、才能も学力もましてや実力も何もない私がこの学園に入学するようになっていて、あれやこれやと今日に至ってしまった……
溜息が止まらない。
確かにお兄ちゃんお姉ちゃんはここの学園を卒業してはいるけど私には第一志望の高校を蹴られた未練しかないのだけど…
「もーどーにでもなーれ」
なんて使い勝手のいい言葉なの。
素晴らしいよ。
私はこの言葉を最初に言った人に勲章で殴りながら贈呈したい。
小さい子が好きな魔法少女的な感じだよね。
ステッキくるりんってして「もうどうにでもなーれ」なんて語尾に星マーク付けても無気力!
地球救えなさそう。
世界救ってよ。
そして放送終了後に現実を突きつけさせればいいよ。
子供にはいい薬のはず。
でも現実逃避してたって、逃げてるだけで現実はあるんだよねぇ……はぁ…
「お姉ちゃんはここで何をしたのかな……」
「的が考え事してるとか俺の事?」
「…断じて違うから」
「じゃあ俺の事?」
「何回言わせるの……」
背中から抱きつく誰かさん。
認めたくはないけど幼馴染みに分類されるこいつははっきり言うと目立つ。
言動も行動も容姿も。
斑鳩薙
生まれる前から私の幼馴染みみたいなやつ。
随分長い間一緒な気がするけども。
そろそろいろんな意味(主に身体的距離)で離れて欲しい。
昔のへたくそな小説を書き直したモノです。
かなり拙い文章ですがこれからは毎日1Pずつ更新していこうと思います