湖の純白少年
久々に雪道歩いていてふと投稿したくなりました。
雪が降り始め、狐火の森も白く色付く季節。森の奥にある湖は凍りつき、暖かい季節とは一味違う雰囲気を纏っていた。
しかし突き刺すような冷たさはなく、ひんやりと気持ちの良い冷たさだ。
「冬はとても好きな季節なんだけど、なんだか暖かいね、いつもこんなんだっけ?」
凍った湖の真ん中でなぜだか正座で座っている・・・少女だろうか?しかし声は少年のようで、顔立ちはまだ幼さを残している。少し濡ているせいか、白く長い髪は日の光でキラキラと耀いていた。
「今年は雪の降りが遅かったからねぇ・・・」
一方、向かい合って椅子に座っている高齢の女性は人間のようだ。
「ワカサギも一向に釣れやしないし、今日はこのくらいにしとこうかね・・・」
よっこらせ、と重たそうに腰を上げた女性を、少年は何言いたそうにじっと眺めている。風に揺れる髪や白い着物からキラキラと光る小さな氷の粒が、どこか寂しげに風に乗り流れて行く。
「君や周りは毎回会うたび見るたびに変わっていくけれど、僕は何か変わってるかな?変わってない僕が段々嫌になってくるよ。」
吊り道具を片付けながらお婆さんは不思議そうに少年を見つめる。
「私は見た目は年老いてしまったかもしれないけど、そんなに変わっちゃないよ、貴方は変わらないことに不満そうだけど、変わらないことって凄いことなのよ。綺麗なままいられるのは私には羨ましい。でも貴方の今の姿って昔の私でしょうに。」
そうだけどさぁ、と肩をすくめて少年はペタペタと釣り穴を氷で塞いでいる。
「また、来てね。幸ちゃんいないと暇すぎて仕方ないよ。」
幸ちゃんと呼ばれた女性はにっこりと微笑んで、また来るよ。と、狐火の森の中へと歩いていった。
しばらく後ろ姿を眺めていると、てとてとてとてと...と、女性が帰っていった道の茂みから子狐が歩いてくるのが見えた。
「やぁ!雪ちゃん!今日も綺麗な湖だねっ!」
「凍ってるけどね、やぁ、狐火ちゃん。いつも元気でいいね。」
狐火ちゃんはてとてとと氷の上で滑らないように必死に僕のとこまで歩いてきた、カワイイ。
「さっき誰かと話してたみたいだけど・・・」
「古い友人だよ、ワカサギを獲るのを見ていたんだ。」
雪ちゃんの友達かぁ~、と狐火ちゃんは何か考えているようだ。
「ここから動かないのにおいら以外に友達いたんだねっ!」
・・・ちょっとこの毛玉凍らせようかなぁ。
やっぱ狐火ちゃんかぁいぃなぁ・・・( ´∀`)




