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『なにがあっても何とかなる』

専業主婦となった静江は次女の結婚を気にかける。


次女は早稲田大学で特待生でもあり、美人でもあった。そんな次女にいいよる男も多く、次女はその中でも好きな人がいた。


その人と結婚の話になったとき、いきなり断られた。理由をきくとなにやら財産関係であやしいことをやっているみたいではないか。と。


その頃、今でもかもしれないが、結婚相手の素性を調べることは特段不思議ではなかった。相手は相当のおぼっちゃまである。


つまり姓が変わったことがおかしいと言うことで、結婚がおじゃんになってしまったのだ。その人は今でも交友があり、とある新聞社のお偉いさんになったのだからみるめがあったのだろう。


そんな次女はショックを受け、そのことは一生忘れないだろう。


次女はお見合い結婚した。相手はお世辞にも良い家柄とはいえない家の長男である。ただ、材木を扱い、事業をなしており、お金持ちの印象だったそうだ。


その後、次女は子どもを2人生み、静江と同居することとなる。


静江はその頃70歳近くなっていた。夫はすでに肺がんにおかされていた。

もう長くはないだろう。病院にはいることを嫌がる夫。


『自分の死に際は自分で分かる』


そう言って、最後まで病院に入らなかった夫。そして、最期は本当に自分で病院に入って亡くなった。


そんな時に次女が家族になったことを心から感謝していると伝え、その時にようやく血のつながらないお父さんをお父さんと思った。


そして静江の人生は孫との人生にうつっていく。

静江は孫とほのぼのとした人生を送っていた。


そんなある日に


『山一証券倒産』


静江は


『バカな上がいるとああなるんだ』


と言って何か懐かしいものをみていた。


あー、あの時の、10年連続で全国1位の売上の優勝カップである。


自分のいた会社がなくなる。人生何が起こるか分からない。


静江は何が起きても、何とかしてきた。

それを孫に伝えてきた。


『なにくそ!と思って生きないと。なにがあったって何とかなるんだ』


静江が大事にしてきたものがある。

それは梅の木だ。


東京にきて、2度目の結婚してからずっと一緒にいた梅の木。


2015年3月。今年も梅は咲いている。


静江は天国でそれをみているだろう。


『なにがあっても何とかなる』


錆びついた優勝カップを曾孫が眺める。

それが人生なのである。




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