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この世界に入ってみようか。

6:25

目覚まし時計がけたたましい音を上げて鳴りだす。

僕はそれを止める。

6:30

目覚まし時計のスヌーズが起動して

けたたましい音を上げて鳴りだす。

僕はそれを止める。

6:35

携帯の目覚まし時計が鳴る。お気に入りの曲だ。

僕はそれを止める。


ここまで、僕に「目覚まし時計を止めた」という記憶なんてもちろん無い。


6:40

携帯のスヌーズが起動してまた鳴りだす。

僕はすこし力の籠った「分かったよ」を携帯にぶつけ、起き上がる。


僕の記憶ではアラームが鳴ったのは1回だ。


体を起こし、このまま横になっていたいという気持ちを抑えて僕は洗面所に向かう。

顔を洗って目を覚まし、洗面台に置いた青いコップにさしてある赤と青の2本の歯ブラシのうち青の歯ブラシを取り歯を磨く。

磨き終わったら水を口に含み、口の中の「バイ菌」を水と混ぜて「バイ菌水」にしたら

口からそのバイ菌水を吐き出す。そして口をタオルで拭いたら冷蔵庫へ向かう。

コップに牛乳を注いでそれを飲み、冷凍庫から氷の入った袋を2つ両脇に抱える。

そしてさっきバイ菌水を吐き出した洗面所を素通りして風呂場に向かう。

氷の入った袋を開けて水を這った浴槽に氷を入れる。

氷はぷかぷかと浮かび動き

やがて動かなくなる。


「由美子、おはよう!」そう氷水を這った浴槽の中の「彼女」に挨拶をする。

「相変わらず無口な奴だ。」僕は少し愛くるしい気持ちになった。

由美子の髪は川に夜を流し込んだかのように美しく長い。

由美子の肌はシルクのように真っ白でとても美しい。

由美子の目は小さな宇宙そのものだ。

由美子の手足は細長く

その手足が邪魔なのか、浴槽の中に裸で浸かっている由美子は少し窮屈そうだ。

そんな由美子は浴槽に丸まって入ってて

その小綺麗な顔にある二つの宇宙で天井を直視し続けている。


僕は由美子をしばらく眺めたら洗面台から赤い歯ブラシを持って来て由美子の歯を磨いてあげる。

磨き終わったら僕が口に水を含んで由美子の口に移してあげる。

移したら僕の舌でかき混ぜてただの水を「バイ菌水」にする。

それを僕は由美子から貰い、浴槽の外へ出す。これを3〜4回繰り返す。

髪を解かしてあげる必要も体を洗ってあげる必要もない。

でも口は僕が夜寝るときと朝起きたときに愛をかわす場所だからちゃんと洗って上げる。


僕は別に彼女の美しさに惚れたわけじゃない。

もし美しさに惚れたなら

僕は髪も体も目も口も、由美子の「中身」までも洗い続けるだろう。

可愛い服を着せて由美子が好きだったコロンの香水を毎日吹きかけるだろう。


じゃぁなぜ僕が彼女の口しか洗わない?

理由は?

どうして氷漬けに?

彼女は死んでる?


一つだけ良い事を教えて上げよう。

実はね、彼女は生きているんだ。

嘘じゃないよ?

本当に生きているんだ。


君はこの小説が「ただ単に愛に狂ったサイコ野郎が女を殺して浴槽にぶち込み、ひたすらその亡骸を愛す過程を書いてるだけの病んでる女の子とかサイコ気取りの中二病が自己満で書いてるクソサイコ小説」とでも思ったか?


ならそれは大間違いさ。

いや、少し合ってるかも。


君達に分かるように説明すると

この小説はね「由美子役のアヤカと僕役のマサキと語り役の私(作者)この3人の奇妙な恋のお話」なんだ。

主な舞台は12月から放送される「サイコLOVE☆」の撮影現場。

今まで君が読んでたのはそのドラマの最初の冒頭部分の撮影さ。


ちなみにネタバレすると由美子の口しか洗わない理由と氷漬けの理由はどうやら

「由美子の付き合ってた彼氏がキス意外には興味が無い性癖の持ち主だったらしく、だから由美子を好きでその彼氏にライバル心を勝手に抱いてた「僕」は由美子を殺して腐らないように氷漬けにして彼氏への見せしめとして口だけを自分の口で洗い続ける」って設定らしい。


ね?彼女は生きていたろ?

だって役者なんだから。


それじゃ、疑問も誤解も解けたところで

「やさぐれドラマ」始めようか!
















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