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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

爆発的な朝

作者: まさかり

目覚ましの音が部屋中に響き渡った


僕はまだ起きない体を無理やり転がすと、時計の頭を叩いた

休日なのに間違えて朝早くにセットしてしまったらしい

二度寝する気分でもなかったので、ベッドに座ると、ゲーム機の電源を入れた


目覚ましよりはるかに大きい破裂音が部屋を包んだ

手に持っているゲーム機は大破し、手は真っ赤に染まっていた

寝ぼけているせいか、しばらく何が起こったか理解ができなかったが

痛みとともに状況が見えてきた


どうやらゲーム機の電源を付けたら爆発したらしい


「え・・・?」


ゲームを起動したら爆発した。事実としては理解できてはいるが何故爆発したのか皆目見当がつかない。


僕がおかしいのだろうか、ゲーム機がおかしいのだろうか。

あるいはまだ夢の中の出来事なのか・・・。


「ちょっとたかしー!朝から何してるのぉー!」


聞きなれた母の声が一階から聞こえた。どうやら先ほどの爆発音を聞いて何事かと様子を見に来たのだろう。

僕の部屋を開けた母はしかめっ面で僕に言った。


「ったく、近所の方に迷惑っふぁごぱ」


母が爆発した。


「母さあああああぁぁああぁあんッ!!」


母の残骸はその場に血の海をつくった

僕は急いで一階へ駆け下りて父のもとに行った


「父さん!母さんが爆発したんだ!」


「は、何を言ってるんだ、たかしは冗談うまいなぁッハッハふぉあぶっ」


父さんの頭が吹き飛んだ


「父さぁああああぁああぁぁあああんッ!!!」


信じられない事だが、母と父が爆発した・・・。一体どうなってるんだ。

やっぱりまだ夢の中なんじゃないか、と疑いたくなる。しかし父の死体の血生臭い匂いは確かに現実そのものだった。


「ニャー」

足元で猫の声がした。

「た、タマ!」

我が家のペットのタマ。メスの三毛猫だ。どうやらタマは無事に生きているらしい。

動物は爆発しないという制約でもあるのだろうか。しかしゲーム機も爆発した。それ以前に何故、どういう原理でこの爆発は起こっているのだろうか・・・。


タマを腕に抱き、カーテンを開け窓の外を見た。

僕の家の前をランニングしていただろう近所の竹中さん、愛犬のコロちゃんの散歩中であっただろうお隣の三村さん。恐らく僕の家に遊びに来る途中だっただろうクラスメイトの吉岡。

皆、爆発して肉塊となっていた。


「なん・・・だよ、これ」

いつも通りの朝、いつも通りの日常が音を立てて崩れ落ちてゆく。

僕が呆然としていると、タマが僕の手からするりと飛び降りた。

「お、おい、どこ行くんだタマ」


「ニャーニャー・・・ブルファッチュヌッ!」

タマが爆発した。


「タマぁぁぁああああああぁぁぁああ!!!」


マジかよ、タマも爆発するのかよ

このままじゃ僕も爆発するかもしれない

急いで家を飛び出した

近くのマンホールが爆発か何かで吹き飛んだがそんなことは気にしない

白い車がこちらに向かって走ってきた


「すいません!止まってください!」


僕は大きなジェスチャーで車を止めた


「あぶねえだろガキ!」


窓から顔をだしたおじさんは、僕を怒鳴りつける

だがそのおじさんの額には赤いタイマーのような光が点滅していた


ピ・・・・ピ・・・・ピ・・・


「おじさん・・・危な・・・」


僕がつぶやいた瞬間、車内はトマトを撒き散らしたような光景になった


「おじさぁあああぁああぁあんッッ!!!」


くそ、くそ・・・どうなってんだよこの世界は!

不意に涙が零れてしまった。もう、うんざりだった。


「少年、お困りのようだな」


優しい、けれど確かに芯のある力強い声が聞こえた。

僕が後ろを振り向くと、そこには


純白の━━━━




「助けてやろうか、報酬はレタスでいい」



アルパカだった


透き通るような白い毛に、凛々しい四足歩行

遠くを見るような二重の瞳は、どこか懐かしい安心感がある


「あの・・・助けてください!お願いです!」


僕はそのアルパカだけが頼りだった


「だから言ってんだろ、ついてこい」


アルパカはそう言ってゆっくりと歩き出した


僕はその広大な、しかしどこか儚さを背負っているような彼の背中を見つめながら付いていった。

よく見ると、アルパカの後頭部に赤い光が点滅していた。


ピ・・・ピ・・・ピ・・・ピピピピピピピピ


「アルパカさん!危ないッ!!」


「ん、どうした少年ぬっふぁっしゅるぁぁぁ!!」


アルパカまでもが、爆発し・・・


「ふん、この程度・・・」


していない!そこには先ほどと変わらぬアルパカの凛々しい顔があった。

耐えたというのか、あの爆発に・・・!


「爆発ってのはな、気持ちの問題なんだよ。気持ちが弱いから爆発するんだ」


やはりこのアルパカはただものではないらしい

僕とアルパカがどこかへ向かう最中、ヘリが黒煙をあげ撃墜し

ビルは上層階から炎を上げ崩れていき、いたるところから爆音が聞こえる


「これは一体、どういうことなんですか?」


「そうだな・・・人類が弱ってきたとでも・・・」


その時だった

アルパカさんの首が音もなくズリ落ちた


「は・・・?」


アルパカが切れた。

爆発はしなかったものの、きれいに首が切れている

肉片こそ飛び散らなかったが、むしろ現実味がありグロテスクな光景だった


「あ・・あ・・アルパカさぁああああああボビュン」


僕は爆発した

この話は友達と書いたリレー小説です。

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