表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の親友は爆炎を愛する厨二病  作者: 春風拓也
第1章 爆炎魔女の隣は忙しい
7/25

第7部 その看病は、恋の副作用

最後まで読んでくださると嬉しいです!

ローブを脱ぎ、ごく普通の女の子の姿になったゆいは、今や完全に看護師モードに入っていた。しかし、その「看病」は、彼女の「爆発実験」と同じくらいに危険なものだった。


ゆいは、棚から取り出した薬草を小屋の隅の簡素な火で煎じると、木の椀に注ぎ、熱いままタケに差し出した。

「さあ、タケ!飲め!これは『生命の躍動を促す深淵の茶』だ!苦くてマズいが、その苦さこそが、爆発の反動で腐敗した貴様の魂を清めるのだ!」

「うるせぇよ、毒で苦しんでるのに、なんでまたマズいものを飲まなきゃいけないんだよ!」

タケは口を付けた瞬間、またも吐きそうになった。昨日飲まされた泥ジュースを、さらに濃縮したような酷い味だ。

「マズッ!泥水を爆破して煮詰めた味だ!お前の料理は、爆発力以外に何の価値もないのか!」

「煩い!文句を言うな!これは愛の……!……いや、名誉の回復のために必要な儀式だ!」

ゆいは、言葉を間違えそうになって顔を真っ赤にしたが、すぐに「名誉」という単語で自分を取り繕った。

ゆいは次に、タケの額に手を当てて熱を測ろうとした。だが、彼女の行動はあまりに不器用だった。

「えーと、熱の検知は……『魔力の波動』で測る!」

ゆいはそう言いながら、自分の冷たい眼帯の金具を外し、眼帯そのものをタケの額にペタッと貼り付けた。

「ひゃっ!つ、冷たっ!」

「静粛に!これで魔力センサーとして機能する!……フム。まだ熱がある。体内で爆炎がくすぶっている証拠だ!」

眼帯越しでは何も分からない。タケはツッコミたい衝動を必死に抑え、ゆいの方に集中した。

(やばい、近い。さっきから、ゆいが普通の女の子の匂いしかしねぇ……。あのローブ、毎日ちゃんと洗ってたのか……?)

タケはゆいとの距離に心臓がドキドキ鳴っている。

ゆいはさらに、タケの顔を覗き込む。

「まだ熱がある!このままでは、貴様の魂が爆炎の反動で焼き尽くされる!私が魔力を吸い取る!」

「は?ちょ、待て、何をす――」

ゆいは、タケの耳元に顔をグッと寄せた。タケの視界には、彼女の長い睫毛と、焦りで揺れる瞳しか映らない。

(なんだこれ!?何が始まるんだ!?キス!?いや、そんなわけ――)

タケの心臓は、今度こそ本気で爆発するかと思うほど激しく鼓動を打った。

ゆいの吐息が耳にかかった瞬間、ゆいは突然、タケの耳の穴に目線を固定した。

「よし!見つけた!魔力の残留カスだ!」

ゆいはそう叫ぶと、細い指先をタケの耳の穴にツッコんだ。

「いてっ! ゆい!何をやってんだ!?」

「静かに! 貴様の耳の奥で不純な魔力がくすぶっている!それを吸い取らねば!」

ゆいは親指と人差し指で、タケの耳を掴むと、そのまま耳たぶを思い切り引っ張った。

「あががががが! 痛い!やめろ!ただの耳掃除だろ、これ!」

ゆいは、痛みに悶えるタケに全く構わず、真剣な顔で引っ張り続ける。

その時、パンッというごく小さな、乾いた破裂音が、タケの耳の奥から響いた。

ゆいはハッとして手を離し、タケの耳を覗き込む。

「あ!見ろ、タケ!魔力の残留カスがミニ・エクスプロードしたぞ!」

タケの耳の穴から、微かな白煙がフワリと立ち上っていた。

「魔力の残留カスってなんだよ!爆発で煙出てんだろ!しかも耳から!」

タケは怒鳴りながらも、ゆいが自分を心配して痛い看病をしてくれたという事実に、心が温まるのを感じていた。

ゆいは、白煙が収まったのを見て、安堵の表情を見せた。そして、ハッと我に返ったように、いつもの中二病の威厳を取り戻そうとした。

「フフン!見たか、タケ!この程度で済んだのは、全て我が『爆炎の魔女』としての魔力制御のおかげだ!貴様は九死に一生を得たのだ!感謝しろ!」

そう豪語しながらも、ゆいの顔はまだ赤く、ローブを脱いだままであることに気がついていない。

タケは、そんな彼女の不器用で、命懸けな看病を目の当たりにし、深く深いため息をついた。

(耳を爆発させてまで助けようとしてくれるなんて……。もう、笑うしかないだろ)

タケは、ローブを脱いだゆいと、ツッコミの限界を超えた自分の恋心を、諦めることをやめたのだった。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

また別の作品も読んでくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ