第25部 夜空に咲く約束の華
最後まで読んでくださるとうれしいです!
ガタゴトと揺れる馬車の窓から、懐かしいあの村の灯りが見えてきた。
街での大騒動、慣れない病院生活、そして二人きりの帰路。ようやく辿り着いた村は、出発した時と同じ、穏やかな夜の空気に包まれていた。
「……着いたな、ゆい」
「うむ……。混沌の魔都も悪くなかったが、やはりこの安息の地こそ、我が魔力の源に相応しい」
馬車が村の広場に止まると、そこには心配して待っていた村長やおばちゃん、そして村の人たちが集まっていた。
「タケ! ゆいちゃん! おかえりなさい!」
「怪我をしたって聞いて肝が冷えたよ、無事でよかった!」
温かい声に包まれながら馬車を降りる。包帯の巻かれた僕の手を見て、おばちゃんが少し涙ぐんでいたけれど、僕は「この通り、元気だよ」とにっこり笑ってみせた。
「あ!村長さん手紙無事に渡せましたよ!これが少し遅れてしまいましたが、返信です。」そう僕は、村長さんに手紙を渡した。
「おぉう、ありがとうねぇ。彼女とのデートみたいなものじゃったろ楽しめたかい?」と少しいたずらそうにそう聞いた。なんだか恋バナをしている青年のような感じもした。
「そうですね~ いろいろありましたが、楽しめました!」
「そうかぃ また婆さんも交えて恋バナしようなぁ~」
「いいですね」まぁこういうのもたまにはいいかもしれないが、あのおばあちゃんに言ったら一瞬で村中に広まりそうだな。そんな他愛もないような会話をしていた。
その時、ゆいが一歩前に出た。
「皆の衆、聞くが良い! 我々は魔都を脅かす闇を払い、真の平和を勝ち取って帰還した! 今こそ、この勝利を祝し、聖なる儀式を執り行う!」
ゆいはバサァッ!とローブを翻し、杖を夜空へと掲げた。
「ゆ、ゆい? まさかここで……」
「案ずるな、タケ! これは破壊の炎ではない。……私たちの旅の終わりと、新たな始まりを告げる光だ!」
「深淵に眠る猛炎よ、空を焦がす華となれ――! エクスプロージョン・フェスタ!!」
ゆいの叫びと共に、杖の先から一筋の真っ赤な光が夜空高くへと駆け上がった。
次の瞬間、ドォォォォォン!!という轟音と共に、夜空一面に大輪の赤い花が咲き誇った。それは爆発魔法を極限まで精密に制御した、世界で一番美しく、力強い「花火」だった。
「わぁ……!」「綺麗だねぇ……!」
村の人々が空を見上げ、歓声を上げる。光に照らされた村の人たちの顔には、笑顔が溢れていた。ゆいはそれを見て、いつもの不敵な笑みではなく、少女のような、優しく穏やかな表情でにっこりと微笑んだ。
花火の余韻が残る中、ゆいは僕の袖をぐいっと引っ張り、皆から少し離れた木陰へと僕を連れて行った。
「……ゆい?」
ゆいは真っ赤な顔をして、僕の目を真っ直ぐに見つめてきた。眼帯の下の瞳も、今は隠さずに開かれている。
「タケ……。私は、爆炎の魔女だ。……いつか、本当に制御不能な爆発を起こして、世界を滅ぼすかもしれない」
「……うん。その時は、僕がまた止めるよ」
「……バカ。……そうではない。……貴様は、私の『従者』だと言ったな。……ならば、これからも、死ぬまで私の隣で……私の爆発を、一番近くで見ていろ」
ゆいは震える手で、僕の怪我をしていない方の手をぎゅっと握った。
「……私は、貴様が……タケが、好きなのだ。この想いは、どんな魔法よりも、私の胸を熱く焦がしている……!」
夜風が二人の間を通り抜ける。
僕は繋がれた手に力を込め、彼女を引き寄せた。
「……僕もだよ、ゆい。君の隣にいるのが、僕の『鋼のメンタル』の一番の理由なんだ」
村の広場からは、まだお祭りのような賑やかな声が聞こえてくる。
夜空には、さっきの花火の残り火のような、静かな星屑が輝いていた。
二人の冒険は、ここからまた、新しい物語へと続いていく。
(完)
この話が、この「僕の親友は爆炎を愛する廚二病」全3章(25部)の最後の部となりました。
ここまで読んでいただき、どうでしたでしょうか? 面白かったや記憶に残ったなど何かしら感想を持っていただけたら幸いです。これからも学業の合間に小説を書いていきたいと思いますので、また別の作品も読んでくださるとうれしいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!




