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僕の親友は爆炎を愛する厨二病  作者: 春風拓也
第2章 小さな旅へ
18/25

第18部 呼び捨ての魔法と、見えてきた町の影

最後まで読んでくださると嬉しいです!

「なぁ」

「どうした、我が、凡庸なる従者よ」

ゆいはいつも通り厨二病全開で、誇らしげに杖を振り回しながら僕に返事をした。朝の恥ずかしさを完全に「無かったこと」にしようとしているのが見え見えで、ちょっと面白い。

「あと、どんぐらいで着くんだっけ? 町まで」

僕が聞くと、ゆいは待ってましたと言わんばかりに立ち止まり、懐から「地図(自称・古の予言書)」を取り出した。

「凡庸なる従者よ、君は、やはり私のような優秀な魔法使いがいないとダメなようだね」

勝ち誇ったように笑うゆい。でも、今回ばかりは言い返せない。なぜなら地図を持っているのは彼女だからだ。そりゃあ地図を見ずに、あとどのくらいで着くのかなんて考えられるわけがない。

(……と自分にもツッコミを入れつつ)

「そうですね、ありがとうございます」

ここは、意地を張らずに素直に言っておくことにした。すると、ゆいは予想外の僕の素直さに気分を良くしたのか、

「ふふーん!」

と鼻を鳴らし、ニヤリとこちらを見てまた前へと歩き出した。

「いや、答えて(笑)」

「あぁ、あともうちょっとで着くようだぞ」

「もうちょっとって、どのくらい?」

「今日寝てた時間くらい」

「それは、『もうちょっと』に入るのだろうか……」

僕が苦笑いしながら言うと、ゆいは地図を真剣に睨み直し、少し言いよどんでから答えた。

「……今日中には、着く」

「ありがとう! ゆい!」

「……っ」

僕が自然に、名前を呼び捨てにしてお礼を言うと、ゆいはピタリと足を止めた。

そのまま無言だったけれど、耳の先まで真っ赤なのが後ろからでもわかる。肩が少し震えていて、にやけているというか、照れているというか、とにかく言葉にならない感情が溢れ出している感じだ。

そういえば、名前を呼び捨てで呼んだこと、今まで無かったっけ……?

いつも「ゆいちゃん」とか「君」とか、どこか一線を引いていた気がする。でも、今の彼女の反応を見ると、呼び捨ての効果は爆発魔法並みだったらしい。

(まぁ、可愛いから良し!)

「お、おい! 貴様! 今さらさらっと真名を呼ぶなど……不敬、不敬であるぞ! 契約の呪印が刻まれても知らんからな!」

ゆいは振り返らず、早歩きで先を行く。でも、その歩幅はさっきよりずっと弾んでいるように見えた。

やがて、緩やかな丘を登り切ったとき、視界がぱっと開けた。

遠くの平原に、石造りの建物がひしめき合い、活気を感じさせる大きな街の影が見えた。

「あ……」

「……着いた。あれが、『混沌の魔都シュタット』だ」

ゆいが杖を掲げる。

いよいよ、僕たちの2泊3日の旅、最大の目的地が見えてきた。


最後まで読んでくださりありがとうございました!また別の作品も読んでくれると嬉しいです!

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