第17部 黎明の光と、早朝の不意打ち
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僕は、どうやらあのあといつの間にか寝てしまっていたようだ。
焚き火の爆ぜる音を子守唄に、深い眠りに落ちていたらしい。ふと目を覚ますと、辺りはまだ暗いが、遠くの山の向こう側がほんのりと白み始め、薄い光が差し込んできている。
「ん……」
隣で小さな吐息が聞こえて、視線を落とした。
そこには、僕の腕を枕代わりにするような形で、ゆいがまだぐっすりと眠っていた。
……うん、寝ている。
昨日あれだけ「私は深淵の監視者だ」とか言っていたのに、今は完全に無防備だ。
(寝顔、可愛くね……!?)
昨日からずっと一緒だったけれど、この距離で、しかも朝日が差し込む直前の淡い光の中で見る彼女の寝顔は、反則に近いものがあった。眼帯が少しずれて、まつ毛の長さがよくわかる。中二病の鎧を完全に脱ぎ捨てた、ただの女の子の顔。
まじで、冷静に今の状況を考えるとなんか……うん、やっぱなんでもない。これ以上考えると、僕の心臓が爆発魔法並みの衝撃を受けそうだ。
僕は、起こさないようにそっと息を潜めた。
でも、そんな僕の緊張を知ってか知らずか、ゆいが寝言で小さく呟いた。
「……タケ……。に、逃げるなよ……。そこは……私の、場所だ……」
その言葉に、心臓が跳ねた。
夢の中でも、彼女は僕の隣を「自分の居場所」だと言ってくれているんだろうか。
恥ずかしさと愛おしさが混ざり合って、どうしようもない気持ちになる。
「……逃げないって、言っただろ」
僕は聞こえないくらいの声で返した。
朝の冷たい空気が心地いいはずなのに、ゆいと触れている部分だけが、熱を持ってじりじりと熱い。
やがて、ゆいのまぶたがピクリと動いた。
「……んぅ……。ふ……ふん……。我が魔力が、暁の光を呼び覚ましたようだな……」
覚醒した瞬間に中二病モードへ切り替えようとする彼女だったが、僕と目が合い、自分が僕に寄り添って寝ていたことに気づくと、顔が一気に沸騰したように真っ赤になった。
「あ……! あ、あぁあ! 貴様! なぜ私の聖なる結界に侵入しているのだ! 爆破するぞ! 今すぐ粉微塵だぞ!」
「おはよう、ゆい。自分から潜り込んできたのはどこの魔女さまだっけ?」
「そ、それは……! 低体温症から従者を守るための、高度な救護魔導の副作用だ!」
バタバタと起き上がり、慌てて眼帯を直すゆい。
でも、その耳の先まで真っ赤なのを、僕は見逃さなかった。
旅の2日目。
朝から最高に騒がしくて、最高に心臓に悪いスタートになりそうだ。
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