第15部 果てなき1本道と、意外な「魔女の気遣い」
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「……はぁ、はぁ……。うん、疲れた……」
僕は、背中のリュックをずり上げながら、思わずその場に腰を下ろした。
村を出てから数時間。村長が「歩き続けて2日」と誇らしげに言っていた意味が、今さらながら骨身に沁みてわかってきた。この辺りは緩やかな上り坂が続いていて、地味に体力を削られる。
「情けないぞ、タケ! 貴様、あれほどの超筋力(石臼持ち上げ)を見せておきながら、たかだか数里の行軍で音を上げるというのか!」
前方でピンピンしているゆいが、杖を振り回しながら振り返った。彼女は魔力の高揚のせいか、それとも初めての遠出が嬉しいのか、ずっと足取りが軽い。
「いや、石臼と長距離歩行は使う筋肉が違うんだよ……。ゆいは元気だなぁ」
「ふん、私は『爆炎の魔女』。この程度の道のり、空間跳躍(ただの早歩き)にも満たぬわ!」
そう言って胸を張るゆいだったが、僕が本当に肩で息をしているのを見て、少しだけ眉の端を下げた。
「……ま、まぁ、貴様がどうしてもと言うのなら、ここで小休止(魔力回復)の儀式を執り行ってやってもよいぞ。別に私が疲れたわけではないからな!」
ゆいはムスッとした顔でそう言うと、僕の隣にどさりと腰を下ろした。そして、自分のリュックをごそごそと探り始める。
「ほら、これを摂取しろ。我が秘蔵の『聖なる雫(ただの水)』と、おば……『俗世の賢者』から授かった『魔力増幅の乾肉(干し肉)』だ」
差し出された水筒と干し肉。水は驚くほど冷たくて、乾いた喉に心地よかった。
「ふぅ……生き返るよ。ありがとう、ゆい」
「か、勘違いするな! 護衛対象に倒れられては、私の任務に支障が出るだけだ!」
赤くなった顔を隠すように、ゆいは不器用そうに干し肉をかじった。
「……なぁ、ゆい。町に着いたら、何がしたい?」
僕が聞くと、ゆいは遠くに見える山の端を見つめながら、少しだけ中二病の仮面を外したような、穏やかな声で言った。
「……そうだな。……爆発の材料も欲しいが、あの、おばちゃんが見せてくれたような……静かな光を放つ魔導具があるか、探してみたいと思っている」
「……そっか。いいな、それ。一緒に探そう」
「うむ。……あと、甘いものも、半分こなら……食べてやってもいい」
語尾が小さくなっていくゆいの隣で、僕は少しだけ疲れが吹き飛んだ気がした。
「よし、もうひと踏ん張りするか」
「当然だ! 日が暮れる前に『安らぎの聖域(キャンプ地)』を確保せねばならんからな!」
再び歩き出した僕たちの影が、午後の日差しに長く伸びていく。
まだ1日目の半分も終わっていないけれど、この不器用な魔女と一緒なら、どこまでも歩いていけそうな気がしていた。
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