第14部 小さな旅の始まり
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「眠いー……今、何時だろ」
外から聞こえる、ドンドンドンドンという激しい扉の音で僕は目を覚ました。まだ夜が明けきっていない、薄暗い時間だ。
「誰ですか~……」
寝ぼけ眼をこすりながら扉を開けると、そこにはフル装備のゆいが立っていた。
いつもの黒いローブを羽織り、眼帯をきっちりと装着し、背中には大きなリュックを背負っている。
「ゆい? どうしたの、こんな朝早くに」
僕が尋ねると、ゆいは一瞬視線を泳がせ、それから少し頬を赤らめながら、わざとらしく胸を張った。
「……これから、村を出て町に行くんだろ? お前は弱いからな。私が守ってやるために、一緒について行ってやるよ」
不器用な言い方だけど、彼女なりに精一杯の「一緒にいたい」という気持ちが伝わってくる。昨日の寂しそうな顔を思い出すと、こうして自分から会いに来てくれたことが、たまらなく愛おしく感じた。
……うん、やっぱり可愛いし、優しい。
「ありがとう! じゃあ、付いてきてもらおうかな。最強の護衛がいてくれるなら安心だよ」
「ふ、ふん! 当然だ! 我が爆炎の前に敵など存在しない。貴様はただ、私の後ろで震えていればいいのだ!」
ゆいは満足げに鼻を鳴らした。
僕たちは連れ立って村の広場へと向かった。そこには約束通り、村長さんが見送りに来てくれていた。
「おぉ、二人とも揃ったか。いい顔をしとるな」
村長さんは僕たちの姿を見て、おばちゃんと同じような、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「ゆいちゃん、タケのことを頼んだよ。こいつは力仕事はできるが、道中は退屈かもしれんからな。賑やかにしてやってくれ」
「村長……! 案ずるな。この者に俗世の汚れが近寄らぬよう、私が魔力で清めてやるわ!」
ゆいが威勢よく答える。村長さんは「はっはっは」と笑いながら、僕に重みのある封筒を差し出した。
「これが手紙と、駄賃じゃ。町に着いたら指定の場所に届けてくれ。……二人とも、気をつけてな。ばあさんも、あんたたちの土産を楽しみにしておるよ」
「行ってきます、村長さん!」
朝日が山際から顔を出し、村の入り口を黄金色に染め始めた。
僕とゆいは、静かな村に別れを告げ、一本道を歩き出した。
「いいか、タケ! これより先は『未踏の荒野』だ。いつ魔獣が現れるか分からんぞ。私の歩幅から遅れるな!」
「はいはい、魔導師様。でも、まだ村の柵が見えてるよ」
2泊3日の旅。始まったばかりの道中だけど、隣で忙しく杖を振り回すゆいを見ていると、歩き続けて2日の道のりも、案外短く感じるかもしれない
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