第12部 拒絶された魔女と、静かなる魔導書
最後まで読んでくださると嬉しいです!
タケの家の戸が閉じられた後、ゆいはしばらくその場に立ち尽くしていた。
(裏切り者め……!『愛の呪文』などという甘い罠を仕掛けておいて、今度は無関心を装うなど……!これが、凡庸なる従者の復讐というのか……!)
胸の奥がチクリと痛む。それは、タケの無関心が、元の世界で味わった孤独と同じ冷たさを帯びていたからだ。
「べ、別に、ひ、一人だってできるし……」
ゆいは、誰もいない空間に向かって強がった。
「爆炎の真理は、孤独な探求者にこそ許された領域!従者など、いてもいなくても、私の魔導には何の影響もない!」
頭ではそう言い聞かせていても、昨日までタケが隣にいてくれた温もりを思い出すと、なんだかやっぱり少し寂しいと感じてしまう。爆発すれば、全力のツッコミという確かな反応が返ってくる。それが、ゆいの居場所だった。
ゆいは、その寂しさを振り払うように、ローブを翻し、急いで小屋に戻った。
小屋の中央には、粗末な木箱が置かれていた。ゆいは、その上に腰掛けながら、今まで村の古本屋や廃墟から見つけてきた『魔導書』を広げた。
それは、中二病全開の走り書きがびっしり書き込まれた、ゆいにとって『世界の真理』が詰まった、かけがえのない宝物だった。
ゆいは、爆発魔法に関するページを指でなぞる。
「究極の爆炎は、すべての虚構を焼き尽くし、唯一の真実となる」
ゆいは、この一文をタケの無関心で破壊してやろうと、再び魔力を集中させる。だが、その指先は、昨夜おばちゃんが見せてくれた、藤色と銀色の静かな光を思い出し、ピタリと止まった。
(強さだけじゃない……。静かな美しさも、真理……)
ゆいは、ページをめくり、派手な破壊とは真逆の、『結界』や『鎮静』に関する項目を読み始めた。彼女の視線は、「二人きりでいたい」という本音を隠して作った、『静寂の結界(塩の円)』のページの鉛筆書きのメモで止まった。
「従者が拒絶した場合、主はより効果的な儀式、すなわち『究極の親密度』を高める策を実行すべし」
ゆいは、ムッとした顔のまま、魔導書に書かれた次の『儀式』の項目を、真剣な眼差しで読み進めていった。その儀式は、爆発とは全く関係のない、ある一人の人間の心を、真正面から掴むためのものだった。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
また別の作品も読んでくれると嬉しいです!




