第11部 静かなる夜と、無防備な魔女の朝
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夜の散策から小屋に戻ったゆいは、自分の敷いた布団に入ったものの、なかなか寝付けなかった。
(爆発だけが魔法じゃない……。静かな美しさも、タケのあの言葉も、私には居場所……)
ゆいは、おばちゃんに見せてもらった、『夜見草のささやき』の淡い光景を瞼の裏に思い浮かべていた。その静謐な美しさと、タケの「俺が、お前の居場所になってやる」という強く優しい言葉が、ゆいの心を溶かし、強い孤独感と安心感への渇望が彼女を襲った。
ゆいは、無意識の衝動に抗えず、そっと自分の布団を抜け出した。タケの温もりのある布団にそっと潜り込むと、彼の腕のそばに、まるで子猫のようにすり寄って、深い眠りに落ちてしまった。ゆいは、『爆炎の魔女』の鎧を脱ぎ捨てた、最も無防備な姿だった。
翌朝。
タケが目を覚ますと、すぐ横に人の気配と温もりを感じた。そして、その黒い私服姿と、近くに落ちた眼帯を見て、全てを悟った。ゆいが、無防備な寝顔で、タケの腕のそばにぐっすりと眠りこけている。
タケは、心臓が爆発寸前だった。彼は、優しくゆいの頭を撫でてやると、彼女が起きる前にそっと布団から抜け出した。そして、わざと大きな音を立てて、ゆいを起こした。
ゆいは、タケの声で跳ね起き、自分がタケの布団の中にいることに気づき、顔を真っ赤にした。
「え?!あ!?どこに寝てるの?あなた?!」
タケは、驚きと困惑を混ぜたような声で、咄嗟にそうゆいにいい放った。
「なんで?だってここは私の家みたいなもの、布団で寝ただけだよ」
ゆいは、驚きと照れ隠しで、キョトンとしたような、開き直った表情で言い返してきた。
「いや、僕そこで寝てたんですけど?!人の寝てるところに、入ってきて寝る人いる?!」
タケの現実的なツッコミに、ゆいの中二病の鎧は崩壊した。
「あ?!いや、私別に、あ、ぁあゃべ。」
ゆいは、自分で言った言い訳に致命的な矛盾があることに気づき、頬を赤らめながら、あわてて言葉を詰まらせた。
タケは、ゆいの動揺を見て、それ以上は追い詰めなかった。
「まあ、いいや」タケはため息をついた。「色々あったけど、とりあえず、看病してくれてありがとう」
ゆいは、タケの素直な感謝の言葉に、再び顔を真っ赤にした。タケの優しさと静かな受け入れは、ゆいの爆発よりも強力な魔法だった。
しかし、タケは、ゆいの本音を引き出すための次の作戦をすでに胸に秘めていた。
「で、次の儀式は何するんだ?爆発だろ?悪いけど、今日はパス。村長に頼まれて、畑の手伝いがあるから。爆発なら、一人で勝手にやっててくれ」
タケは、ゆいをチラリとも見ず、冷淡なトーンで言った。
ゆいは、愛の呪文の後のタケの冷淡な態度に、驚愕した。
「な……ななな!何を言っている!貴様は我が従者!**『爆炎の盟約』**を破るというのか!」
タケは、そのまま戸を閉めてしまった。ゆいは、閉められた戸の前で、ローブの拳を固く握りしめ、ムッとした顔のまま、孤独感と焦燥に駆られたのだった。
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