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番外編~刻の賢者とシロウサギ・1

※注意

レイと白兎の出会い編です。

白兎が明るい?兄ちゃんじゃありません。寧ろ暗いです。壊れ気味です。

短文+改行が多めです。









手を伸ばした所で、掴めるモノなんて存在しない。




 壊す事だけしか能が無くて、当たり前のように血溜まりの中に立っていた。


 まるで、そこが自分の居場所だと言わんばかりに。



 それが俺の当たり前。



 血が目立たないように、色彩はいつも黒。


 黒はいい。


 赤が、目立たないから。





 肉を斬る感触も慣れたもので、今ではもう、命を切ってる気すらしない。









 このまま自分は壊れていくのだ。


 いや、もう壊れているんだろう。














 世界には、色がない。




 俺の瞳が映す世界は、モノクロ。






 血の赤でさえ、今は、もう、見えない。




















「お兄さん、ちょっといいかなぁ?」










 幼い声が、耳に届いた。



 ・・・・・?


 何で声が?


 俺の耳はもう、聞こえないはずなのに。






「最近この界隈で悪名高い殺人鬼さーん。聞こえてる?」




「聞こえてる」



 俺の……声?


 そうか。こんな声をしてたのか。





「その実力と精神力を生かしてね・・・・・私の影をやってみない?」


「・・・・・?」


「私の影。守護者? なんていうか便利屋さんっていう気もするんだけどね。

 下手すると私の力と接続出来なくて廃人まっしぐらになっちゃうかもしれないという、スリリングな体験してみない?」


「・・・・・」




 コイツハバカカ?







 思った事が表に出ていたのか、声の主は俺の目の前へと降りてきた


 親の保護の下、苦労も何もなく育ってきたような貴族の子供が、そこにいた。




 俺は無意識に、手に馴染みすぎたナイフを投げつけた。


 魔力で操る鎖つきのナイフ。

 投げた所で困るわけがない。





 いつものように、モノクロの血溜まりが、出来るだけ。






「あ。いいナイフ。持ち主が好きなのね。でもねぇ…」




 喧嘩を売っちゃいけない相手もいるんだよ?








 子供は、目の前の少女は、笑った。


 碧と翠の瞳を面白そうに細めて、笑ったんだ……






 瞬間、ナイフは砕け散る。


 俺を支え続けたナイフは、跡形もなく、消え去ったかに見えた。





「怯えなくて大丈夫よ?

 頑張れば受け止められる人にしか声かけないから。

 無差別に影なんていらないし。ひょっとしたら私の知識と少しだけリンクしちゃうかもだから、増やせないのよね」



 少女の形をした何かが、笑う。





「お前は・・・・・なんだ?」







 俺は、恐怖を覚えた。


 死ぬとか、そんな恐怖じゃない。



 絶対的強者に。

 人間よりも高位な存在に。



 踏み潰される恐さ。






「レイちゃんって呼んで。様付けなんていらないよ?」


「・・・・・」


「私の影の代償としては、人間外の知識と力。はおまけで…そうね・・・・・温かいご飯を一緒に食べて、寂しかったらこっそり同じ布団で眠りましょ?」


 兄様がヤキモチを焼いちゃうから、内緒ね。と、少女は笑う。


「何を言って……」


「私と一緒に色々な景色を見て、お話をしましょ?

 私の影だから、綺麗な事ばかりじゃないけれどね」





 さっきから、何を言ってるんだ?


 意味がわからない。



「迷ってるみたいだから考えておいて。

 私はそろそろ戻らなきゃいけない。

 でも、また来るから・・・・・今度は本体でね」








 少女の姿は、掻き消えるようにして空気に溶けた。



 俺は意味がわからず、ただ汗ばむ手の平を隠すように握りこぶしを作っていた。




 これが、俺と姫さんの、出会い。




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