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ブランコ
ある日の夕暮れ。
仕事帰りにとぼとぼと歩いていると、小さな公園のブランコに目が行った。
私は何とはなしにその小さい公園に入り、ブランコに座った。
久しぶりのブランコ。
一瞬、漕ぎ方を忘れていたがすぐに漕ぎ方を思い出すことができた。
ギーコーギーコー……
橙色に染まる世界に、錆びた鉄の擦れる音が響く。
ギーコーギーコー……
ブランコは、行ったり来たり。
……まるで、私の人生のようだなと思う。
行ったり来たりで、ちっとも前に進んでいない。
ギーコーギーコー……
一人寂しくブランコを漕ぐ。
ギーコーギーコー……
ギーコーギーコー……
ギーコーギーコー!
ギーコーギーコー!!
ガチャッ!!
ブランコを漕ぐスピードを段々に上げると。
私はそのブランコからジャンプして降りた。
年甲斐もなく、そんなことをした。
けどなんだか、それだけで少し前に進んだような気がした。
ブランコ漕ぎて~
てか、最近ブランコをあまり見たことがない気がする。